2011年9月4日日曜日

『改築上手』

リフォーム関連についても仕事で関係があったので勉強のため読んでみた。
平野俊郎氏と大和ハウス工業総合技術研究所著ということで、正直戸建てよりの感は否めないが、マンションも含めたリフォームに関する知見が書かれていた。

住宅リフォームの市場規模は5兆2591億円(2009年推計)、5兆4000億円(2010年予測)と伸びてはいるもののリフォーム産業は成熟に向かっている。
実は、建設業法の全28業種からなる建設区分のなかに、「リフォーム業」はない。つまり、「リフォーム」という業種は法律上存在しない。
リフォームは歴史の浅い産業であり、何十年も前から専業でやって来た業者はいない。リフォーム業者の出自は大きく分けて3つ。
・住宅設備メーカーが参入したケース。
・塗装業者、内装業者などの専門設備業者が行うケース。
・大手ハウスメーカーがオールラウンドで行うケース。

その他、リフォームとは直接関係ないが、住宅関連に関係する豆知識がいくつか得られた。
○1980年代初頭の北海道で起きた「なみだ茸事件」
オイルショックによる灯油の値上がりに対応するため、北海道の住宅業者は断熱材(グラスウール)を50ミリから100ミリと厚くすることで断熱性能を高めようとした。
壁に防湿層がなかったため、グラスウール内に結露が生じ、壁から床、床から土台木部へと伝い落ちた水や湿気が、木材腐朽菌「なみだ茸」の繁殖に適した環境をつくっていった。

○LEDは目に易しいというメリットもある。
同じ照度の蛍光灯とLEDのもとで、長時間、計算問題を解く。その後、唾液に含まれるアミラーゼの濃度でストレス(疲労度)を比べた所、LEDを使った人の方が少なかったという実験結果がある。
その反面、一般的な白色LEDの光には覚醒効果があることも認められている。

○音が響く部屋にいるとストレスがたまり、疲れやすくなる。同じ大きさの部屋で比較した所、音の残響時間は和室の平均0.3秒に対し、洋室は1秒だった。

○北京の故宮博物院として有名な紫禁城(15世紀初頭に造営)の中枢部地下5〜6mには、粘り気のある物質層がある。これは「煮た餅米と石灰」で、免震的作用を期待したと考えられる。

○日本の鎌倉の大仏も1961年の改修工事の際、将来の大地震に備えて、坐像の下に取り付けたステンレス鋼板がその下の御影石の台の上を自由に滑ることのできる免震構造が採用された。

などなど。
正直、網羅的とは言えないが、楽しくリフォームについて知ることができる。

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