2019年1月5日土曜日

『出世する人の英語』

最近、『一流の人が行なっている〜』『成功する人がやっている〜』というタイトルの本が多い。
この本もタイトルだけ読むとあざとい感じを受けるが、ビジネスマン向けにアメリカ人のものの考え方や思考の癖、そしてそれに基づいた言動を分かりやすく書いた本である。

<アメリカ人について>

◯アメリカ人のビジネスエリートはアメリカのことしか知らない。

どちらかというと「世界はアメリカを中心に回っている」という意識を持っているビジネスパーソンが多い。こういった意識が根底にあるからか、アメリカ人エリートは「わざわざ海外に出て、苦労する必要はない。アメリカ国内で州をまたいで広く活躍できるのがエリートの理想の姿」と考えている人が多い。
日本人だと、「グローバルに活躍するビジネスパーソン」と言えば、北米、欧州、アジア、オセアニア、南米など様々な地域で国境をまたいで働くことをイメージする人が多い。
一方アメリカ人のマネジメント層が部下を海外に送るとき、行き先は大抵の場合、イギリスかオーストラリア。「サラブレッドを育てるなら、英語が通じ、文化的にもある程度近い国に行かせよう」という意識がある。
そうやって2年ほど経験を積ませ、「海外のビジネスもわかった」ということにしてしまうわけだ。
アメリカ人と仕事をする時は、グローバルスタンダードを意識するよりも、アメリカならではの「ローカルルール」を意識した方が仕事がスムーズに進む。

◯アメリカ人は、単語を3つ知っていれば、「私は〇〇語ができる」という人達。

良し悪しではなく、このことを頭の片隅に置いておかないと、アメリカ人が自信満々な態度でいる理由が理解できず、不快な思いをしたり、アメリカ人の「それなら私がやれますよ」という言葉を信じて酷い目にあったりということになる。

◯アメリカ人は、自信がなくても「できます」「やります」と言う。

アメリカ人は、組織において上司が「あなたに任せる」と言った以上、「上司は、私がその仕事をやり遂げられると判断した」と考える。自分が本当にその仕事を完遂できるかどうか、最終的に責任を持てるかどうか、と言ったことは眼中にない。
基本的にアメリカ人は、仕事が完遂できなくても「できませんでした」とは言わない。「目標に対して足りない部分はありましたが、できなかったことについては、そこからこんな学びを得ました」などと言うように非常にポジティブに表現する。
日本人からすれば、できそうもないことにチャレンジするアメリカ人は危なっかしく見えることもある。
しかし、このようなアメリカ人のスタンスは、実際にはアメリカ企業が成長していく原動力になっているように思う。少なくとも「できなかったら責任を問われるのではないか」と怯える日本人より、伸び代が大きいことは間違いない。

◯アメリカ人には「ちょっとご挨拶だけ」は通じない。

アメリカ人もアイスブレイクの会話から入るが、本題に入ったら「最も重要な話」からスタートすることが多いのも特徴と言える。
ビジネス全般において、「アメリカは予習型。日本は復習型」。
日本では多くの場合、面談する時は「まずは相手の話を聞き、要望を持ち帰って検討しよう」と考える。これが「復習型」。
一方アメリカでは、事前に「どんな結論を出すのか」を想定し、そのための事前準備をした上で面談に臨む。そして面談の時間をとった以上は、必ず求める結果が出るように話を進める。これが「予習型」。
「予習型」のアメリカ人を相手に、「持ち帰って後で検討すれば良い」と言う「復習型」の態度で面談に臨めば、相手の期待を大きく裏切ることになる。
アメリカ人にとって「会って話す時間を取る」と言うことの価値は非常に高いと考えてほしい。そもそも非常に広大な国土を持つアメリカでは、移動による時間の損失が発生しやすく、「直接会う」ことの重みが違うことも意識したいところ。

◯アメリカ人は、会議の開始時間よりも、終了時間を守ることに厳しい。

一般に、日本では会議の開始時間が理由なく遅刻することは許されないが、会議が長引くのは、さほど珍しいことではない。
一方、アメリカ人は、事前に決めていた時間の範囲で必ず会議を終了する。
彼らにとって時間管理ができていると言うことは、すなわち「決められた時間内に成果や結果を出すこと」。日本人のようにダラダラと会議を続けるようなやり方は「時間管理ができていない」とみなされる。
「決められた時間内に成果や結果を出す」ことを重視するアメリカ人は、他人の時間を大切にすべきだと言う意識も強く持っている。

◯アメリカ人はFair とIntegrityを重んじる。

アメリカ人は「Fairであること」を非常に重視している。日本人が思う以上に、Fairであることには重い意味があるので、この言葉を使うときは十分な配慮が必要。
例えば仕事中に、アメリカ人相手に「あなたはFairではない」と言うのは、相手の人生を丸ごと否定するのに等しいこと。そのような発言をすれば相手から激しく反論されるだけでなく、人間関係にもヒビが入る恐れがある。
日本人は「発注する側」と言うだけで偉そうに振る舞うことがよくある。 もしアメリカ人の前で「自分はお客さんだから」「発注する側だから」と偉そうな態度をとれば、相手からはもちろん、アメリカ人の同僚や上司からも人格を疑われ、Fairでない人という烙印を押されることになりかねない。
同様にアメリカ人にとっての重要性を知っておくべき言葉に”Integrity”がある。
辞書では「高潔」「誠実」「清廉潔白」などと訳され、本来の意味がわかりにくいが、イメージが近いのは「言動が一致している」「一本筋が通っている」といった表現。
アメリカ社会では、組織にとっても個人にとっても、Intgrityは非常に重要。もし「あなたはIntegrityに問題がある」と言うようなことをアメリカ人相手に言ってしまえばおおごとになりかねない。

◯アメリカ人は議論の手法を知っている。

アメリカにおいて子供達はディベートの授業で、自分の意見を言いたくて手を挙げているわけではない。
アメリカの子供達は、たとえ自分の意見がまとまっていなくても、とりあえず手を挙げる。指されたら、それまでに出ていた意見に対してまず「反対である」ということを述べ、その理由を添える。
子供達がこのような行動を取るのは、議論においてイニシアチブを取ることが最優先だからだ。とにかく手を挙げ、発言することで議論を引っ張っていく役割を担うことこそ重要なのだ。
アメリカ人のこのような態度は、子供の頃からあらゆる場面で形成されており、企業の中で行われる会議においても同様の傾向が見られる。「まず手を挙げて意見を言う」と言う反射神経が鍛え上げられているのだ。
アメリカ人との会議に参加し、発言の機会を一度も得られなければ、あなたはその場にいなかったのと同然の扱いを受けることになる。
ディベートで意見を言うことは、「その場にいる人たちが知恵を出し合って、より良い結論に到達する過程に貢献すること」なのだ。
このようなアメリカ人の態度は、ビジネスシーンでも見られる。どんなに激しく交渉でやり合っても、最後は握手で終わると言う精神が育まれているのだ。
また、会議や討論の場では、イニシアチブを取ることだけでなく、「より良い結論を導くために貢献しているかどうか」が重視される。
このことが分かっていないと、激しい交渉の後に悪い空気を引きずってしまったり、議論を建設的な方向に持っていくことができず、信頼を損ねたりする可能性があるので注意が必要。


<アメリカ人との仕事の仕方>

◯交渉はWin-Winになるよう「お土産」を用意する。

譲れない一線を守りつつ、相手が「何かを勝ち取った」と思えるよう配慮することは、交渉の重要なポイント。特に相手がわざわざアメリカから日本に来ているような場面では、「手ぶら」では帰れないはず。
日本でよくある「泣き落とし」はアメリカ人には通じない。ストレスが溜まるだけで、全く結果に繋がらないアプローチ法。

◯アメリカ人にとって「会議は物事を決定するための場」。

であるので、原則として会議で決まったことは覆せない。これは日本人が想像する以上に、明確で厳格なルール。
もし会議中に「これはもしや・・」と思ったら、少なくともその場で考えられる理由を添えて、「データがないので今決めるべきではない」「今日のところは仮決裁にとどめ、結論は保留にしてほしい」といった意見を表明すべき。

◯アメリカ人にとって「決められたタイムラインを守ること」は非常に重要。

プロジェクトのタイムラインは絶対であり、よほどのことがない限りそれが覆ることはない。「完成度を高めるために、多少遅らせることがあっても」という発想がそもそも皆無。
アメリカ人は会議をダラダラやることはない。事前に議題を決め、それに関する結論が出たら会議は終わり。会議の場で「ついでにこの件も・・」などと議題が追加されると言ったことも滅多に起こらない。そして一度決めたことはよほどのことがない限り変更しない。
こう言ったアメリカ人の仕事のやり方は、すべて「事前に決めた期限までに、決めた通りの仕事を終える」という考え方がベースにある。
「締切厳守」という考え方を日本人とは比較にならないほど強く持っている。
この「締切厳守」は良し悪しで、アメリカ人はタイムラインを重視するあまり、クオリティの低下に寛容になりがちだという見方もできる。日本人はタイムラインに対してはアメリカ人に対し柔軟である一方、クオリティの維持・向上へのこだわりは強いという言い方もできる。


<英語力アップの方法>

そういったアメリカ人の特性を理解しつつ、どうしたら英語力がアップするか。

◯英語を話す時だけ別人になって「キャラ替え」する。

英語を話す時にアメリカ人と同じ調子で話したいなら、声量をアップしてお腹から発生すること、表情を豊かにすることがポイントとなる。
細かい発音の正確性にはこだわらなくて良いので、イントネーションもはっきりつけるようにする。
そして自信満々な態度(キャラクター)となること。

◯「英語ぺらぺらになる」という幻想を捨てる。

英語ペラペラに見えるビジネスパーソンでも映画の6〜7割しか分かっていない。そもそも映画やドラマを英語で理解するのは非常に難しい。映画やドラマはその国の文化的背景への理解がないと内容についていけないことがあるから。

◯ポジティブな雑談ネタを考えておく。

◯できる上司や外国人を真似るのが近道。

◯会社のアニュアルレポートの英語版を音読する。

特に企業トップから株主へのメッセージの部分がお勧め。

◯リスニングは1つの教材を聴き倒す。



もちろんアメリカ人が全員当てはまるわけではないのだろうが、前半のビジネスをするにあたっての「アメリカ人のものの考え方」というあたりはヒューリスティック的に非常に面白かった。
参考にしながら語学研鑽に努めたい。

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

著者の小林真美です。 この度は拙著をお読みいただき、ありがとうございました! 詳しくご紹介いただき、大変嬉しく思います。