2013年2月24日日曜日

『とにかくすぐに「稼げて・動けて・考えられる」社員のつくり方』

リクルートに長年勤めて独立した小倉広氏の著作。

儲かる仕組み×稼げる社員をつくる6つの仕掛け⇒稼げる社員
ということで、この本においては「稼げる社員をつくる6つの仕掛け」について記載されている。

①稼げる社員が「やり切る」仕掛け
②稼げる社員の「役割」の仕掛け
③稼げる社員の「処遇」の仕掛け
④稼げる社員を「育てる」仕掛け
⑤稼げる社員の「やる気」の仕掛け
⑥稼げる社員の「採用と解雇」の仕掛け


ちゃんと6つの仕掛けについて順番に述べられているのだが、「なるほど!」と思った点をバラバラに記載してみる。

「分身」が育ち「組織文化」ができるまで、人を増やすのはひたすら我慢する。それが大切。
「役割分担」は仕事の要。実力のない選手にシュートを打たせてはいけない。
管理職が圧倒的に不足するので、ついつい専任職を管理職としてしまうが、それは管理職を兼務で対応すればよい。
「稼げる社員」がたくさんいる会社は、いつでも機動的に適材適所を実現できるよう、頻繁な人事異動、転勤、職種変更を組織文化として根付かせている。最適な適材適所を実現し、稼げる会社と「稼げる社員」を作り出す。そこにタブーがあってはいけない。パンドラの箱はあけるべし。流れる水は腐らない。淀んだ水は必ず腐る。
人材育成で有効なのは、「一に人事異動、二に採用、三に研修」
評価で大切なのは正確性より納得性。納得性をあげるには最初が肝心。
PDCA。上司はDoは御法度。PCAを回すべし。名プレー集を100回見てもうまくならない。自分の足でボールを蹴り、試合を通じて厳しいプレッシャーを体験しないことには、絶対にうまくならない。Doは部下一人でやらせる。その分、部下との面談でPDCに時間を割く。
教育研修が効果が3日間と言われるのは、習慣化を受講生の意思と努力に委ねてしまうから。だから続かない。「習慣化」に焦点をあててマネジメントをする。
「仕事の報酬は仕事だ。それがいちばん嬉しい」by 井深大
組織とはワガママを力に変える装置。
「見える化」=「全自動厳しい装置」
「採用とは営業活動である」。「評価」をせずに「口説く」。そのためには採用担当は自社のトップ営業マンを充てるくらいの覚悟が必要。決して営業が苦手な事務屋に採用をやらせてはいけない。「採用担当者レベル以上の人材は採用できない」


結構、目から鱗だけどその通りだと思うことが満載。
その中でも二つ、特に感銘を受けた点を以下に記載する。


「ベーコンエッグをつくるには、ニワトリは参加(卵を提供)すればいいが、豚は献身(自らの体を提供)しなければならない」
上司は往々にして「献身」をせずに、「参加」してしまう。誰からも攻撃されない安全地帯に身を置きながら、部下の問題点を指摘するだけの評論家になりがち。
では、投げ出すべき大切なものとは何か。それは上司にとって最も大切な自分の時間であったり、価値観であったり、プライドのようなものかもしれない。
上司はそれらを投げ出した時に初めて参加ではなく献身したことになる。そして、その時初めて評価制度を通じて部下が育ち始める。



ハイアリング(雇用)よりファイアリング(解雇)?
「腐ったみかん」は伝染する。大企業よりも、中小企業もしくはベンチャー企業において語られることが多い。
しかし、無理にかさぶたをはがす=問題社員を解雇する、ことは、組織を多いに傷つける。
かさぶたは放っておくとポロリととれる
かさぶたを無理に剥がす前に、新しい皮膚が成長して盛り上がっているから。かさぶたを剥がすより先に次の皮膚が育ってれば、かさぶたはポロリと自分から落ちていく。
新しい皮膚=若手社員が成長しさえすれば、問題社員は自分から会社を辞めていく。
だからこそ、経営者、リーダーは、かさぶた=問題社員に集中するのではなく、むしろ次世代の若手社員を育てることに集中すべき。そして彼らを組織の主流派にしていくことに集中すべき。




創刊男の異名をとった倉田学氏もそうだったが、リクルートというのは本当に人材輩出会社だと思う。
この本も、実践経験に裏打ちされた非常に良書だった。
でもタイトルにある「とにかくすぐに」は若干誇大広告で、人材育成はやっぱり腰を据えて企業が時間をかけて行わなければならないこと。
「稼げる社員をつくる仕掛け」については理論を学んだので、後は「儲かる仕組み」をイノベーションすればいいのだが、こちらはこちらで相当大変。
まだまだ試行錯誤は必要なようだ。



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