通常医療費は年齢とともに上昇していく。
15歳から44歳までは平均して年10万円程度しかかからないものが、中年期以降は次第に増加していき、高齢期には年65万円以上を必要とするようになる。
我が国の医療費は2008年で年間34兆円、介護費用7兆円、の計41兆円。
これが2025年には医療費が70兆円前後、介護費用20兆円前後の計90兆円前後に増大する。
年金の給付費は2007年の年間48兆円が、2025年には65兆円程度に増大すると推計されている。
今の日本の国民所得は370〜380兆円。
900兆円超の国債および地方債の償還。。
おっかないイントロではじまるジェロントロジーの本。
でも決して悲観的な本ではない。
ジェロントロジーというと日本では「老年学」「加齢学」とかしっくり来ない訳になってしまうが、これからの日本が避けて通れない高齢化に対する処方として、あらゆる学問の英知を結集して対応しようというものだ。
”Aging in Place”
「いくつになっても、住み慣れた地域で安心して自分らしく生きる」というジェロントロジーの基本理念らしい。
今、高齢者の大半は健康で、知識も技術もあり、活躍したいと願っている。
実際、高齢者の身体機能は、昔と比べて随分若返っている。
たとえば、今の75歳の人の歩行速度は、10年前の64歳の人と同じだという調査結果もある。
短期記憶能力は40歳頃をピークに落ち始めるが、言語能力や日常問題解決能力は高齢期になっても伸び続ける。
男性は大多数の7割、女性は9割が、「人生の第4期」に入る75歳頃から少しずつ自立度が落ちていき、何らかの介助が必要となる。
しかし、同時に、いわゆる「後期高齢者」がみんな介護の対象というわけではなく、むしろ大多数の人達は多少の助けがあれば、日常生活を続けられるという実態も把握できた。
これからの超高齢化社会の設計においては、2つの視点が必要となる。
一つは衰えていく年齢を遅くする健康寿命の延長。
もう一つは、衰えてしまった期間をいかに安心で快適に、そして尊厳をもって生きることが出来る生活環境を整えるのかという視点。介助を必要とする高齢者の生活を支援するための社会インフラの整備である。
大震災で忘れかけていたが、この問題も日本が解決しなければならない重大な問題である。
地域連携の予防医療など、様々な取り組みを今から行っていく必要があると感じる。
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