2015年5月17日日曜日

『挑戦する会社』

自称「日本のトップマーケター」神田昌典氏の著作。

・ダントツの結果を出したいなら、ダントツの結果を出す人の多い環境に身を置くべき。
・急にハンドルを切り替えられないのがコミュニティのデメリットの一つ。
・日本がお金を拾う国、テクニックで稼ぐ国になってしまったら、社会的な責任とか、徳とか、品格とか、誇りとか、そういうものが全部なくなってしまう。 だから今、考えるべきは、日本が豊かになれる産業。
・言葉はエネルギー。そして、お金もエネルギー。 だから、多くの人が話題にしているものへと、お金は動く。
・これからは、「年配者向けのイノベーション」が起こる。 とはいえ、まずは目の前で儲ける。出発点は「儲けるため」だけど、それをきっかけに生み出した企画が、社会性を備えた新規事業に発展する可能性がある。

<これから10年間、重要になる8つの潮流>

「GRACEFUL JAPAN」(優雅な国、日本)
G(=Graying Society)…高齢化社会、ポスト資本主義のモデル社会
R(=Reuse/Recycle/Reinvent)…循環型社会、物々交換、社会の再創造
A(=Asia/Art)…アジア経済圏、誰もがアーティスト
C(=Community/Care)…コミュニティの時代、ケア・ホスピタリティ尊重
E(=Education/Empathy)…教育の時代、思いやり、共感
F(=Free Agent/Finance)…フリーエージェントネットワーク型社会、新たな金融コンセプト
U(=Utilities/Ubiquitous)…エネルギー革命、ユビキタス社会
L(=Legend)…誰もが英雄になる時代
時代が経つにつれ、この8つの流れが合流する先に、すべての産業が医療・健康産業に、何らかの形でリンクしてくるだろうと私(神田氏)は思っている。

結局、どこの会社だろうと、「ウチの会社は◯◯業です」と1つの業種を言うだけにとどまっていたら、いずれ先細りになる。逆に、元々いた業界からその定義を広げていくと、全く違った成長カーブを描くようになる。
次世代ビジネスの決め手は、ビジョンの高さだ。
未来を予想する最も簡単な方法は、未来を作ること。 未来を作るためにはどうすればいいか。それは、「場」を作ることだ。


「全脳チャレンジ」

「全脳チャレンジ」とは、参加者全員で、即興で、社会的課題に対するソリューションを見つける方法。
1.ある意図を持って人を集める時、そこに集まる人は顕在的な意図のみで集まるのではなく、既に潜在的な意図に無意識に共振して集まっている。(「出会いの深層背景」
2.潜在的な意図とは、参加者の集合無意識下にある意図と言ってもいいが、人がつくり出している意図というよりは、その瞬間—時間と空間、場所に宿された意図であり、その意図と共振する人々が集うことになる。
3.そこに集まった人同士がダイアログを通じて、彼らの集合意識下の深いところで流れるイメージを、ストーリーにして浮かび上がらせる。 このレベルまで安全にダイブする(深く掘り下げる)ためには、「第三者をハッピーにする」という「利他性」が鍵となる
4.利他のストーリーを描くと、今まで参加者がバラバラに感じ、バラバラに持っていたイメージが言語化される。その結果、人々の思考が凝縮される。 私の感覚では、「ボウリングのボールのような、重い、重い、思考のボール」がどんどん大きくなっていく。すると、今度は人々の思考が、時空間を歪み始め、未来に向かう大きなくぼみができ始める。
5.すると、参加者は、セミナーが終わり、それぞれの仕事に戻ったとしても、ストーリーは潜在意識下で進行しつつあるから、自分が決めた行動に従って結果を上げていく。

簡単に言ってみれば、みんなで楽しい未来に向かうストーリーを作れば、いつの間にか自分もその未来に参画しているというアプローチ。


だんだん宗教がかってきているのはともかくとして、今回の著作はニュースレターの焼き直しだったので、正直神田氏のいつもの「濃さ」が感じられず、ちょっと残念。
次回作に期待。

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