2013年10月27日日曜日

『クチコミュニティ・マーケティング 実践ノート』

株式会社ハー・ストーリィの日野佳永恵子代表の著作。
インターネット×スマートフォンによる個人総メディア化時代のマーケティグについて、実際の事例を基に説明した本。

「クチコミュニティ・マーケティング」を一言で言えば、共感者を集め(コミュニティ)、リピート(ファン)、紹介(クチコミ)を増やしていくための仕組み。

<クチコミュニティ・マーケティング 黄金の4ステップ>
①クチコミしたくなる魅力をつくる=「共感」
 ・クチコミされる良いネタを「1本」立てる。
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②クチコミをする人をつくる=「共鳴」
 ・良いネタをクチコミしてくれる「シーダー」をつくる。
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③クチコミのネタが伝わる工夫をする=「共創」
 ・顧客が惹き付けられる情報発信、五感的な演出、空間、配布物、SNSの活用
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④クチコミが広がるコミュニティをつくる=「共育」
 ・イベントをはじめ、クチコミを広げる機会づくり
 ・クチコミが継続し、発展・成長していくビジネスモデル

一言で言うと、
「開発から販売までのプロセスを通して、売り手は部門を超えて横につながるプロジェクトをつくり、あわせて、売り手と買い手が共に関わっていく」
仕組みづくりということ。
もっと噛み砕いて言えば、関わる全ての人が「自分事化しよう」という考え方を実践すること。
そのキーワードは「共」。
4つのステップに共通する共通項は「共働」


この黄金の4ステップに基づいた実例を分かりやすく述べていて、クチコミュニティ・マーケティグの基礎を学びやすい構成となっている。

女性を対象としたマーケティグを得意としているので、女性に対する洞察は納得させられるものがある。
近年、消費財の購買決定権は8割が女性にある。
女性は複数で集うことが好き。複数で集まっているときに共感し合い、おしゃべりをしながら選び、買うのが好き。
「学・遊・働・交」というのが、女性の買い物の心理から出てきたキーワード。
学ぶため、遊ぶため、役に立つため、出会うために使うお金の優先順位が高くなる傾向にあるらしい。
男の場合、働くことは基本すぎて(時間ではなく)お金を使う優先順位としては下がるだろうし、交わることも程度問題ではあるが一般的にお金を使う優先順位は女性に比べて低い気がする。学ぶことについては最近優先順位が上がってきているが、男の場合、優先順位が高いのは何と言っても遊ぶことか。単純な生き物ですな。


男女の行動特性についての記述も面白い。
「共感」「広げる」のが得意なのが女性の行動特性、「絞る」「掘り下げる」のが得意なのが男性の行動特性、ということらしい。
なるほど納得。



自分の会社の事業においても非常に参考となる記載が多い。
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顧客と企業の認識のズレが一番大きいのがホームページだ。
特に顕著なのが、住宅、車、パソコンや家電品、健康食品など、どうしても専門用語が多くなりがちな業界。
クチコミは、商品・サービスをお客様が新たなお客様に伝えていくので、お客様が分からない言葉の羅列では、クチコミ以前の問題となる。
こうした課題を解決するのが、専門用語に浸っていない人たちを巻き込んだ「説明資料」の改善活動だ。
初めてその会社を知った人が、どうやって関心を持つかを工夫する、それはクチコミかがお客様から広がるためには必要な視点だ。
気軽に楽しんでいただく機会を提供したり、商品に触れて知っていただけるように工夫する。
そうすることで、お客様が「欲しい」と思ったときに思い出していただける。
これはつまり、どれだけ購入前の活動ができているか。
これこそ、実はある意味「新規開拓」である。


記憶されないと、存在しないも同然。
リピーターや紹介が多い理由は「商品」の魅力だけではない。
五感を通して伝わる印象があり、五感を通して経験したことは人の記憶に残りやすい。
見た目、香り、音、旨さ、肌触りといったように、自分たちの商品やサービスを五感で感じてもらえる工夫によって、お客様の印象に残る。


「個が主役になった」それにより「顧客がメディア」となり、「顧客が商品力を高める」ようになり、これまで以上に「企業の論理ではなく、顧客の評価が重要」になった。

マーケティング業界では、近年、「モノよりコト」という言葉を聞くが、SNSの進化によって「モノよりコトより、メッセージ」となった。いわば「一緒に何かをしませんか?」ということだ。
価値観を共有した者が出会い、活動し、輪を広げていく。

「クチコミ」を伝播させるツールは、急激なスピードで進化してきたが、クチコミをするのは「人の意志」であることに変わりはない。
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日野さん、近々お会いできる機会がありそうなので、何かお仕事でご一緒できたらと思っている。






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