2017年1月1日日曜日

『「いい質問」が人を動かす』

弁護士の谷原誠氏の著作。
「質問すること」の力を再認識させられる。

質問をされると、①思考し、②答えてしまう。
まるで強制されるように思考し、答えてしまう。
人を動かすには、命令してはいけない。質問をすることだ。
人をその気にさせるには質問をすること。
また、人を育てるには質問をすること。

「Why」の使い方

「Why」の使い方には注意が必要。
「なぜ?」と質問されると「なぜなら〜」と答えるように、答えに論理性を求めてしまい、相手が「苦痛」を感じる可能性がある。苦痛を感じてしまうと、相手の気分を害する場合がある。
「なぜ?」を使わないためには、「なぜ」を「何」や「どのように」に置き換えるとよい。
逆に、「なぜ」を繰り返していくと、論理的に考え、次第に問題の核心に迫っていくことができる。特にビジネスで部下に対して質問する場合や、自分で問題を突き詰めて考えるような場合に有効。

「仮にクエスチョン」

「仮に○○だったら、どうですか?」というように、仮定の話をして、相手のニーズを引き出そうとするテクニック。
仮定の話なので、自分の事情は一切話をする必要がない。自分側の事情は一切話さず、相手の情報だけを獲得できる魔法のテクニック。

人を育てる質問の注意ポイント

1 相手の意見を肯定する
2 相手の立場に立ち、どうすれば相手が望む結果が得られるかを考える
3 相手に答えを出させる

自己正当化に邪魔をされずに相手の行動を変えるにはコツがある。それは、相手の自尊心を傷つけないこと。
1 相手の過去の行動を正当化すること。
2 過去の行動の理由とは関係ない理由によって行動の変更を迫る質問をすること。
  (この時、一時的な変更ではなく、永続的な変更を求めることが重要)
3 相手が行動を変更したら、それを賞賛し、今後も継続するよう期待をかけること。

ソクラテスの議論

ソクラテスの議論は質問によって成り立っている。
ソクラテスは、相手に質問することにより、相手の言質を取り、その言質と矛盾するような結論に追い込んでいく質問を繰り出していく。
相手は質問に答えることにより、その答えと矛盾することを言えない立場に追い込まれてしまっているので、ソクラテスの質問術の術中にはまってしまう。
質問する方は、自分の立場を明らかにする必要がない。自分の立場を明らかにしなければ、その論理の矛盾を攻撃されることもなく、黙ってしまうこともない。ただ相手の論理の欠陥を見つけるべく質問をしていればよい。
つまり、質問をする者というのは、自分は安全な立場にいて、相手を攻撃する立場にある者のこと。だから、質問をし続けるソクラテスは議論に負けることがなかった。

そもそも流議論術

弁護士が得意とする論法に「そもそも流議論術」がある。
1 そもそも・・・(価値観)
2 ところで・・・(判断基準)
3 だとするならば・・・(結論)


質問の力が強力であるという認識があるが故に、自分に対しても、他人に対しても、クエスチョンはポジティブであるべきだというのが著者の主張。
あらゆるネガティブ・クエスチョンは、ポジティブ・クエスチョンに変換できるし、変換するべき。
なぜなら、質問には思考を強制するパワーがある。否定的な質問をすれば、相手は否定的に考え、肯定的な質問をすれば肯定的に考える。

人を育てる質問の流れなど、実生活でも活用できる内容が多い。
実践あるのみ。

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