2011年10月30日日曜日

『ムカつく相手を一発で黙らせるオトナの対話術』 

『アタマにくる一言へのとっさの対応術』で有名な、バルバラ・ベルクハン女史の著作。
タイトル読むとどんな過激な対話術なのかと思うが、実は合気道の精神による「柔よく剛を制す」返し技が述べられている。

☆「やまびこトーク」
相手の発言の中から、あなたが気分を悪くした言葉を抜き出して、それがどう言う意味かを尋ねる。
「それはどう言う意味でしょうか?」
やまびこトークは対立ではなく、対話が前提。

☆「沈黙する」
沈黙は実は立派な返し技。
「力強い、堂々とした沈黙」を。
・にぎやかな沈黙。表情や身振りで沈黙に色をつける。

☆ひとことコメント
「あ、そうなんだ!」
これは単なる返し技よりずっと意味のあるもの。人生に対するひとつのゆるぎない態度であり、形而上学の基本であり、同時にまた落ち着きと楽しみの永遠の源でもある。

☆「同調し、補強する」
同調するとは、反対せずに相手の動きに合わせる。それから、その動きを補強する、いや誇張する。
抱きしめられれば敵は動けなくなる。

非常に頑固な知ったかぶりの人達への対処方法
・最初に一言二言ほめる
・それから客の希望を書き出す。(相手は熱心にメモするのを自分の意見が尊重されていると感じる)
・希望リストにいくつか書き加える(が、客はすべて自分の考えのように思う)

☆「迂回トーク」
感情的になったら話題を変える。
「それはそうと、」で最終的には本来の話題に戻る。
政治家のよくつかうのもこれ。単なる逃げの一手であるが、楽しいことに目を向けるように迂回できれば悪循環から抜けることができる。

☆「場違いなことわざ」で相手を混乱させる


返し技の手法の他、心得についても述べられている。
面白かったのは「インスタント・カルマ」という考え方。
<インスタント・カルマ>
あなたが人に報復すれば、それは、あなたが報復の効果を信じていると認めることになる。
あなたの世界では、いまや「効果のある報復」が存在することになる。
つまり、自分が誰かに仕返しすると、他人も同じことをするのではないかと不安を抱くようになる。
その時から、あたなには気味の悪い同伴者がくっついてくる。それは、人にこっそりと傷つけられるのではないかという恐れ。そう、我々はいつも自分を基準にして他人を推し量るのだ。
一種の妄想。これこそがインスタント・カルマである。
だから、報復しないのは自らのため、情けは人のためならず、というわけ。

<自分を怒らせるのは自分>
我々の最大の敵は外にいるのではない。それは、頭の中の石、つまり凝り固まった考え。
怒り、不安、嫉妬、羨望、失望。これらは人から与えられたものではない。誰もあなたを怒らせることはできない。あなたがあなたを怒らせるのだ。

<相手をトレーニングパートナーと考える>
敵ではなく、トレーニングパートナーと考える。すると感謝の念すら湧いてくる。

<男女間には深くて暗い河がある>
男性の場合、言い争いはしばしば仲間意識の表れだが、女性では、こういうことは非常に稀。
女性が言い争う時はたいていの場合、本気。
男性というのは、力比べをして、どちらが強いか知りたい生き物。ボスが誰かを確かめることは、男性にとって、女性よりはるかに重要な関心事。多くの男性は、たとえ遊び半分の場でも、調和よりも権力の方にはるかに関心をもっている。
ほとんどの女性は人となごやかに会話をするのを好む。女性にとってなごやかとは、お互いにできるだけ相手の感情を害さないことを意味している。言葉のやり取りで勝負するなどというのは馬鹿馬鹿しいし、ボスでいることよりも、お互い親密で分かり合うことの方が大事。

さらに、男女間の違いに加えて以下の内容を読むと夫婦喧嘩(少なくとも我が家の)は良くわかる。
<長期間にわたる諍いに関する対処法>
長期間にわたる諍いは、どれも非常に頑丈な建材でできている。これを頭の中の石と呼んでいる。
・常に「私は・・・」で話し始める。
非難するとき、会話はたいてい「あなたは・・」「君は・・」で始まる。
・お互いに最後まで話しをできるようにする
・今問題となっていることについてだけ話し、昔の諍いを蒸し返さない。

「だから、昔の話しは蒸し返しちゃいけないんだよ」って言ったらもっとこじれるんだろうな。
気をつけよう。

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