2015年8月7日金曜日

山口紀行 その4

金子氏のアトリエ。
ナビ入れても最初迷っちゃって、
金子さんから「迷ってませんか」と折り返し電話きちゃう。
金子司さんという作家の作品が色んな萩焼のお店においてある。
スポイトでつくる作風で、他の萩焼とは一線を画したデザインなので、作家名が出ていなくても誰の作品かすぐ分かる。
萩焼会館という所に寄って萩焼のことを学ぼうかと思ったけど、そういう場所でもなかったみたいでよく学べず。
(前日のお酒好きな某萩焼店店主の方が色々知っていて教えてくれた)
そんな中、移動途中にあるカネコツカサさんの工房(アトリエ)を尋ねることにした。

工房って言ってもショップ併設なんだろうと思って、観光ガイドに「要予約」とあったので念のため電話をすると、電話に出たのが何とご本人。
「今日今からなら時間ありますよ」
なんかイメージしていたのと違いそうだと思いつつ工房に伺うと、ショップなどというものはなく、完全な「工房」(一応、一室には作品が沢山置いてあって確かに購入できるんだけれども、そんなところを観光ガイドに出す編集はいかがなものかと思いつつ)
作家ご本人が、何故か時間を割いて色々教えてくれて、作り方まで見せてくれた。
(本当はビデオに収めたいくらいだったが、それやると機嫌を損ねてお話聞けなくなるリスクを考え記憶の中に)
1時間半くらい色々話しを聞き実際に見せてもらっただろうか、お忙しいだろうに非常に勉強になった。

その中での金子氏からの教えをいくつか。
・珈琲カップの色について。濃い色だと濃い味を想定するので、本当に濃い珈琲でないと薄味に感じる。逆に薄い色だと薄い味を想定するので、濃い味だとより濃く感じる。
良いカップは珈琲が(黒ではなく)赤く見える。
・勾玉の狭い部分は切れることを暗示する。そこからお酒を注ぐのは縁起が悪いので、徳利は口のない部分から注ぐ。だから自分は徳利でも瓶子のように口をつくらないのが多い。そうすると花瓶にも使える。
・お猪口は肘を上げながら奥側を上から持つのが正式(平盃で飲む感じ)。時代劇でもそういう細かい所作を大切に撮影している。
・お酒を飲む姿が様になる(口を迎えに行くのではなく、呑む時に手首を返して呑む)ように、お猪口はあえて下を重くなるよう作っている。(バカラのグラスをイメージされたし)
・長い首形状は「鶴首」と言われる。六角の「亀」と合わせると縁起が良い。竹も持ってくると縁起物三点セットになるが、竹モチーフをもう一つもってくると逆の意味合いになる。竹は2本で節が合うと「ふしあわせ」になると言われている。(実際的には建築的に節が合わない方が強度が出るため?)
・韓国では、取り皿という概念がない。(というより「個人の取り皿」というのは日本独自)。
・韓国では、自分だけに取るという考えにつながるとして「取り皿」の概念がない。食器も金物のモノが多く、韓国の焼き物作家は自国内に需要が無くて苦労している。
・元々焼き物は韓国から来たが、韓国から来ている焼き物の素晴らしいものは何万も作ったうちの良い一枚。
・皿を手に持って食べる文化も日本独自。西洋では大皿が置いてあって皿の上に皿を置いたりする。だから日本の皿は端が高く、惣菜等が盛りやすくなっているのに対し、西洋の皿は端が低く、大判で安定している。(ナイフで皿の上で切り分けたりするため)


お話を聞いて、金子さんワークショップやったりしているし、キノコの焼き物のアートなんかを見ると、萩焼名人というよりは、萩焼をベースとしたアーティストだ。
まだまだ若い方(45歳前後?)なのでこれからが楽しみ。
(萩焼職人としては、50歳代はまだ若手らしい。by昨日ヒアリングした某萩焼店店主)
人柄も素晴らしいし陰ながら応援しよう。

アート作家の生活ってどんな感じかと興味本位で聞いてみた所、
「昼は色々事務をこなしたり人と会ったり。夜は5時間睡眠とるようにして、その他の時間は製作に費やす。個展の前だったりすると18時間近くやり続けたりする。」
とのこと。人と接する以外は萩焼と向き合っている感じがする工房であった。




0 件のコメント: