2010年7月21日水曜日

『一流の人たちがやっているシンプルな習慣』

日本ケンタッキーフライドチキン、日本ペプシ・コーラ、ナイキ、LVMHグループのゲランなど欧米企業日本法人のトップを歴任した秋元征紘氏が「グローバル化」した社会で生き残るために、どのような心構えが必要であるかを述べた本。

”SHOWING UP”
「まず、そこに立て」
とにかく毎日毎日、自分のフィールドに立つということ。
結局、一流の人たちが毎日やっていることも同じである。

まずは最初の一歩を踏み出し、歩き続けることができるかどうか。
一流選手のマイケル・ジョーダンも日々同じ気持ちでフィールドに立っていた。
どんなに能力が高くても、ショウイング・アップしなければ結果は出せないが、落ちこぼれて失敗を繰り返しても、ショウイング・アップし続ければチャンスは巡ってくる。

書いてしまうとなんてことのない、当たり前のことであるが、LVMHグループのベルナール・アルノー、ナイキのフィル・ナイトといった世界の一流と呼ばれる人達と一緒に仕事をこなしてきた著者ならではの説得力がある。


結果を出すためのシンプルな法則として著者はWACCの4原則を挙げる。
W:Will to live with vision「精神力」
A:Action to win「行動力」
C:Create aggressively「発想力」
C:Communication 360°「コミュニケーション力」
こと「志」については「グローバル化された志」が重要。今の日本の企業家は「日本一になろう」ということしかイメージしていないケースが多い。グローバル社会となった今や、日本だけで成功することはありえず、世界で通用するかどうかが問われているということだ。

「小さくまとまらずに、地球規模の知的興奮を追いかけることが、大きな良質の志を持つためにも重要である。
空気など読めなくてもいい。やりたいことをやってほしい。そして、地球規模の知的興奮を追いかけよう。」
とある。「地球規模の知的興奮」というとスゴい感じだが、案外その糸口は身近なところにころがっているのかも知れない。

グローバル社会での戦いに勝つための感性、比較優位性の強い武器となるような感性はどう磨くか。
最も重要なことは、「本物に触れ、感動すること」これに尽きる。
本物の持つ素晴らしさは、本物を見続けてきた人にしかわからない。
本物こそが世界共通に認められる価値観である。


本の主題ではないが、LVMHグループの話が随所に出てくる。
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1996年、LVMHグループコンベンションで、ベルナール・アルノーは、アーンスト・F・シューマッハーの唱えた「Small is beautiful」をビジネスコンセプトとして紹介した。
ポール・エバンズ教授は『エクセレント・カンパニー』に登場した企業の多くが予想を下回る業績しか上げていないことを指摘し、最適な企業規模についての再考を促した。

LVMHグループでは、規模の経済が期待できる部門、たとえば、人材の採用や開発、不動産物件の交渉、IT関連業務、広報・PR活動など、そして管理部門の多くを、しばしばシェア・サービス・センターといった専門家集団の組織に一括して遂行させ効率を図った。
一方、60を超えるブランドについては、組織をスリム化し、それぞれの社長を企業家として扱い、事業展開の戦略、マーケティング,営業体制などを核に、徹底した分権化を図った。それによって、各ブランドの創造性や機動性を発揮させたのだ。
言ってみれば、LVMHグループは、体は一つで頭がいっぱいついている「八岐大蛇」のような経営形態をとったのだ。
ベルナール・アルノーの哲学によれば、ブランドには独自性が必要であり、クリエイティビティに優れた一握りの天才がいればいいのだ。実際にアルノーは、自分が最も力を入れているディオール以外のブランドについては、パリ本社であろうと日本法人であろうと、同じスモールとして同等に扱った。
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組織のあり方として非常に面白い考え方であり、一度LVMHグループについて学んでみたいと思った。



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