2015年1月2日金曜日

『社内政治の教科書』

高城幸司氏が書いた課長向けの社内政治の教科書。
課長向けというのがポイント。

課長の仕事は、「人を動かす」こと。
課長にとって「社内政治」は最重要の仕事である。

もうちょっと具体性を持たせていうと、課長の仕事とは
1 現場で起こっていることを経営に正確に伝えるとともに、経営の意思を部下に実行させる。
2 市場や会社全体の動きを見据えた上で、課の中長期的な方針・目標を明確にし、部下と共有するとともに業務進捗を管理する。
3 部下を指導・育成・監督するとともに、部下が働きやすい環境を整える。
ということ。

そんな整理をした上で、
社内政治とは、「影響力のゲーム」だ
と著者は喝破する。

では「影響力」とは何か。
著者は、社会心理学者のロバート・B・チャルディーニの著作から
「他人から『イエス』を引き出す能力」
と定義している。
自分の目指す方向へと相手に自発的に動いてもらうように促す力のことだ。

影響力には自己増殖性がある。
一つの影響力が形成されれば、それが別の影響力を強化していく。
だから人事考課の時に”ハロー効果”に気をつけろと言われるのだ。


◯「実績」は影響力そのもの。
◯「部下の昇格」は課長の最重要課題のひとつ。
◯「味方を増やして、敵をつくらない」のは社内政治の鉄則。
しかし、「八方美人」は必ず「八方塞がり」になる。場当たり的な対応は、いつか必ず破綻する。
課長は政争からは距離をとることを意識すべし。
◯社内政治は長期戦である。
「信頼」を貯金した者が、長期的には優位に立つ。
では、信頼を勝ち取るためには、どうしたらいいのか。答えはシンプル。
誠実であること。
これ以外にない。
課長時代は、若い人の支持を勝ち取る「最後のチャンス」。

なんかこれだけだと身も蓋もない感じだが、他にも社内を泳ぐにあたっての課長に向けたアドバイスがたくさん。

◯パワーの測る指標は次の3つ。
1 人事権
2 予算(事業規模)
3 人員数
これを押さえると権力が見えてくる(らしい)。
他にも昇格の人事を見ることでもどこに権力があるのか見えてくる(らしい)。

◯部下の管理については、中坊公平氏の
「正面の理、側面の情、背面の恐怖」
で臨め。
その際にも「刀」を抜く時は一瞬でかたをつけること。
「加害行為は、一気にやってしまわなくてはいけない。そうすることで、人にそれほど苦渋をなめさせなければ、それだけに人の憾みを買わずにすむ。これにひきかえ、恩恵は、よりよく人に味わってもらうように、小出しにやらなくてはいけない」
 by マキャベリ

◯部下の管理でいうと、よく褒めるが8割、叱るが2割などと言われるが、重要なのは相手のことをちゃんと見ているかどうか。

◯まず、人に与えよ。 しかし、善人にはなるな。 これが社内政治の鉄則。
 長野県上田市前山寺(ぜんさんじ)の石に刻まれた言葉
 かけた情けは水に流せ。受けた恩は石に刻め。


社内政治の話とはチトはずれるが、著者(元リクルート勤務)が経験から導きだした鉄則が面白い。
◯「共同経営体制」などは幻想。
組織において、複数の者が対等に権力を持つなどということはあり得ない。
権力は必ず集中する。そして、パワー・バランスが崩れた時には、権力をめぐる政治的闘争が必ず起こる。


それにしても、こんなタイトルの本を読もうと思ったのも社内政治に巻き込まれそうな予感がしたからか。
予感が当たりませんよ〜に。

0 件のコメント: