2011年5月8日日曜日

『EVERNOTE「超」知的生産術』

EVERNOTEの使い方の本なのだが、色々な知的生産術に基づいた知見も記述されていて面白い。
著者の倉下忠憲氏は、コンビニエンス店長業務の傍ら執筆活動を行っている。
梅棹忠夫氏に傾注しているようで、梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』からの引用が多い。

「知的生産というのは、頭を働かせて、なにかあたらしいことがら〜情報〜を、ひとにわかるかたちで提出することなのだ。」
「分類するな、配列せよ。そして検索が大事」
「分類を決めるということは、じつは、思想に、あるワクをもうけるということなのだ。きっちり決められた分類体系のなかにカードを放り込むと、そのカードは、しばしば窒息して死んでしまう。分類は、ゆるやかな方がいい。」
「カード・システムのためのカードは、多様な知的作業のどれにもたえられるような多目的カードでなければならない。よけいなものをつけくわえるほど、その用途はせばめられる」


Evernoteにおける情報整理法を構築していく上で、基本的な考え方になるのは「マドルスルー」。まるで解決策が見つからないなか、泥の中をもがくようにがむしゃらに突き進むことで、いつの間にか解決策に辿り着くという考え。
一言でいえば、「使いながら最適な形を見つけていく」方法。始めから完璧を求めないのが肝要とのこと。
このマドルスルー(muddle through)というのは不確定要素の多い現代における進み方をよく表しているのではないか。

外山滋比古氏の『思考の整理学』からは「メタ・ノート」について取り上げられていた。
①何か考えが浮かんだら、それを手帳などに書き留める
②書き留めたものを後で見返して、脈がありそうなものを別のノートに転記する。
③転記したノートを見返し、まだ脈がありそうなものを更に別のノートに転記する。
最後の移動させたノートが「メタ・ノート」。自分の中で相当関心度の高い情報だけが抽出されている。
このメタ・ノートをさらに見返して、思いついたアイデアや追記すべきものがあれば、書き加えていく。
「古典とは時の試練を乗り越えたもの」というのと同じ発想。

倉下氏の気づきか、芯を食っていると思った記述に、
メモに書き留める着想のイメージは「!」と「?」
というのがある。
つきつめていくと、メモに値するような自らの心が揺さぶられる体験、考えは「!」か「?」に行きつくような気がする。

その他にも
TRIZ(トゥリーズ)という、ロシア発祥の発明的問題解決理論(英語でいうとTheory of Inventive Problem Solving)で発想を支援するための手法(過去のアイデアを分析して、その中に潜む問題解決パターンからエッセンスとなる部分を抽出し、それを定式化し、体系としてまとめたもの)が紹介されていたりと、単なるEVERNOTE活用本以上に参考になった本であった。

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