2011年5月5日木曜日

『2030年超高齢未来』

通常医療費は年齢とともに上昇していく。
15歳から44歳までは平均して年10万円程度しかかからないものが、中年期以降は次第に増加していき、高齢期には年65万円以上を必要とするようになる。

我が国の医療費は2008年で年間34兆円、介護費用7兆円、の計41兆円。
これが2025年には医療費が70兆円前後、介護費用20兆円前後の計90兆円前後に増大する。
年金の給付費は2007年の年間48兆円が、2025年には65兆円程度に増大すると推計されている。

今の日本の国民所得は370〜380兆円。
900兆円超の国債および地方債の償還。。

おっかないイントロではじまるジェロントロジーの本。
でも決して悲観的な本ではない。
ジェロントロジーというと日本では「老年学」「加齢学」とかしっくり来ない訳になってしまうが、これからの日本が避けて通れない高齢化に対する処方として、あらゆる学問の英知を結集して対応しようというものだ。

”Aging in Place”
「いくつになっても、住み慣れた地域で安心して自分らしく生きる」というジェロントロジーの基本理念らしい。


今、高齢者の大半は健康で、知識も技術もあり、活躍したいと願っている。
実際、高齢者の身体機能は、昔と比べて随分若返っている。
たとえば、今の75歳の人の歩行速度は、10年前の64歳の人と同じだという調査結果もある。
短期記憶能力は40歳頃をピークに落ち始めるが、言語能力や日常問題解決能力は高齢期になっても伸び続ける。

男性は大多数の7割、女性は9割が、「人生の第4期」に入る75歳頃から少しずつ自立度が落ちていき、何らかの介助が必要となる。
しかし、同時に、いわゆる「後期高齢者」がみんな介護の対象というわけではなく、むしろ大多数の人達は多少の助けがあれば、日常生活を続けられるという実態も把握できた。


これからの超高齢化社会の設計においては、2つの視点が必要となる。
一つは衰えていく年齢を遅くする健康寿命の延長。
もう一つは、衰えてしまった期間をいかに安心で快適に、そして尊厳をもって生きることが出来る生活環境を整えるのかという視点。介助を必要とする高齢者の生活を支援するための社会インフラの整備である。


大震災で忘れかけていたが、この問題も日本が解決しなければならない重大な問題である。
地域連携の予防医療など、様々な取り組みを今から行っていく必要があると感じる。

『なぜ、町の不動産屋はつぶれないのか』

「土地」というものの特性から入って、「サラリーマン大家さん」になろうという勧めの本。

日本人は世界の中でもとりわけ「不動産好き」の国民。
住宅の持ち家率は総務省「平成20年住宅・土地統計調査」によれば約61%と先進国の中でも上位の水準。

土地はなくなることのない資産。会計上でも永遠。
土地の持っている最大の価値はこの「永遠」性ではないか。
これだけ多くの活用方法があり、かつそこから多様で多額の収益を生み出すことができるのは土地だけ。
金(きん)はどこまでいっても「金」だが、土地は「顔」(建物)をチェンジすることが可能。


不動産を構成する世界が「ギャンブラー」と「大家」という2つの側面から成り立つものとすれば、町の不動産屋は、基本は大家の手伝いをしながら、ときおり不動産の仲介業務を通じて手数料を収受することが仕事。
自分で土地を売買したり、あるいはマンションを分譲したりしないので、彼らは基本的に借金をする必要がない。
「相場をはらない不動産ビジネス」ーそれが町の不動産屋。
不動産ビジネスのもつ「ギャンブル」の側面に手を出さない限りにおいて、土地は一定の安定収益源足りうる存在。
「大家」業の手伝いをベースとしている町の不動産屋はリスクが少ない。だから町の不動産屋はつぶれることがないという訳。


日本は、1年の間に土地の値段=地価について4つの異なった指標が発表される。
公示地価(国土交通省)、都道府県基準地価(都道府県)、路線価(国税庁)、固定資産税評価額(地方自治体(総務省))。
年に4回報じられるので、地価変動期には地価がすごい勢いで変動してる印象を与える。

そもそも適正な地価などという指標は、この世の中には存在しない。
土地の価格はある意味で、その国や地域が持っている活力の表象。


会社の先輩が
「つまるところ、不動産屋の能力は土地一種あたりの土地代を算出できることに尽きる」
と言っていたのを印象的に思い出した。

2011年5月3日火曜日

『日本人へ 国家と歴史篇』

以前読んだ塩野七生女史の『日本人へ リーダー篇』の姉妹編。
ローマ帝国の歴史観からの現実的な政治感覚はさすが。
民主党であっても、自民党であっても政策の継続性(特に対外政策)を守ることは大切であることを強く述べている。

ローマ帝国とは、所詮、ユリウス・カエサルとアウグストゥスとティベリウスの三人が創設した。
カエサルが青写真を描き、それをもとにしてアウグストゥスが建設し、ティベリウスが内装その他を整備し、以後もこの形で進んだのがローマ帝国。
五賢帝といえども、この三人の先輩の定めた国策を、百年も過ぎればほころびが出るので再構築しただけである。
カエサルは、ローマに征服された地方からも広く人材を登用するのを国策として確立。
アウグストゥスは、税金は広く浅くとるものとし、税率も変えない税制を確立する。「百分の一(チェンテージマ)」と言えば消費税のこと、「二十分の一(ヴェンテージマ)」と言えば相続税であることは子供でも知っていた。
ティベリウスが最も力を入れたのは、治安の確立と司法の公正。ローマ市民権(当時の国籍)さえ持っていれば控訴権が完全に保障されたのは、古代ではローマ帝国だけ。

ローマの歴代の皇帝は、前任者が行った政策でも、良しとしたことは、いかにそれが評判の悪かった皇帝の政策であっても、継続することに何のためらいも持たなかった。


「天国に行くのに最も有効な方法は、地獄へ行く道を熟知することである」
というマキアヴェッリの言葉がある。
庶民であれば、なるべき悪いことには近づかないようにして生涯を終える程度の理解で充分だが、指導者となるとそうはいかない。
たとえ自分は地獄に落ちようと国民は天国に行かせる、という覚悟が必要となる。
日本の政治家にはノブレス・オブリージはなくなってしまったのだろうか。

「改革は、いまだ余力のあるうちに成されない限り、絶対に成功しない。我らが日本にとっては最後のチャンスになるだろう。」
これは今回の震災前の塩野女史の弁である。震災により日本は更に待ったなしになっている。
政治機能不全を嘆いていても始まらないので、危機感をもって臨みたい。

2011年4月24日日曜日

『イシューからはじめよ』

そもそも”イシューとは?”というのが良くわからずに面白そうだったので購入。

バリューのある仕事とは何か。
バリューの本質は 「解の質」×「イシュー度」で測られるらしい。
「イシュー度」を分かりやすく言うと「課題の質」ということらしく、だったら
バリューの本質=「解の質」×「課題の質」
と言った方が日本人的には分かりやすいような気がするが、本のタイトルが「課題の質からはじめよ」だったらきっとこの本を購入して読むことはなかったので、フックとして「イシュー」という言葉なのであろう。

閑話休題
簡単に言うと、課題の質を考えて仕事をしないと、いくら課題を解決してもバリューのある仕事はできませんよ、というのが本の主題である。

イシューを特定するための情報収集として、「一次情報に触れる」「基本情報(マイケル・ポーターのファイブ・フォース+2)をスキャンする」というのの他に「集めすぎない・知りすぎない」というのがあって面白かった。
確かに、知りすぎることが発想の制約を生むことは往々にしてある。


「分析とは何か」という問いも面白かった。
分けることか?数字で表現することか?戦略的な課題について検討することか?
著者曰く「分析とは比較、すなわち比べること」。分析では適切な「比較の軸」がカギとなる。
そして、定量分析には3つの型があり
1 比較
2 構成
3 変化
のいずれか、またはその組み合わせになるのだそうだ。
言われてみれば、そうかも知れないが、そこまで深堀りして「分析」について考えたことがなかったので斬新であった。

著者の安宅和人氏であるが、東京大学大学院生物化学専攻で修士号取得後、コンサルのマッキンゼーに入社。その後、イェール大学で脳神経科学プログラムに入学して学位を取得。現在はヤフーで勤務という異色の経歴の持ち主である。
プレゼンテーションについても脳神経科学の知見が活かされていて面白い。

<知覚の特徴から見た分析の本質>
1 閾値を超えない入力は意味を生まない
脳神経系の基本単位である単一のニューロンでは、ある一定レベルの入力がないと情報を長距離にわたって伝達する活動電位というものが発生しない(全か無の法則)。神経系は群であろうと脳のレベルになろうと、基本的に同じ特性をもっている。その結果、匂いであろうが音であろうが、ある強さを超えると急に感じられるようになる。
2 不連続な差しか認知しない
脳は「なだらかな違い」を認識することができず、何らかの「異質、あるいは不連続な差分」だけを認識する。
実は、分析の本質が「比較」というよりは、我々の脳にとって認知を高める方法が「比較」。
3 理解するとは情報をつなぐこと
ニューロンはひとつあたり数千から5千程度のシナプスを形成し、ひとつのニューロンが多くのニューロンとつながっている。ここで異なる情報を持った2つ以上のニューロンが同時に興奮し、それがシナプスでシンクロ(同期)したとき、2つ以上の情報がつながったということができる。
すなわち、脳神経系では「2つ以上の意味が重なりつながったとき」と「理解したとき」は本質的に区別できない。
4 情報をつなぎ続けることが記憶に変わる
「つなぎを何度も使うとつながりが強くなる」(ヘッブ則)


いくらやっても尽きない会社の業務。イシューを見極めて取りかからないといくら時間があっても足りない。
シンプルかつ大胆に業務を絞り込んでいきたいものだ。

2011年4月17日日曜日

『秘伝 すごい会議』

大橋禅太郎氏、雨宮幸弘氏の共著。
大橋禅太郎氏の『すごい会議』が面白かったので、その続編ともいえる本書を購入した。
実は購入して読んだのは既に5、6年前。

ワークショップというのは定性的な議論を行うには優れている手法だが、定量的なことを絡める場合にどのような手法があるのか、と考えていた時に参考になるとて購入した記憶がある。

今回の人事異動で、いろんな会議の事務局をやることの多い部署に異動となったので、再読してみた。

参加者の意識をひとつにまとめる手法が満載。

○お題にはすぐに回答する
【ファストチェスの話】
「5秒で出した答えと30分で出した答えでは、何%ぐらいが同じ答えだと思いますか?チェスには名手を育てる、ある方法があります。どのように育てるかと言うと、5秒で答えを出す早差しの訓練をします。5秒で出した答えと30分で出した答えは86%同じでした。」

○紙に書いてから発表する
【スピーチが始まらない】
紙に書かないで発表すると、スピーチ好きの方が2分3分平気で話をする。でも、紙に書いたことをそのまま発表すれば、一人20秒もあれば終わる。
【書いている時は、周りの人が何を書いているかわからない】
紙に書けば、影響力のある人の意見に左右されずに自分の考えが明確に分かり、それを相手に伝えられる。また、自分の考え方と参加者の考えが、どこが同じでどこが違うかが明確になる。

○『私が言うには』という枕詞をつけてから発表する
自分と違うオピニオンが出てきても反発感が起こりにくい。

○「誰も言えない」内容を共有する
【[会議の精霊]の話】
「ここから発表のやり方を変えます。今までは順番に発表してもらいました。アメリカでナバホ族というインディアンがいます。部族長会議では会議の精霊がいるとされています。精霊が自分の体に入った人から勝手に話しはじめます。
今からそれをやってみたいと思います。後で、誰かに『お前よくも言いやがったな!』と言われたら『私が言ったのではありません。精霊が言ったのです』と言うことができます。
それでは精霊が入った方からどうぞ」

○課題に向けての問題点をだしてもらう。
次に、その内容を「どのようにすれば〜だろうか?」という表現に変換してもらう。
さらに、「どのようにすれば〜だろうか?」をパワフルな表現に変換してもらう。
☞「何故」と聞いて、どんな答えが返ってくるかというと【言い訳】が返ってくる。
☞「どのようにすれば」と聞くと、【対策】・【コミットメント】が返ってくる。

○聞く側は、発表者が1つ目のコミットメントとアクションを発表し終わったら、次の3つの発言をする。
①提案
聞いているといろいろなアイデアが浮かんでくる。それを提案の形で発表する。
②明確化のための質問
聞いているとわからないことが出てくるので、明確化のための質問をする。
③リクエスト
聞いているとそれではうまくいかないと分かる時がある。そこでリクエストをする。
※放っておくと会議の時間の95%は「コメントの交換」に使われる。

などなど。

すごく参考になる本(やり方)なのだが、当初、考えていた「定量的」な部分については、結局リーダー(経営者)が提示して、それに対して変更の提案を行うこと位しかないってことらしい。

それでも『戦略的フォーカス』
「○年○月○日までに
〜(何らかの数字または測定できること)〜を達成することによって
〜欲しいインパクト〜となる。」
が組織やグループで共有化される一番のメリットは、
「目標を立てなければ起こらなかったことの実現可能性が最大化する」
ことだとすると、参加者のコミットメントが得られるこの手法はすごい。

一度ちゃんと手順を踏んで実践してみたいものだ。

2011年4月10日日曜日

ぼちぼち

家族で柏のお好み焼き「ぼちぼち」へ。
千葉中央にもあるが、サービスレベルが高かった。
味は美味しいが、敢えて言うと値段から考えるとボリュームがもう少し欲しい所。
店のお姉さんが見えなくなるまで見送ってくれるなど、また行こうと思わせる店であった。

2011年4月9日土曜日

怒濤の数週間

4月に異動となり、震災対応、旧部署での引き継ぎ、新部署への異動、対応等等でバタバタ。
すっかり日記へのアップができなくなってしまった。
夜も旧部署での歓送会関係、新部署での顔合わせ会で結構忙殺されている。
落ち着いてきたらまたアップを開始しようと心に誓いつつ。