2013年11月24日日曜日

情報の重要性

会社でHOLOS-BRAINSの細田収さんのセミナーを受けた。
細田さんは住友不動産から東京海上日動あんしん生命に転職し、成果を出した人らしい。
「心理学と脳科学の観点からの営業セミナー」ということで興味を持って受講した。


売り手と買い手に別れて、売り手は1,000円の価値を売り込むトークを4分間で行い、買い手がジャッジするというペアワークを行った。
これは、「売り込み」という行為を行うにしても、まず商品の説明を行うのではなく、相手のニーズ、嗜好を聞くことから入るべし、ということに気づくワークだったようだ。

この日の最大の気付きがあったのは、以下のワーク。
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あるメーカーが新商品のパンフレットを企画制作することになり、2社の印刷会社に声をかけたところ、A印刷とB印刷の営業パーソンがそれぞれ訪問してきた。

それぞれの営業パーソンが聞いて帰ったことは以下の通り。
A印刷:パンフレットサイズ、色数、部数、納期、納品場所
B印刷:新商品の特徴、客層とニーズ、販売方法、競合メーカー、販売時期

さて、A印刷、B印刷にそれぞれ期待することは何か?また、そこにはどんな違いがあるか?
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A印刷には、印刷業務そのもの、価格(安さ)を期待し、B印刷にはクリエイティブな紙面を期待する、ということで、営業サイドがヒアリングする内容で相手の期待する内容が異なってくるというもの。

このワークで気付いたのは、営業場面に関わらず、相手がどんな情報を持っているか(持っていると思うか)によって期待する内容が異なってくるということ。
新入社員の提案と、中堅社員の提案では、提案内容が同じであっても取り上げられる確率が断然異なるのは、提案の内容以前に、持っているだろうと思われている情報量が異なることによる「期待度」の違いからではないだろうか。

情報を持っている(少なくとも持っているように振る舞う)という行為は相手の自分に対する期待度を上げ、自分のプレゼンを受け入れやすくするためには必須のこと、というわけだ。

顧客にとって営業マンが、その業界の情報をもっているのは当たり前で、業界以外の情報・知識をどれだけ持っているかによって、営業マンに期待する付加価値度合いが変わってくるということらしい。
情報過多の時代。情報の取得能力よりも情報の選別能力の方が重要であると言われているが、周りから「情報を持っていると思われる」ことは相変わらず非常に重要ということだ。

その他にも、「販売代理人」と「購買代理人」という概念も参考になった。
これからの営業は、会社サイドの売り込み(販売代理人)ではなく、顧客サイドの目線をもった「購買代理人」として振る舞う必要があるというものだ。


細川氏、不動産業から保険業界へ転職ということで、どちらにも精通していて面白いトピックを色々話してくれた。
◯保険会社は自分が採用(ヘッドハンティング)してきた人間は、自分で育成する。
◯保険業界の考え方としては、「商品は常に顧客のライフプラン上にある」。なので契約してからがスタート。
◯表面的なニーズに対する対応は常に比較にさらされる。顧客の真のニーズを発見することが重要。
 ☞情報過多時代においては、課題解決能力よりも問題発見能力の方が大切という、ダニエル・ピンクの主張とも合致する。

リアルな世界がネット世界に喰われつつある。保険業界もその一つ。
しかし、細川氏の見立てでは、不動産業界は宅建業法がある(宅建業法に守られている)のでネット世界には喰われないとのことであった。
ネット世界で勝負すると、スピード感がリアル世界の何倍にも加速する。新規参入組にはチャンスであり、既存組にとっては脅威である。
医薬品業界が色々理屈をつけてネット販売を不可とし対面販売にこだわるのも、そう言った理由があるのかもしれない。

当初、期待した心理学、脳科学との関連部分は時間の関係もあって、あまり聞くことができなかったが、それ以外の点で気付きの多いセミナーであった。




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