2011年4月24日日曜日

『イシューからはじめよ』

そもそも”イシューとは?”というのが良くわからずに面白そうだったので購入。

バリューのある仕事とは何か。
バリューの本質は 「解の質」×「イシュー度」で測られるらしい。
「イシュー度」を分かりやすく言うと「課題の質」ということらしく、だったら
バリューの本質=「解の質」×「課題の質」
と言った方が日本人的には分かりやすいような気がするが、本のタイトルが「課題の質からはじめよ」だったらきっとこの本を購入して読むことはなかったので、フックとして「イシュー」という言葉なのであろう。

閑話休題
簡単に言うと、課題の質を考えて仕事をしないと、いくら課題を解決してもバリューのある仕事はできませんよ、というのが本の主題である。

イシューを特定するための情報収集として、「一次情報に触れる」「基本情報(マイケル・ポーターのファイブ・フォース+2)をスキャンする」というのの他に「集めすぎない・知りすぎない」というのがあって面白かった。
確かに、知りすぎることが発想の制約を生むことは往々にしてある。


「分析とは何か」という問いも面白かった。
分けることか?数字で表現することか?戦略的な課題について検討することか?
著者曰く「分析とは比較、すなわち比べること」。分析では適切な「比較の軸」がカギとなる。
そして、定量分析には3つの型があり
1 比較
2 構成
3 変化
のいずれか、またはその組み合わせになるのだそうだ。
言われてみれば、そうかも知れないが、そこまで深堀りして「分析」について考えたことがなかったので斬新であった。

著者の安宅和人氏であるが、東京大学大学院生物化学専攻で修士号取得後、コンサルのマッキンゼーに入社。その後、イェール大学で脳神経科学プログラムに入学して学位を取得。現在はヤフーで勤務という異色の経歴の持ち主である。
プレゼンテーションについても脳神経科学の知見が活かされていて面白い。

<知覚の特徴から見た分析の本質>
1 閾値を超えない入力は意味を生まない
脳神経系の基本単位である単一のニューロンでは、ある一定レベルの入力がないと情報を長距離にわたって伝達する活動電位というものが発生しない(全か無の法則)。神経系は群であろうと脳のレベルになろうと、基本的に同じ特性をもっている。その結果、匂いであろうが音であろうが、ある強さを超えると急に感じられるようになる。
2 不連続な差しか認知しない
脳は「なだらかな違い」を認識することができず、何らかの「異質、あるいは不連続な差分」だけを認識する。
実は、分析の本質が「比較」というよりは、我々の脳にとって認知を高める方法が「比較」。
3 理解するとは情報をつなぐこと
ニューロンはひとつあたり数千から5千程度のシナプスを形成し、ひとつのニューロンが多くのニューロンとつながっている。ここで異なる情報を持った2つ以上のニューロンが同時に興奮し、それがシナプスでシンクロ(同期)したとき、2つ以上の情報がつながったということができる。
すなわち、脳神経系では「2つ以上の意味が重なりつながったとき」と「理解したとき」は本質的に区別できない。
4 情報をつなぎ続けることが記憶に変わる
「つなぎを何度も使うとつながりが強くなる」(ヘッブ則)


いくらやっても尽きない会社の業務。イシューを見極めて取りかからないといくら時間があっても足りない。
シンプルかつ大胆に業務を絞り込んでいきたいものだ。

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