2013年2月10日日曜日

JR最近の危機対応について思うこと

先日、通勤時に常磐線に乗っていたら、山手線上野駅で人身事故があったとのことで、その際のアナウンスの対応が非常に良かったので気づいた点を書く。

①まず第一報でつかんでいる事実を正確に伝える。分からないことは分からないと言う。
「山手線上野駅で人身事故が発生いたしました。現在負傷者を救出中です。運転開始の見込みが立っておりません。可能な方は振替輸送をご利用ください。」
そして情報に変化がなくても定期的に発信する(追加の情報なしでもOK)というのはあさま山荘事件を取り仕切った佐々淳行氏のリスク管理の本にも鉄則として出ていた。

②具体的な数字を用いて説明する。
「この列車には現在4,500名(おそらく300名×15両?)の方が乗っておられますが、日暮里、上野駅に皆様が集中して降りられますと、ホーム混雑の影響で常磐線がストップする可能性がございます。振替乗車が可能な方は筑波エクスプレスなど振替乗車をお願いいたします」
今まで振替乗車を依頼するのに、この列車に乗っている人数をイメージさせるため人数を言っているのを聞いたことが無かった。
JRのマニュアル変更なのか、この車掌さんの機転なのかは分からないが、4,500人がホームに集中するというのは具体的で非常にイメージしやすく、結果北千住で3〜4割の人が乗り換えて行った。

③見込みであっても立ったら発信する。
しばらくして「山手線復旧見込みは8時10分頃を予定しております」
というアナウンス。
実はこの後、復旧見込みが7時50分に早まるのだが、この際にも
「負傷者救出が早期に完了したため、復旧見込みが早まりました」
ということで理由を述べることを徹底していた。
緊急時に、「確定情報でないと流さない」となると情報発信が遅れる傾向にある。
ある程度の情報がとれれば後で(理由があれば)変更するのは構わない。
その情報を受けて乗客は自分がどうするのかを判断するので、早期の情報発信は非常に重要である。


ということで「JRやるなり」とベタぼめしようと思っていたら、逆に先日の大雪警報の日の対応は今ひとつだった。

大雪のため首都圏JR各線を7割程度で運行するというものだが、当日の朝いきなりこれを知った。
予報に基づき7割運行するのであれば、それを事前に乗客に周知しないと、単に約1.5倍の混雑が確定されるだけになる。
事前に乗客に周知し、時間をずらしたり不必要な移動をなくさせることで7割運行の意味が出てくるのではないか。
結局雪は予想ほどには降らず、結局乗客は1.5倍の混雑を甘受しただけで、
「7割にしなくても良かったのでは??」
という疑念を持ちながら痛勤ラッシュに身を委ねることとなった。
(「そもそも7割にすることで雪対策になっているのか?乗らなくなった乗務員の給与はどうなるの?」とか余計なことを考えてしまった)


交通機関というのは安全に最大限の気を使っていても色々な突発事項が起きる。
そして、それに対する情報発信の仕方にはノウハウがあると思う。

人身事故時のアナウンスは非常に理にかなったものであった。
乗客に判断させるための材料である情報をどのタイミングでどう発信していくかは、行政や企業のリスク管理にもつながると感じた。


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