最近、会食の機会も増えてきたため、常識としておさえておくべきポイントを学ぶために購入。日経トレンディ編集長などを歴任した北村森氏の著作。
「ルール」(作法)は自分のため。恥をかくか、かかないかという水準の話し。
「マナー」は人のため。店や宿の人、場合によっては偶然に空間をともにする見ず知らずの客も含めて、いかに気持ち良く過ごせるように心がけるかの話し。
この本は後者について書かれた本である。
マナーというのは
①店や宿を味方につけて
②連れていく相手を楽しませ
③その結果として自分を光らせる
ためのものである。
例を挙げると、
・店では「出されたものをすぐに食べる」
・宿では、「その客室に入った時と、なるべく近い状態で、ホテルや宿を発つ」
といった基本的なことである。
百戦錬磨の著者でも割烹や料亭を訪れる日は、今でも緊張するらしい。
・予約した時刻ぴたりで暖簾をくぐらないと、料理人のリズムを崩してしまう(はっきりとそうは言われない)
・指輪や腕時計をしたままで席に着くと、提供される器が変わる(はっきりとそうは言われない)
・店を後にする時も、道の角を曲がる時に、店の方を振り返って、一礼するのが大事。振り返りもせずに、のんきに角を曲がると、見送っている店の側はちょっとがっかりするらしい(はっきりとそうは言われない)
と言ったマナーもあるからだ。
中野允夫氏というカリスマホテルマンがいる。
曰くホテルの実力が露わになる時間があるらしい。
それは朝食終了時刻の15分前である。
朝食営業終了15分前の段階となると、ダイニングスタッフは昼の準備のことで頭がいっぱいになる。
朝食終了時刻の15分前というのは、ホテル側の都合と客の都合が、真正面からぶつかる時間帯ということになる。
そのシーンで、ホテルがどんな対応をとるか。ホテルの真価が問われる。
ビジネスでも、自社の都合と相手の都合がぶつかって、しかもそれぞれの言い分がともに真っ当なものであるとき、相手の側に半歩でも寄れるかが、仕事の成否を分けるのではないか。
この本は、基本お客様を連れていく前提で、主にお店とのやり取りについて書かれているが、お客様となった場合には
「ごちそうしてくれた相手に、『あぁ、またこの人間を誘って奢りたいな』と感じさせる時間にすることが大切」
ということが書かれている。
結局、仕事が出来る人というのは、相手との呼吸を合わせるのがうまい人でもあるということか。
それにしても、タイトルがちょっと恥ずかしい。「できる◯◯」的なのはキャッチーなタイトルなのかもしれないが、読んでるのが分かるとちょっと恥ずかしいタイトルである。むしろ、やめて欲しいなぁ。
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