2009年6月21日日曜日

『銀座ミツバチ物語』 

千葉大学の三輪正幸先生からミツバチ関係でご推薦いただいた本の一冊です。
1日40万人もの人が行き交う街、銀座。
都内でも有数の商業エリアですが、その銀座のビルの屋上で養蜂が行われて話題となっています。
その「銀座ミツバチプロジェクト」の仕掛け人、田中淳夫さんがちょっとやってみようかということでプロジェクトを立ち上げ、思いもよらないことの連続で人の輪が大きくなっていく様が描かれています。
取れたハチミツを活かすための人の輪。一般の人からは「蜂の専門家」と思われることから広がる人の輪。都市と自然とを結ぶサスティナブルな取り組みを行う組織との人の輪。。
養蜂を通じて、コミュニティがどんどん広がっていくのを見ると『養蜂』という活動の潜在パワーを考えざるを得ません。

実はミツバチがカラスの天敵たりうるといった意外な結果やら、ミツバチの生態に関する知識も諸々織り交ぜ楽しく読める本となっています。
ハチミツはエジプトのミイラの腐敗防止としても活用されていただとか、ローマ時代はその殺菌作用のため戦争時には必携の品だったとか、ナポレオンの紋章はミツバチだったとか、歴史的な雑学知識も豊富になります。

スズメバチと同様、ミツバチも働き蜂は雌です。
雄は交尾だけが仕事なので普段は何もせずにプラプラと「髪結いの亭主」よろしく働き蜂が集めて来た蜜にあずかります。
いざ交尾の時期となっても女王蜂とめでたく交尾できるのは数匹から10匹。めでたく相手(女王蜂)に選ばれた雄蜂の運命は、交尾の瞬間、生殖器が取れてその場でお陀仏となります。
交尾できなかった雄はまた巣に戻ってくるのですが、冬の準備に入って女王蜂が順調に産卵している状態が確かめられると、雄蜂はお役御免となり、働き蜂に担がれて雄蜂は巣外に放り出されます。
男子の本懐を遂げて即死するか、それとも生きながらえて秋口に居場所を失いおっぽりだされるか。いずれにしても、男はつらいよ、です。

知れば知るほど、ミツバチの世界も奥が深く、普段外で飛んでいるミツバチが可愛く思えて来ます。
柏の葉のはちみつクラブも頑張ってもらいたいものです。

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