2011年5月29日日曜日

『「老い」負けない生き方』

同志社女子大学の上田信行先生がMITから戻られて、先日お話を聞く機会があり勧められた本。

「マインドフル」という概念が素晴らしい。
マインドフルとは、周りの環境や自分自身に対して敏感になり、たくさんの「気づき」を経験すること。
マインドフルになって、自分自身についての情報を集めていくうち、自分が常に変化しているということに気づくことができる。

マインドフルになることで健康にもいい影響を及ぼすというのがこの本の趣旨だ。

1979年にカウンタークロックワイズ研究という研究を行った。

老人ホームで暮らすお年寄りに、再現された20年前の環境で暮らしてもらう「心の時計の針を巻き戻す実験」だ。
そこでは小物から雑誌まで20年前の物が用意され、各自の写真も20年前のもの。そして当時のことは過去形ではなく現在形で話す。。
1週間の合宿生活の結果、聴力、記憶力、握力、そして見た目まで全てにおいて若返ったことが分かった。

我々は「社会の時計」から大きな影響を受けている。
つまり、世の中にはいわゆる「年相応」の行動があり、私たち自身もそれに合わせて自分の行動を決めている。
周りからの見られ方により、「意識が歳をとる」ことで身体にも影響を与えるということだ。
いわゆる「気の持ちよう」の方が、普通に重視されている生理的な要因(血圧やコレステロールなど)よりも、健康に与える影響が大きいということがわかっている。

そう考えると常識とは異なる色々な事実も見えてくる。
○仕事で制服を着る人達は、制服を着ないで仕事をする人よりも健康状態がいい。
○配偶者よりもかなり若い人は、配偶者よりもずっと年上の人に比べ、実際に寿命が短くなっている。
○高齢出産の女性は、若い頃に出産した女性よりも、実際に長生きである。

マインドフルとは、とても自覚的な行為。
そして、自覚的であるからこそ、大きな可能性が広がっている。
著者は病気が深刻になるのを未然に防ぎ、治癒するには、自分の健康にマインドフルであることが一番大切だ、としている。

上田信行先生からは
「software , hardware に続き、mindware(=heartware) が必要なのではないか」
という素敵な仮説をいただいている。
この「マインドフル」という概念は健康面以外でも利用できる概念ではなかろうか。






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