2016年10月2日日曜日

『会社が生まれ変わる「全体最適」マネジメント』

今、全体最適をテーマとした仕事をしている。
メンバーから推薦されたので読んでみた。

ワークショップをやって自社が抱える問題点を自由に挙げてもらうと大体次の6つ二修練するそうだ。

<企業が抱える問題の主な項目6つ>
 ○目的系に関するもの
 ・【ビジョン・方針】ビジョンなどの方針・方向性に関するもの
 ・【戦略・戦術】戦略や戦術的なもの
○手段系に関するもの
 ・【業務フロー】業務の流れや仕組みの問題
 ・【組織体制】組織体制に関するもの
 ・【人事制度】評価の仕組みや人材育成など人に関すること
 ・【人間関係】コミュニケーションや人間関係に関するもの


「手段の目的化」という現場の認識が部分最適を繰り返す根本の原因であることが多い。
 企業が問題に対して解決策を講じるにあたっては、まず目的を明確に定めて、それを社員に十分に理解浸透させ、その上で策を講じる必要がある。
多くの企業ではこの順番を間違えている。


○現場が自律的に考え行動するということを基本方針として活動を展開すると、現場は自分たちの責任や権限の範囲外にある経営課題や他部門が絡む問題は避けて問題を選ぶきらいがある。


○人材育成のあり方として、まずは研修を受ける側の社員がその研修を使って何を成し遂げるのか、その明確な目的、目標を持たせる仕組みを整えることがまずは優先事項。
「人を育てる」から「人に目的を持たせる」という発想転換が必要。
 人は会社に貢献するために、そして自分自身の成長のために、自分は何を目的とし、そのために自分の役割や課題は何なのかを考え気づくと勝手に育っていく。
そのために、社員一人一人が「自らの目的」を見出せることができるような環境を会社側が整えれば良い。


○小さな成果であっても、お互いの協力に基づく成果や成功を体験することは、次へ繋がるための必要条件になる。小さくても成功体験が継続の源泉と成る。


全体最適化はビジョン・人・仕組みをつなぐということ。
この中で実は一番厄介なのが「人」。全体最適化はそこに一番手間をかけなければならない。
多くの企業が部分最適の問題に悩まされている中で、解決が進まない最大の理由が、この「人と人」との最適化が行われないことにある。
全体最適化を図る上では、相当に重要な技術となるのが、この人と人との最適化、つまりは皆がなるべく同じような判断ができるようにするための基準、背景情報、事実情報を共有化することにある。

○ビジョンというものは、一般的に「会社」という法人格が発信するものと考えることが多いが、実際に「伝わるビジョン」というものは、そのビジョンが肉声を伴って、言葉で発した人の顔が浮かんでこそ伝わるもの
ビジョンは生身の人間の発する表情や声、その他五感を通じて聞く側の心の中に届き、印象付けられ想いとして伝わるもの。

○全体最適化を図るために最も必要なものがビジョン。
ビジョンによって経営の意思を組織に浸透させ、組織全体を同じベクトルに向かわせ、仕組みを機能させていくことで全体最適化を図っていくわけだが、このビジョンをしっかりと設定し、最終的に業績成果につなげていくためには、「実行」のためのビジョンである必要がある。
社員一人一人が行動を起こすきっかけとして、経営が最初に示さなければいけないのが、この「実行のためのビジョン」。
実行を引き出すためには「伝わるビジョン」であることが必要。
「伝わるビジョン」にするためのポイントは、
・「実行のイメージができる」
・「分かりやすい」
・「8割の社員の納得感が得られる」の3つ。
(最後は厳密には6割から8割程度の社員に受け入れられるのであればOK)

○もし全員で何かを一緒に実現していこうという動機付けに変えていくのであれば、数値目標の先にある「何か心を動かされるもの」「ワクワクするようなもの」によって「皆で協力して達成させていきたい」と思わせるような大きな目標を設定する必要がある。

○ビジョンの共有浸透が終わると次のステップとしては、戦略策定になる。
・「明確なビジョンを判断軸として戦略を絞っていく」こと
・「実行に時間をかけるために戦略策定の期限を決める」ことが大切。
 (実行は長時間、策定は短時間で
・「意思決定者の判断の仕方を変える」必要がある。(∵短時間で策定を終えるため)

○人の血管の長さは10万kmにも及ぶ。そして、この10万キロの血管に向けて、心臓からは毎日8000リットル(ドラム缶40本相当)の血液を送り込んでいる。これを生まれてから死ぬまでの間、毎日一瞬たりとも止まることなく続けている。
とても偉大な人間の心臓だが、仮に人の体を企業に喩えるなら、経営者とはこの心臓部分にあたる。企業という大きな体を動かしていくために、経営者はとてつもない量の血液を絶えず送り込まなければならない。
ここで言う血液とは企業で言えば「経営の意志」にあたる。 スティーブ・ジョブズのようなカリスマ性やオーラがなければ、経営の意をくんだ人材を1人でも2人でも増やしていくしかない。
ビジョンの実現に向けて組織を動かし続けていくということを継続させていくためには、経営者一人が奔走するのではなく、全体最適化を通じて経営の意志をくんだ人材を増やしていくことが重要。

一般的に経営戦略や事業戦略というとどうも失敗が許されないイメージがある。
戦略というのはあくまで仮説。ものづくりや技術の世界で言えば単なる試作品。試作品を完成品に仕上げていくためには継続して開発をしていかなければならない。これからは、ものづくりや技術の世界と同じように「戦略」を継続して開発させていくという発想が必要。

ものづくり同様、戦略もプロトタイプを作って進め、ピボットして良い、という考え方が斬新であった。
・全体戦略とはビジョン・人・仕組みをつなぐこと。その中で一番で手ごわいのは実は「人」。
・戦略策定は短時間で。
・スモールウィンは継続の源泉。
心してこれからの半年を過ごしたい。

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