インテル CEOだったアンドリュー・ S・グローブ氏が現役時代に書いた本。
既に20年以上経過したものの復刻版。
20年以上経過して、枝葉の内容については更に研究・進化が進んだものもあるが、根本の思想については今なお十分に参考となる内容。
<マネジャーのアウトプットとは>
マネジャーのアウトプット=自分の組織のアウトプット+自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット
というのがグローブ氏の定義。
ライン組織においては前段の「自分の組織のアウトプット」に軸足が置かれるし、スタッフ組織においては後段の「自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット」も重要になってくるという風に考えるとわかりやすい。
<マネジャーのやるべきこととは>
「人が仕事をしていない時、その理由は2つしかない。 単にそれができないのか、やろうとしないのかのいずれかである。 つまり、能力がないか、意欲がないかのいずれかである。」
この洞察はマネジャーの努力の方向を180度変える力がある。
つまりマネジャーのやるべきことは部下の教育とモチベーションの向上だ。他にマネジャーがなすべきことはない。
マネジャーは①部下の教育と②部下のモチベーションの向上。これ以外にやることはないと喝破。
現在増えいているプレイング・マネジャーからすると、「俺たちプレイもしなくちゃなんだよね」という風な気もするが、マネジャーとしては上記の2点こそが重点ポイントであるという整理は非常にわかりやすい。
<ワン・オン・ワン・ミーティング>
実はワン・オン・ワン・ミーティングはマネジャーと社員のコミュニケーションの基本であるだけでなく、マネジャーが入手しうる組織の知識のソースとしておそらく最良のものだ。
私の経験では、ワン・オン・ワンの話し合いを軽視するマネジャーは自分の所属する組織の情報が驚くほど貧弱だった。
ワン・オン・ワンミーティングは、最低1時間は続けるべきであろう。私の経験で言うと、時間がそれ以下の場合に、部下が持ち出してくる問題は、素早く取り扱える簡単なものに自ずと限定されがちである。
場所は、できれば部下の仕事場所か、その近くで持つべきだと思う。部下のオフィスに出向いていけば、監督者は色々なことを知ることができる。
ワン・オン・ワンの大切な点は、これが”部下の”ミーティングであり、その議題や調子も部下が決めるべき筋合いのものと考えることである。 上司はミーティング前にアウトラインを手に入れておき、双方がメモを取ることが大切である
グローブ氏はこのワン・オン・ワン・ミーティングを非常に重視していて、著書の中でも繰り返しその重要性を説いている。
このワン・オン・ワン・ミーティングの手法は個人的にも昔から取り入れていたので、グローブ氏の意見を取り入れたからではないが、この4月から新組織で再びワン・オン・ワン・ミーティングを開始することにした。
<指標について>
インディケーター(指標)は経営に必須の諸要因を測定するもの。
日々確認する事で、隠れた問題が現実に露呈する前に、何らかの是正のための手が打てるようになる。
インディケーターは、監視(モニター)しているものに人の目を向けさせる傾向がある。インディケーターは人に処置を命じる指標であるので、やりすぎにならぬように自戒しなければならない。
これには2つのインディケーターをペアで使うようにすると良い。在庫管理の例でいえば、在庫量と品不足の発生率の両方の監視が必要である。
相反するインディケーターをセットで追うことで、バランスをとることができるという教え。
変革を促す時にはあえて一つのインディケーターしか負わせないという応用編もありそうだ。
<先行指標について>
先行指標(リーディング・インディケーター)は、ブラックボックスの内部を覗く一つの方法で、将来はどんな風になりそうかを事前に示してくれる。
しかも、是正処置をとる時間的余裕を生んでくれるので、問題の発生を防ぐことが可能になる。
先行インディケーターを役立たせるには、”その妥当性を信じなければならない”。これは当然のことと思われるかもしれないが、実際は口で言うほどたやすくは確信が持てないものである。
あるインディケーターを選択する以上は、それが警戒信号を発した時には必ず行動を起こすと言うように、信用できるものでなければならない。
先行指標の重要性は、論をまたないところだが、ついつい「たまたま指標がそう出た」と解釈をして行動に出ないことがある。その点は厳に戒めなければならないという実務家ならではの指摘だ。
<ミーティングについて>
私の典型的な1日の中で、私が参加した活動は25にのぼる。
そのほとんどは情報の収集と提供であるが、意思決定とナッジングも含まれている。
また、私の時間の3分の2は何らかの形のミーティングに使われている。
ミーティングこそマネジャーとして活動する機会を提供しているのである。
ミーティングを時間の浪費だとする向きもあるが、ミドル・マネジャーの仕事である、情報やノウハウの提供、物事を処理する望ましい方法を自分の感じた通りに監督下にいる人々や影響下にあるグループに伝えることは、両方ともミーディングを通じてのみ遂行できる。
だから、ミーティングはマネジャーが仕事を遂行する”手段”そのものに他ならない。
(ピータードラッカーもかつて、マネジャーがその時間の25%以上をミーティングに使っているならば、それは組織不全の兆候であるとすら言っている)
我々はミーティングの存在の当否と戦うのではなく、むしろその時間をできるだけ能率よく使わなければならないのである。
マネジャーには二つの基本的な役割があるので、2種類のミーティングが基本的にある。
一つは”プロセス中心”のミーティングと呼ばれ、そこでは知識の共有化と情報交換が行われる。
もう一つの目的は、具体的な問題の解決である。”使命中心(ミッション)”と呼ばれるこの種のミーティングでは、”意思決定”をすることが多く、特別な目的のために随時開かれる。
具体的な意思決定のため招集するミーティングは、出席者が6、7人以上になると、スムーズに動かなくなることを忘れてはならない。
8人が絶対に打ち切るべき上限である。意思決定は観るスポーツではない。見物人はやることの邪魔になる。
理想的に言えば、臨時の突発的な使命中心ミーティングは招集しないに越したことはない。万事がスムーズにいっていれば、定期のプロセス中心ミーティングですべて面倒を見られるはずである。
だが、現実には、万事がうまくいっていても、日常のミーティングは問題や出来事の80%を処理するだけで、残りの20%の処理は、やはり使命中心ミーティングに頼らざるを得ない。
ピーター・ドラッカーは、時間の25%以上を会議で過ごすようなら、それは組織不全の兆候だと言っている。
私なら、こう言いたい。組織不全の真の兆候は、人が25%以上の時間を、臨時に開かれる使命中心ミーティングで過ごす時に現れる、と。
ドラッカーさんからは「無駄」とされているミーティングこそマネジャーの目的達成のための重要な手段であり、それを効率的に行うことが必要である、ということで、何度もミーティングに関しては記載がある。
実務を行うものとしては、「ミーティングを減らせ」と言われると「代わりに何をやるの?」ということになるが、「その目的を考え、効率的に行え」ということであれば対応することができる。
<ハイブリッド組織>
組織は(概ね両方が混じっているのだが)2つの典型的な形態に分けられる。
完全な”使命中心”の形態と、”機能別”編成形態である。
完全に分権化された、使命中心型では、ここの事業単位が自らのやるべきこと、つまり使命のみを追求し、他の単位との絆はあまり強くない。
これと対照的なのが、完全に中央集権化された、全くの機能別編成の組織形態である。
アルフレッド・スローンは、数十年間のGM社での経験をこう語っている。
「経営管理の成否は、集権化と分権化の調和にかかっている」と。
つまり、即応性とテコ作用の最善の組み合わせを求めてバランスをとる行為が鍵だとも言える。
インテル社従業員の3分の2が、機能別単位の中で働いていることそのものが、その非常な重要性を物語っている。
会社をこうした昨日グループに組織化する利点は何か。
まず第一に、規模の経済が実現できることである。
もう一つの長所は、全社的な優先順位の変更に対応して、社の資源を移行し再分配ができる点である。
さらにその長所として、テクノロジー開発部門の研究技術者のような、ノウハウ・マネジャーの専門的知識や技術を会社の隅々にわたって使用でき、それらの知識と仕事に強いてこ作用を与えてくれる点がある。
インテル社の相当部分を機能別に組織化していることには短所もある。
最も重要なのは、様々な各事業単位からの要請に応えなければならない時に、過重な情報負担が機能グループにのしかかるという問題である。
会社の大部分を使命中心形態に組織化する長所はなんなのだろうか。それはただ一つしかない。つまりここの集団や単位が、絶えず自分の事業あるいは製品分野に対するニーズと接触を保ち、こうしたニーズの変化に対して迅速に対応できるという点”だけ”である。
他のすべての点においては、どう考えても機能別編成の組織化の方に軍配が上がる。
高度に使命中心型の組織は、明快にピシッと規定された所属関係と明確で曖昧さのない目標を絶えず持つことはできるかもしれない。
しかし、その結果生じる物事の分断状態は、非能率と、全体としての不十分な業績をもたらす。
【グローブの法則】
「共通の事業目的を持つすべての大組織は、最後にはハイブリッド組織形態に落ち着くことになる。」
グローブ氏は、ハイブリッド組織についても紙幅を割いている。
組織の縦串と横串をどう刺すのか。これは企業の永遠のテーマと言えるかもしれない。
<CEOは楽天家>
CEOは先行きが楽観的だという見通しのニュースに従って意思決定する。
一方で悪いニュースの場合は、それが実際に起きてからでないと意思決定に取り入れない。
その理由は、何であれ偉大なものを作るなら、その人は楽天家でなければならない。定義からして『オプティミスト』は普通の人間が不可能だと思うようなことをやろうと人間のことだ。
だからオプティミスト(=CEO)は先行きが悪くなるというニュースに従って行動はしないのだ。
しかし、結局CEOというのはオプティミストでなければ務まらない。それにトータルで考えれば、先行きが悪くなるというニュースに従って行動しない方がいいのだ。
これは自身が批判された内容について反論したものとも受け取れなくはないが、トップとは楽天的でなければ務まらないものであるらしい。
<『ピーターの法則』>
組織論における経験則。管理職の地位に誰を昇進させるかは、昇進後の地位に必要な能力には寄らず、現在の地位に対する能力によって判断される。そのため、管理職は必ず無能となる地位まで昇進する。
冒頭述べたように、これは20年以上も前に書かれた本である。
高度な専門性を持つ社員を”ノウハウ・マネジャー”と位置付けていたり、制約理論の基礎となるボトルネックの考え方が”リミティング・ステップ”という表現で出てきたり。
他にも「スター従業員こそ伸ばすべき」だったり、「従業員が会社を辞めると言ってきた時には全てを投げ打って話を聞く必要がある」など、実務家ならではのアドバイスが多く非常に参考になった。
4月から新組織を立ち上げるための準備で、3月から4月にかけてバタバタしており、全くブログにアップできず。
結構本は読んでいるのだが。落ち着いてきたので、チョコチョコあげよう。
既に20年以上経過したものの復刻版。
20年以上経過して、枝葉の内容については更に研究・進化が進んだものもあるが、根本の思想については今なお十分に参考となる内容。
<マネジャーのアウトプットとは>
マネジャーのアウトプット=自分の組織のアウトプット+自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット
というのがグローブ氏の定義。
ライン組織においては前段の「自分の組織のアウトプット」に軸足が置かれるし、スタッフ組織においては後段の「自分の影響力が及ぶ隣接諸組織のアウトプット」も重要になってくるという風に考えるとわかりやすい。
<マネジャーのやるべきこととは>
「人が仕事をしていない時、その理由は2つしかない。 単にそれができないのか、やろうとしないのかのいずれかである。 つまり、能力がないか、意欲がないかのいずれかである。」
この洞察はマネジャーの努力の方向を180度変える力がある。
つまりマネジャーのやるべきことは部下の教育とモチベーションの向上だ。他にマネジャーがなすべきことはない。
マネジャーは①部下の教育と②部下のモチベーションの向上。これ以外にやることはないと喝破。
現在増えいているプレイング・マネジャーからすると、「俺たちプレイもしなくちゃなんだよね」という風な気もするが、マネジャーとしては上記の2点こそが重点ポイントであるという整理は非常にわかりやすい。
<ワン・オン・ワン・ミーティング>
実はワン・オン・ワン・ミーティングはマネジャーと社員のコミュニケーションの基本であるだけでなく、マネジャーが入手しうる組織の知識のソースとしておそらく最良のものだ。
私の経験では、ワン・オン・ワンの話し合いを軽視するマネジャーは自分の所属する組織の情報が驚くほど貧弱だった。
ワン・オン・ワンミーティングは、最低1時間は続けるべきであろう。私の経験で言うと、時間がそれ以下の場合に、部下が持ち出してくる問題は、素早く取り扱える簡単なものに自ずと限定されがちである。
場所は、できれば部下の仕事場所か、その近くで持つべきだと思う。部下のオフィスに出向いていけば、監督者は色々なことを知ることができる。
ワン・オン・ワンの大切な点は、これが”部下の”ミーティングであり、その議題や調子も部下が決めるべき筋合いのものと考えることである。 上司はミーティング前にアウトラインを手に入れておき、双方がメモを取ることが大切である
グローブ氏はこのワン・オン・ワン・ミーティングを非常に重視していて、著書の中でも繰り返しその重要性を説いている。
このワン・オン・ワン・ミーティングの手法は個人的にも昔から取り入れていたので、グローブ氏の意見を取り入れたからではないが、この4月から新組織で再びワン・オン・ワン・ミーティングを開始することにした。
<指標について>
インディケーター(指標)は経営に必須の諸要因を測定するもの。
日々確認する事で、隠れた問題が現実に露呈する前に、何らかの是正のための手が打てるようになる。
インディケーターは、監視(モニター)しているものに人の目を向けさせる傾向がある。インディケーターは人に処置を命じる指標であるので、やりすぎにならぬように自戒しなければならない。
これには2つのインディケーターをペアで使うようにすると良い。在庫管理の例でいえば、在庫量と品不足の発生率の両方の監視が必要である。
相反するインディケーターをセットで追うことで、バランスをとることができるという教え。
変革を促す時にはあえて一つのインディケーターしか負わせないという応用編もありそうだ。
<先行指標について>
先行指標(リーディング・インディケーター)は、ブラックボックスの内部を覗く一つの方法で、将来はどんな風になりそうかを事前に示してくれる。
しかも、是正処置をとる時間的余裕を生んでくれるので、問題の発生を防ぐことが可能になる。
先行インディケーターを役立たせるには、”その妥当性を信じなければならない”。これは当然のことと思われるかもしれないが、実際は口で言うほどたやすくは確信が持てないものである。
あるインディケーターを選択する以上は、それが警戒信号を発した時には必ず行動を起こすと言うように、信用できるものでなければならない。
先行指標の重要性は、論をまたないところだが、ついつい「たまたま指標がそう出た」と解釈をして行動に出ないことがある。その点は厳に戒めなければならないという実務家ならではの指摘だ。
<ミーティングについて>
私の典型的な1日の中で、私が参加した活動は25にのぼる。
そのほとんどは情報の収集と提供であるが、意思決定とナッジングも含まれている。
また、私の時間の3分の2は何らかの形のミーティングに使われている。
ミーティングこそマネジャーとして活動する機会を提供しているのである。
ミーティングを時間の浪費だとする向きもあるが、ミドル・マネジャーの仕事である、情報やノウハウの提供、物事を処理する望ましい方法を自分の感じた通りに監督下にいる人々や影響下にあるグループに伝えることは、両方ともミーディングを通じてのみ遂行できる。
だから、ミーティングはマネジャーが仕事を遂行する”手段”そのものに他ならない。
(ピータードラッカーもかつて、マネジャーがその時間の25%以上をミーティングに使っているならば、それは組織不全の兆候であるとすら言っている)
我々はミーティングの存在の当否と戦うのではなく、むしろその時間をできるだけ能率よく使わなければならないのである。
マネジャーには二つの基本的な役割があるので、2種類のミーティングが基本的にある。
一つは”プロセス中心”のミーティングと呼ばれ、そこでは知識の共有化と情報交換が行われる。
もう一つの目的は、具体的な問題の解決である。”使命中心(ミッション)”と呼ばれるこの種のミーティングでは、”意思決定”をすることが多く、特別な目的のために随時開かれる。
具体的な意思決定のため招集するミーティングは、出席者が6、7人以上になると、スムーズに動かなくなることを忘れてはならない。
8人が絶対に打ち切るべき上限である。意思決定は観るスポーツではない。見物人はやることの邪魔になる。
理想的に言えば、臨時の突発的な使命中心ミーティングは招集しないに越したことはない。万事がスムーズにいっていれば、定期のプロセス中心ミーティングですべて面倒を見られるはずである。
だが、現実には、万事がうまくいっていても、日常のミーティングは問題や出来事の80%を処理するだけで、残りの20%の処理は、やはり使命中心ミーティングに頼らざるを得ない。
ピーター・ドラッカーは、時間の25%以上を会議で過ごすようなら、それは組織不全の兆候だと言っている。
私なら、こう言いたい。組織不全の真の兆候は、人が25%以上の時間を、臨時に開かれる使命中心ミーティングで過ごす時に現れる、と。
ドラッカーさんからは「無駄」とされているミーティングこそマネジャーの目的達成のための重要な手段であり、それを効率的に行うことが必要である、ということで、何度もミーティングに関しては記載がある。
実務を行うものとしては、「ミーティングを減らせ」と言われると「代わりに何をやるの?」ということになるが、「その目的を考え、効率的に行え」ということであれば対応することができる。
<ハイブリッド組織>
組織は(概ね両方が混じっているのだが)2つの典型的な形態に分けられる。
完全な”使命中心”の形態と、”機能別”編成形態である。
完全に分権化された、使命中心型では、ここの事業単位が自らのやるべきこと、つまり使命のみを追求し、他の単位との絆はあまり強くない。
これと対照的なのが、完全に中央集権化された、全くの機能別編成の組織形態である。
アルフレッド・スローンは、数十年間のGM社での経験をこう語っている。
「経営管理の成否は、集権化と分権化の調和にかかっている」と。
つまり、即応性とテコ作用の最善の組み合わせを求めてバランスをとる行為が鍵だとも言える。
インテル社従業員の3分の2が、機能別単位の中で働いていることそのものが、その非常な重要性を物語っている。
会社をこうした昨日グループに組織化する利点は何か。
まず第一に、規模の経済が実現できることである。
もう一つの長所は、全社的な優先順位の変更に対応して、社の資源を移行し再分配ができる点である。
さらにその長所として、テクノロジー開発部門の研究技術者のような、ノウハウ・マネジャーの専門的知識や技術を会社の隅々にわたって使用でき、それらの知識と仕事に強いてこ作用を与えてくれる点がある。
インテル社の相当部分を機能別に組織化していることには短所もある。
最も重要なのは、様々な各事業単位からの要請に応えなければならない時に、過重な情報負担が機能グループにのしかかるという問題である。
会社の大部分を使命中心形態に組織化する長所はなんなのだろうか。それはただ一つしかない。つまりここの集団や単位が、絶えず自分の事業あるいは製品分野に対するニーズと接触を保ち、こうしたニーズの変化に対して迅速に対応できるという点”だけ”である。
他のすべての点においては、どう考えても機能別編成の組織化の方に軍配が上がる。
高度に使命中心型の組織は、明快にピシッと規定された所属関係と明確で曖昧さのない目標を絶えず持つことはできるかもしれない。
しかし、その結果生じる物事の分断状態は、非能率と、全体としての不十分な業績をもたらす。
【グローブの法則】
「共通の事業目的を持つすべての大組織は、最後にはハイブリッド組織形態に落ち着くことになる。」
グローブ氏は、ハイブリッド組織についても紙幅を割いている。
組織の縦串と横串をどう刺すのか。これは企業の永遠のテーマと言えるかもしれない。
<CEOは楽天家>
CEOは先行きが楽観的だという見通しのニュースに従って意思決定する。
一方で悪いニュースの場合は、それが実際に起きてからでないと意思決定に取り入れない。
その理由は、何であれ偉大なものを作るなら、その人は楽天家でなければならない。定義からして『オプティミスト』は普通の人間が不可能だと思うようなことをやろうと人間のことだ。
だからオプティミスト(=CEO)は先行きが悪くなるというニュースに従って行動はしないのだ。
しかし、結局CEOというのはオプティミストでなければ務まらない。それにトータルで考えれば、先行きが悪くなるというニュースに従って行動しない方がいいのだ。
これは自身が批判された内容について反論したものとも受け取れなくはないが、トップとは楽天的でなければ務まらないものであるらしい。
<『ピーターの法則』>
組織論における経験則。管理職の地位に誰を昇進させるかは、昇進後の地位に必要な能力には寄らず、現在の地位に対する能力によって判断される。そのため、管理職は必ず無能となる地位まで昇進する。
冒頭述べたように、これは20年以上も前に書かれた本である。
高度な専門性を持つ社員を”ノウハウ・マネジャー”と位置付けていたり、制約理論の基礎となるボトルネックの考え方が”リミティング・ステップ”という表現で出てきたり。
他にも「スター従業員こそ伸ばすべき」だったり、「従業員が会社を辞めると言ってきた時には全てを投げ打って話を聞く必要がある」など、実務家ならではのアドバイスが多く非常に参考になった。
4月から新組織を立ち上げるための準備で、3月から4月にかけてバタバタしており、全くブログにアップできず。
結構本は読んでいるのだが。落ち着いてきたので、チョコチョコあげよう。
0 件のコメント:
コメントを投稿