2009年11月1日日曜日

『思考の整理学』

外山滋比古氏が1983年に著した本。
「東大、京大の生協で一番売れている本」という触れ込みに触発されて購入した。

”グライダーと飛行機”という喩えで、受動的に知識を得る能力と、自らの意志で様々なことを発明・発見する能力は全く別ものであることを示している。
とはいえ、現代は情報社会であるので、グライダー人間兼飛行機人間となるにはどうすべきかを心掛けるべきである、としている。
(東大生、京大生はグライダーとしては一流であるはずなので、このあたりの教えが受けているのかもしれない)

また、『見つめるナベは煮えない』という喩えで、「新しい物を生み出すには発酵させる時間が必要」であり、これは企業における部下(プロジェクト)の管理においても同様であるとしている。あまり、見つめすぎる(心配になってあれやこれやとつっつく)と却って中々煮えない。正に至言である。

至言といえば、「ひとりでは多すぎる。ひとりでは、すべてを奪ってしまう」というアメリカの女流作家の言を引いていて(この場合、”ひとり”とは恋人のこと)、
「(テーマは)ひとつだけでは、多すぎる。ひとつでは、すべてを奪ってしまう
と、卒論を書こうとしている学生に禅問答のように言い渡すそうだ。
ひとつに絞ると視野がせまくなり、結果全体の秩序を崩してしまうという趣旨なのだが、「ひとつだけでは、多すぎる」と言われた学生にとっては、正に禅問答であろう。

その他にも「セレンディピティ」の話しや「メタ認知」の話がでており、とても30年近く前に書かれたものとは思えない内容である。
確かに今読んでも非常に勉強になる良書であった。




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