2016年11月6日日曜日

『超・箇条書き』

本屋でたまたま見つけた本だが、久しぶりに「使える本」を見つけた感じ。

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日本以外の多くの国においては、議論する中で、ある程度は意見が衝突した方が成果は生まれる。
しかし、日本では意見の衝突は他国に比べて少ししか許容されず、それを超えて意見をぶつけ合うと成果が失われる。日本では他国よりも、「意見と人格が同一視されがちだから」という理由だ。
議論において、意見の衝突や否定が続くと、日本では意見を否定された人は、自らを否定されたように感じ、相手を遠ざける。
立場が逆でも同じようなことが起こる。意見を否定した人は、その相手自体を遠ざけるようになる。
このため、日本では一般的に率直な意見は好まれないし、成果につながりにくい。
率直な意見が成果を生み出さない社会においては、箇条書きは場合によっては「伝わり過ぎる」面がある。だから、日本では箇条書きを使わないことが、ある程度は合理的だった。
だが時代は変わった。これからの社会は情報過多の社会だ。「情報量に対して人間の情報処理能力が足りていない」という時代の流れがある。
このような情報過多の時代だから、「短く、魅力的に伝える」こと、つまり情報を選別し、少なくすることの価値が増えている。
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世界的には「ビュレット ポイント(Bullet Point)」という「箇条書き」であるが、これをさらに一工夫して「理解しやすく、共感を得やすく、行動を誘発する」技術が『超・箇条書き』である。


『超・箇条書き』は、普通の箇条書きの「羅列化」の他に、3つの技術的要素が加わる。
<3つの技術的要素とそのポイント>
「構造化」:相手が全体像を一瞬で理解できるようにする→レベル感を整える
 ・自動詞と他動詞を使い分ける
 ・直列と並列を意識する
 ・ガバニングを効かせる
「物語化」:相手が関心をもって最後まで読みきれるようにする→フックをつくる
 ・イントロで引き込む
 ・MECEはあえて崩す
 ・固有名詞を使う
「メッセージ化」:相手の心に響かせ行動を起こさせるようにする→スタンスをとる
 ・隠れ重言を排除する
 ・否定を巧みに使う
 ・数字を入れる


言ってしまうと本書の内容はまとめてしまうとこれだけ。
この内容が各ポイントごとに分かりやすく事例を用いて書かれている。

個人的に非常に勉強になったのは相手の理解を助けるための「自動詞と他動詞の使い分け」の以下の部分。
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相手の理解を楽にするグルーピング 最初におさえておくべきポイントは、「状態・現象」(静止画)を伝える文と「行為」(動画)を伝える文を分けること。

ある瞬間の静止画、すなわち「そのときの状態」を伝えたければ、1つ一つの文に「自動詞」を使う。
ある瞬間の動画、すなわち「誰かが何かに影響を与える行為(あるいはその行為による因果関係)」を伝えたければ、1つ一つの文に「他動詞」を使う。
つまり、「自動詞を使った状態・現象を伝えるグループ」と「他動詞を使った行為を伝えるグループ」に分けるのだ。

同じ動作を伝えるにしても、自動詞を使い「状態」として伝えると、因果関係を曖昧にできるので、責任逃れができる。
日本語は、英語に比べて主語や目的語を消して、自動詞を使うことが多い。
例えば日本語では「驚いた」のように主語や目的語を入れずに「自動詞を使って状態を表現する」ことが多い。
一方英語では、「He surprised me」のように、主語や目的語を入れ、「他動詞を使って行為を表現する」ことが多い。
理論言語学を研究する畠山雄二氏(東京農工大学准教授)によると、この違いは文化的なものだという。責任を曖昧にする文化のために、日本語は「自動詞を使って表現する」ことが多い。

ベタ書きの長文なら問題にならないが、箇条書きの特徴は、情報処理の負荷を減らすために、情報量を削っていることにある。その中で自動詞と他動詞の使い方を誤ると、正しく意味が伝わらないことがある。

体言止めで書くと、状態なのか行為なのか、そしてそれぞれ過去なのか、現在なのか、未来なのかという6通りの意味の可能性が出てくる。体言止めというのは、多義的であり、曖昧なのだ。
本来動詞であったところを名詞にして体言止めするのは、全体像の理解を妨げる。
このため『超・箇条書き』では体言止めはご法度なのだ。
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う〜ん、なるほど意識したこともなかった自動詞と他動詞の使い分けにも奥が深い文化レベルの違いがあったのか。

あえてMECEを崩して表現し「物語化」するというのも、今の業務をやっていてちょっと疑問に思っていた点を見事に解説してもらった感じ。

常日頃から利用する「箇条書き」。
自分の箇条書きは日々活用している。人と比べてもよく使う方だ。
今日からは「超・箇条書き」に進化できるよう実践していきたい。

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