2012年10月27日土曜日

『100円のコーラを1000円で売る方法2』

同名の続編。主人公やら他の設定が1から引き継がれていて、物語として楽しく経営戦略について学ぶことができる。

「戦略の本質とは、何をやらないかという選択である。」という マイケル・E・ポーターの言葉が冒頭記載されている。
本書のテーマは色々あるのだが、Focusはその中でも重要なテーマである。

グローバル化により時代の変化が速くなり、何か問題が起こった時に、対策を練るのに時間をかけていると、問題点そのものが変化してしまっている時代になった。
変化の時代に求められるのは、完璧なコンセンサスではなく、意思決定のスピードと柔軟性。

まずは仮説を立てて一歩すすんでみる。そしてPDCAサイクルを回していくというのが現代求められるプロセスである。

その際、「網羅思考の罠」にも注意しなければならない。
想定外をなくすために、あらゆる事態を想定しようとすると、どうしても意思決定に時間がかかってしまう。


「リーダーシップの役割は、あらかじめ計画的な戦略を練り上げることではなく、新たな戦略が出現するように、戦略的な学習プロセスをマネージすることである」
by ミンツバーグ


グローバル化が進んでいる現代に限った話ではないが、周囲の環境が変わった時、賞味期限が切れた成功体験はむしろ足かせになる。
成功体験にこだわる同質集団から、成功体験にとらわれない多様な集団へシフトする必要がある。

「企画力」とは”企画を立案する力”ではなく”企画を実行する力”。
言い換えると”組織を動かす力”なのだそうだ。
「企画」という文字が入った部署に属している身には非常に重たい話である。
頑張って組織を動かしていかねば。

『経営学を「使える武器」にする』

経営コンサルタント高山信彦氏の著書。
単なる研修に終わらず、実際にその会社の経営戦略を練り上げるところまで行う「コンサル」を行うらしい。

「古典を馬鹿にしてはいけない。最新の経営理論以前に、古典とされるような経営理論が実践できていない会社がたくさんある。」
という高山氏の意見には全く同感である。
難しいハイレベルの経営に至る以前に、もっと基本的なところで足踏みしている会社の方が多いのではないか。

「経営戦略とは、環境適応パターンを長期的な時間軸で示す構想であり、企業内の意思決定の指針になるもの」
とされている。
個人的には、環境適応パターンを長期的な時間軸で生き残ってきたお手本は生物だと思っているので、経営戦略においては生物の進化論についても洞察を深める必要があると感じている。

著者は「組織は何のために階層構造をとるのか。」と質問している。
指揮系統を明確にするためか?1つの目的を効率的に遂行するためか?ヒントとして、組織の階層の差とは何かを考えよ、としている。「責任と権限」?「経験の差」?「深い業務知識」?答え。組織の階層差の違いは「抽象化・概念化」の差。と言う訳で、組織はなぜ階層構造をとるのか、という問いの答えは、「それぞれの階層で起きる問題をそれぞれの現場で解決するため」。

課長は係長の延長では駄目だし、部長は課長の延長では駄目。役員は部長の延長では駄目。
各々の階層で解決できる問題を解決するために階層構造をとっているということか。
役職が上がるに従ってより高度な課題を解決する必要があるということだ。



事業戦略論の4つのアプローチ
<利益の源泉が外重視か内重視か>×<要因に注目するか、プロセスに焦点をあてるか>
①「ポジショニングアプローチ』(外重視×要因注目)
②「資源アプローチ」(内重視×要因注目)
③「ゲームアプローチ」(外重視×プロセス焦点)
④「学習アプローチ」(内重視×プロセス焦点)

(一番重要なのがポジショニングアプローチ。)


経営資源の量×質で分類した企業の各々の基本戦略
①リーダー(量大×質高)
②チャレンジャー(量大×質低)
③ニッチャー(量小×質高)
④フォロワー(量小×質低)

チャンレンジャーの基本戦略は差別化。チャレンジャーの差別化に対抗するリーダーの戦略が同質化。だから「マネシタ電器」はリーダーの基本戦略として正当。
チャレンジャーはリーダーに対して戦いを挑む一方、ニッチャーは決して戦いを挑まない。
裏を返せば、リーダーはチャレンジャーに対しては徹底的に対抗する反面、ニッチャーに対しては取り立てて反応しない。
ホンダのインサイトに対してはトヨタはプリウスの値下げで対抗したが、ポルシェがどんな車をだそうともトヨタは特に対抗措置はとらない。
フォロワー戦略は、とにかく安く。


というのだそうだ。

STP+4Pなどの基本的な理論の他、著者独自のやり方と思われる「業界セグメント分析」(「魚群探知機」という喩えが面白い)から徹底的なVOC(Voice of Customer )取得(顧客の顧客にも話を聞く。)という手法が斬新であった。

経営方針を考えるにあたっては、「How」はいらない、「What」を考えるのだ、というのも非常に勉強になった。

2012年10月21日日曜日

『マーケティング脳vsマネジメント脳』

Focus!のアル・ライズと娘のローラ・ライズの共著。
マネジメント脳=左脳、マーケティング脳=右脳として、マーケティングの意見が如何にマネジメント層に受け入れられにくいかを事例で示している。

スペンサースチュアート社の調査によると、最高マーケティング責任者(CMO)の平均在任期間は最高幹部の中で最も短いという。
「放射能に汚染された地位」とビジネスウィーク誌は表現した。
最高経営責任者(CEO) 44ヶ月
最高財務責任者(CFO) 39ヶ月
最高情報責任者(CIO) 36ヶ月
最高マーケティング責任者 26ヶ月


コンピューターは究極の左脳マシンだ。分析したり、細かいデータを無数に蓄えたりすることには長けているが、全体像を描くことに関しては全く役に立たない。
ウォール街がコンピューターに頼って投資のリスクを見積もろうとしているのは、まさに左脳的な愚行だ。ウォーレン・バフェットはかつて次のように警告した。
「計算式を持ち出す人間には、用心しろ」
電子頭脳は過去をみることしか出来ない。つまり既存のデータを分析することしかできない。
人間の頭脳には、未来に起こりうることを視覚化する能力がある。右脳が発達していればなおさらその能力は高い。


マネジメントは事実や数字に着目する。そして左脳で分析を加えて問題の解決を図ろうとする。マネジメントは現実に取り組もうとする。
マーケティングはもっぱら認識に取り組む。マーケティングの人間が着目するのは、事実ではなくて、消費者がどう反応するか、つまり消費者の心の動きの方だ。認識は数値にはしにくいので、マーケティングの人間は右脳を働かせて、直感的、総合的に状況を判断しようとする。
マネジメントの人間も認識の重要性を知らない訳ではない。問題は、認識を鏡のようなものと考えている点だ。認識が単なる現実の反映に過ぎず、現実を変えれば認識も変わると考えている。
マーケティングの人間はそうは考えない。現実を変えるのは簡単だ。しかし認識を変えるのはとてつもなく難しい。
認識と現実とでは、いつも認識が勝つ。


ブランドを築くためには、釘とハンマーの両方が必要だ。釘とは言葉のこと。そして、それをしっかりと消費者の心に打ち込むためのハンマーが視覚イメージ。この両方がそろわないと、有力なブランドはなかなか築けない。


著者は完全にマーケティング側からの記載であるが、それでもマネジメント側についても一定の理解を示してはいる。
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右脳から生まれたマーケティングの案は、左脳で理詰めで考える経営者には中々大賛成してもらえない。それは単に理解できないからだ。
「あなた方の提案はどう考えても馬鹿げているが、信頼しているので採用する」
築きたいのは、こういう関係だ。

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とても勉強になる話が多い中で、現在の自分の業務として気になっている記載がこれ。
「名前はマーケティングの基盤になる。弱い名前ではブランドは築けない。砂上の楼閣を建てるようなものだ。」
著者のいう「左脳でした判断」が砂上の楼閣にならないか、どうか。
うまくやらねばならない。

2012年10月13日土曜日

筑波山 四六の蝦蟇の油売り

筑波山に登ってケーブルカー駅の前で一休みしていたら、四六の蝦蟇の油売りの口上が始まった。
当意即妙のアドリブと定番の口上の組み合わせで非常に面白かった。
手を切ってみせるパフォーマンスはどうやっているのかよくわからず、マジックの要素も入っていた。

山を降りてきたら、そこでもやっていた(しかも女性がやっていた)が、スタイルは全く違う感じだった。
口上の保存会のような組織があるらしいが、軸の部分は揺るがせずに、枝葉末節については各々のスタイルに任せるという非常に効率的な組織であるように感じた。

2012年10月8日月曜日

AED講習

ららぽーと豊洲でAED講習をやっていたので、教えてもらった。
ポイントは以下の通り。

①押す時は5cmほど落とし込む。(上からしっかり体重をかけて押さないといけない。講習人形ではうまくやるとパコパコと音がするようになっている)
②1分間に100回押す。(以前「あんたがたどこさ」のスピードで押すと良いと教わったことがある)
③救急隊が駆けつけるまで、およそ10分間は押し続ける。一人で厳しければ他の人と交代してもOK。
④AEDは開いてスイッチ入れたら、まずはパッドを対象者の体に貼る。先にコードつなぐと放電対象かの解析が始まってしまう。(パッドを袋からだしたら、ついついコードをつないでしまった。指示が音声で出されるのだが、周りの音がうるさくてよく聞こえなかった。本番も周囲の声がうるさくて聞こえないこともあるので、とても大切な間違いだったと思う。)
AEDに関しては担当していたマンションの導入したこともあり、結構勉強したが、実地で使い方を教えてもらったことがなかった。
非常に勉強になった。