2017年2月6日月曜日

『ザ・ビジョン』

今、会社の業務でとある”ビジョン”を定めている。
正しく言うと、”ビジョン”定めに苦悶している。
この「ビジョン」とは厄介で、人によって、書物によって、微妙に定義やら言い回し、構成要素に関する理論、理屈が違っている。

そんな「ビジョン」について、物語形式で、分かりやすく書かれた本。一緒にビジョン制定で苦しんでいる同僚から勧められて読んだ。

この本の理論によると
説得力あるビジョンを生み出すための三つの基本要素は
・有意義な目的
・明確な価値観
・未来のイメージ

勝手な解釈でいうと
・有意義な目的→mission(Why)
・明確な価値観→value(How)
・未来のイメージ→いわゆるvision(What)

言葉だけだと間違える可能性があるので(そもそも訳が違っていたら理解を誤る)、その内容について書かれた部分を引用、確認する。

<目的とは何か>

①目的とは、組織の存在意義である。
②目的とは、単に事業の内容を述べたものではなく、「なぜ」という問いに答えるものである。
③目的とは、顧客の視点に立って、その組織の「真の使命」を明らかにしたものである。
④偉大な組織は深遠で崇高な「目的」、すなわち社員の意欲をかきたて、やる気を起こさせるような、「有意義な目的」を持っている。
⑤表面的な言葉遣いより、そこから人々に伝わる「意味」の方が重要である。

<価値観とは何か>

①価値観とは、目的を達成する過程で、どう行動していくべきかを示す、緩やかなガイドラインである。
②価値観とは、「自分は何を基準にして、どのように生きていくのか」という問いに答えるものである。
③価値観の内容を具体的に明らかにしない限り、どんな行動をとれば価値観を実践できるのかはわからない。
④常に行動をどもなうものでなければ、価値観は単なる願望にしかならない。
⑤メンバー一人一人の価値観と、組織の価値観とを一致させなければならない。

<未来のイメージとは何か>

①未来のイメージとは、最終結果のイメージ。曖昧ではなく、はっきりと思い描けるイメージである。
②無くしたいものではなく、作り出したいものに焦点を置く。
③最終結果に到達するまでのプロセスではなく、最終結果そのものに焦点をおく。

この本でいう「ビジョン」とは、通常でいうmission,value, visionをセットにしたものであると考えられる。

この本でいうと、
<ビジョンとは何か>
ビジョンとは、自分は何者で、何を目指し、何を基準にして進んでいくのかを理解することである。
とあるので、上記の考え方はそう間違っていないように思われる。
そう、この本のタイトルのように、この本でいう「ビジョン」は通常の3点mission,value,visionの3点を統合した、「ザ・ビジョン」なのだ。
時折、表現として「ビジョンを生きる」という表現が出てくるあたりからも、統合的な指針をさして「ビジョン」と言っていると考察される(同じ単語なので非常に分かりづらい)


とあるコンサルティング会社さんからは
ビジョンは、目的、意義、手法の3要素から構成される。
と言われていたが、同じ考え方とも言えるだろう。
でも作り始めてわかったけど、いわゆるビジョンの中にも3要素入るし、行動指針(いわゆるvalue)の中にも手法だけじゃなくて目的とか意義が入り込んでくる。
明確に分けられるものではないってことがよくわかった。

この本では、ビジョンの実現には他に「構造」「戦略」も必要とのこと。

企業においては、「基盤(インフラ)」と「戦略」と読み替えると分かりやすいかもしれないが、この本では、人生においても「ビジョン」が重要であると述べているので、個人の人生に当てはめようとすると「構造」というやや抽象的なワードとなってしまうのかもしれない。

同じ「ビジョン」という言葉でも、何を指しているのかが違うと会話が成り立たない。
「ビジョン」「ミッション」「バリュー」「ストラテジー」
これらは往々にして意味がごちゃまぜで使われたりするが、結局、それを制定することで何を達成したいのか、ということを突き詰めていくプロセスに非常に意義があるということが「ビジョン」を作ってみてよくわかった。

次にこの策定した「ビジョン」をどのように伝えていくか、が課題。