2011年9月3日土曜日

『都市住民のための防災読本』

主な地震の今後30年以内の発生確率
宮城県沖 99%(M7.5)
三陸沖南部海溝寄り 80〜90%(M7.7)
東海地震 87%(M8程度)
東南海地震 70%程度(M8.1)
南海地震 60%程度(M8.4)
首都直下型地震 70%程度(M6.7〜7.2)
(ちなみに、交通事故や火災で30年以内に死傷する確率は約0.22%。)
今後30年以内にM7クラスの大震災が首都圏を襲うのはほぼ確実だということだ。

大地震に遭遇すると、大都会では「高層難民」「帰宅難民」「避難所難民」という三大「震災難民」が発生する。
この三大震災難民は1923年(大正12年)の関東大震災や、1995年(平成7年)1月17日の阪神・淡路大震災、2004年(平成16年)10月23日の新潟県中越地震では発生していない。今回の東日本大震災で強く認識された部分だ。

内閣府中央防災会議が2005年に公表した「首都直下地震被害想定」(想定:東京湾北部地震 M7.3 冬午後6時 風速15m)によると、死者1万3000人、建物全壊約85万棟、避難者約700万人、112兆円の経済被害、エレベーター閉じ込め事故が30万件発生し、1万2500人もの人が長時間閉じ込められる(これに加えてマンションで18万基のエレベーターが停止、1500人が閉じ込められるとされている)ことが想定されている。

首都圏直下地震の際には、帰宅難民が首都圏で約650万人(都内で約390万人)、地震発生1日後には約540万〜700万人の避難者が発生すると予想されている。
そのうち避難所での生活を強いられる人はおよそ350万人〜460万人と想定されるが、この数字には「帰宅難民」が含まれていないので、地震発生 1日目から大勢の「避難所難民」発生する。

悲しいかな、都内勤務であればかなりの確率で帰宅難民になるということだ。
著者の渡辺実氏は、帰宅難民になったら帰ろうとしないということを提唱している。
どうせ帰り着くことができずに帰宅難民になるくらいなら、首都直下型では恐らく多数発生するであろう負傷者の救助をすべしということだ。

家庭での防災として、災害用備蓄がある。一人一日2〜3リットルということはよく言われているが、震災後の対応でなるほどと思ったのが冷蔵庫の活用だ。
停電になったら、冷凍庫から中身を冷蔵庫の最上段の棚にギッシリ詰め込む。
そして残った冷蔵庫スペースに食材をあまり詰め込まない程度にいれる。
閉めた冷蔵庫のドアをガムテープ(剥がすのが楽な布のガムテープが理想的)で目張りして、開けられないようにすると、これで昔の氷冷蔵庫に早変わり。
食べる時まで絶対に冷蔵庫のドアを開けないことが肝心。
備蓄していた非常用食料で、地震後1〜2日はしのぎ、2〜3日目に冷蔵庫からほどよく解凍された冷凍食品をとり出し、バーベキューを楽しむ。その際、食品には必ず火を通すこと。(だからカセットコンロおよびガスボンベは必需品)

また、非常時のトイレだが、ゴミ袋を便器にかぶせて、猫のトイレ砂を中に入れると簡易「非常用トイレ」となる。(猫のトイレ砂は吸水機能、消臭機能に優れている)

首都圏勤務者の一人であるので、有事には帰宅しない前提で家族と考えておく必要があると強く認識させる本であった。

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