ヒューゴというペンネームのプライベートバンクのファンドマネージャーの著作を石角完爾氏が追記しながら著したもの。リーマンショック前に書かれたものなのに、途中まであたっているというので購入して読んでみた。
世界には負債の山が築かれている。
消費者は住宅ローン、クレジット・カード・ローンという二つの負債の山を築いている。
国家は国債と言う負債の山を築き、投資銀行とヘッジファンド、プライベート・エクイティ・ファンドらはレバレッジをかけて運用成績を上げると言う誘惑に駆られて、これまた膨大な負債の山を築いている。
膨れ上がった負債は、いずれどこかで精算されることになる。それがファイナル・クラッシュに結びつく。
ファイナル・クラッシュとは、「借金による消費によって演出された不自然な成長」の仮面がはがれ、それが本来の姿に巻き戻される過程である。
原因は刷られ過ぎたドル。
アメリカに石油と工業製品を満載したタンカーが着く。その帰りにはアメリカの国債を満載していく。アメリカ人が買う商品を中国が輸出し、中国にドルがたまる。中国がそのドルでアメリカ国債を買う。この循環を「チャイニーズ・ランドリー(中国製洗濯機)」と呼ぶ。
この循環のため、ドルは暴落せずに済んでいるが、日本の外貨準備(アメリカ国債)取り崩し、中国のインフレによる変動相場制への変更など、きっかけさえあればいつでもファイナル・クラッシュは起こりうるというのが著者の考えだ。
「北京ペッグ」。人民元がドルにペッグする、すなわち固定相場制の見返りとして、中国政府は大量のアメリカ国債を購入することを義務づけられている。
マネーサプライが過大になっているにもかかわらず、その局面で金利がそれほど上がらなかったとしたら、その唯一の理由は、アメリカ政府が発行する国債大量発行によるドルの出血を、日本と中国が吸収してきたから。
中国は輸出により稼いだドルでアメリカ国債を買い支えた。このドル還流のおかげでアメリカ国民は、自らの稼ぎ以上に借金を重ねて消費しており、そのアメリカの消費が今の世界経済の生命線となっている。
これが「チャイニーズ・ランドリー」のメカニズムである。
流動性停止による不均衡の喩えが面白い。
流動性停止とは、パニック時には少しでもリスクのある資産は全員が売り、買おうとするものがいなくなる。結果、誰も売ることができなくなる。
全員が壺の中に手を入れて金貨をしっかり握り、つかんでいると思っていたその手が壺から出せなくなった途端に、つかんでいたはずの金貨はレバレッジの逆魔法のために単なる石ころになる。
ファイナル・クラッシュが起きたときには、全世界が大打撃を受けることになり、その中では誰の打撃が最も少ないかというサバイバルゲームになる。
最も軽いダメージで危機をやり過ごせるのは、一つは資源と食糧をどちらも自給できる国であり、もう一つは貴金属、とくにゴールドを最もたくさん持っている国であり、個人であり、機関である。
世界の人口増は経済学的には何を意味するのか。答えは「ローマテリアルへのデマンドが急速にあがっていく」。
人口は等比級数的に増えるが、食糧は等差級数的にしか増えない。
紙幣や国債、各種証券のようなペーパーマネー、クレジットカードのようなプラスチックマネーが全てクラッシュするとき、残るのは現物資産だけ。そこに全ての富が収斂する。
ファイナル・クラッシュ後の世界についても記載されている。
ファイナル・クラッシュ後の20年間は、エネルギーと食糧の自給が最大のテーマとなる。
食糧や石油、エンルギーなど必要なものは、いつでも好きなだけ他国から持ってくればいいというのがグローバリゼーションの姿だったが、ファイナル・クラッシュ後の世界では、保護主義が蔓延し全てが自国優先の世界になるから、それが非常に難しくなってくる。
我々の周りの世界がファイナル・クラッシュ後にどう変わるかについても述べられている。
燃料コストの増大は、移動や輸送を伴うビジネス活動をやりにくくする。遠距離通勤はもはや過去のものとなるだろう。
職業的にいえば、弁護士、公認会計士、調査会社、株式仲買人、企業金融関係者、不動産開発業者、建築、PR関係等々はファイナル・クラッシュ後は不人気な業種に変わるであろう。
大規模な全国展開をするコンビニエンスストアやディスカウントストアは姿を消し、地元の小売店が存続する。全国展開すると、ガソリン代の高騰により商品の配送コストがかさみ、消費者に安く商品を提供できなくなるからである。
外国との貿易における輸送コストも跳ね上がるため、中国から高い輸送費をかけて輸入するものは高額商品に限定されてくる。
必要な時に何度も高いガソリン代、人件費をかけて部品を運ばせるやり方は、エネルギー価格が高騰したら維持できなくなるので、トヨタのジャスト・イン・タイム方式は過去のものとなり、伝統的な生産方式が主流に復帰するだろう。
人々は大きな家から狭い家へ、都市から農村地帯へと居住を移していく。それに伴い、今までに買い集めた家財道具を一時的に保管しておく貸しスペース業もブームになるだろう。
消費者金融については、昔ながらの質屋が中心となっていくだろう。。
自分の職業が不人気業種として挙げられてるからという訳ではないが、本当か?という気が多々するのは自分だけか。
資産家がどのようにファイナル・クラッシュに備えるべきかは本書を読まれたいが、ありがたいことに資産のない人のファイナル・クラッシュ対策についても最後に書かれている。
資産のない人の場合のクラッシュ対策は伝統的なもの。一言でいうなら「手に職を」ということ。
頑張って「手に職」をつけるとしよう。
世界には負債の山が築かれている。
消費者は住宅ローン、クレジット・カード・ローンという二つの負債の山を築いている。
国家は国債と言う負債の山を築き、投資銀行とヘッジファンド、プライベート・エクイティ・ファンドらはレバレッジをかけて運用成績を上げると言う誘惑に駆られて、これまた膨大な負債の山を築いている。
膨れ上がった負債は、いずれどこかで精算されることになる。それがファイナル・クラッシュに結びつく。
ファイナル・クラッシュとは、「借金による消費によって演出された不自然な成長」の仮面がはがれ、それが本来の姿に巻き戻される過程である。
原因は刷られ過ぎたドル。
アメリカに石油と工業製品を満載したタンカーが着く。その帰りにはアメリカの国債を満載していく。アメリカ人が買う商品を中国が輸出し、中国にドルがたまる。中国がそのドルでアメリカ国債を買う。この循環を「チャイニーズ・ランドリー(中国製洗濯機)」と呼ぶ。
この循環のため、ドルは暴落せずに済んでいるが、日本の外貨準備(アメリカ国債)取り崩し、中国のインフレによる変動相場制への変更など、きっかけさえあればいつでもファイナル・クラッシュは起こりうるというのが著者の考えだ。
「北京ペッグ」。人民元がドルにペッグする、すなわち固定相場制の見返りとして、中国政府は大量のアメリカ国債を購入することを義務づけられている。
マネーサプライが過大になっているにもかかわらず、その局面で金利がそれほど上がらなかったとしたら、その唯一の理由は、アメリカ政府が発行する国債大量発行によるドルの出血を、日本と中国が吸収してきたから。
中国は輸出により稼いだドルでアメリカ国債を買い支えた。このドル還流のおかげでアメリカ国民は、自らの稼ぎ以上に借金を重ねて消費しており、そのアメリカの消費が今の世界経済の生命線となっている。
これが「チャイニーズ・ランドリー」のメカニズムである。
流動性停止による不均衡の喩えが面白い。
流動性停止とは、パニック時には少しでもリスクのある資産は全員が売り、買おうとするものがいなくなる。結果、誰も売ることができなくなる。
全員が壺の中に手を入れて金貨をしっかり握り、つかんでいると思っていたその手が壺から出せなくなった途端に、つかんでいたはずの金貨はレバレッジの逆魔法のために単なる石ころになる。
ファイナル・クラッシュが起きたときには、全世界が大打撃を受けることになり、その中では誰の打撃が最も少ないかというサバイバルゲームになる。
最も軽いダメージで危機をやり過ごせるのは、一つは資源と食糧をどちらも自給できる国であり、もう一つは貴金属、とくにゴールドを最もたくさん持っている国であり、個人であり、機関である。
世界の人口増は経済学的には何を意味するのか。答えは「ローマテリアルへのデマンドが急速にあがっていく」。
人口は等比級数的に増えるが、食糧は等差級数的にしか増えない。
紙幣や国債、各種証券のようなペーパーマネー、クレジットカードのようなプラスチックマネーが全てクラッシュするとき、残るのは現物資産だけ。そこに全ての富が収斂する。
ファイナル・クラッシュ後の世界についても記載されている。
ファイナル・クラッシュ後の20年間は、エネルギーと食糧の自給が最大のテーマとなる。
食糧や石油、エンルギーなど必要なものは、いつでも好きなだけ他国から持ってくればいいというのがグローバリゼーションの姿だったが、ファイナル・クラッシュ後の世界では、保護主義が蔓延し全てが自国優先の世界になるから、それが非常に難しくなってくる。
我々の周りの世界がファイナル・クラッシュ後にどう変わるかについても述べられている。
燃料コストの増大は、移動や輸送を伴うビジネス活動をやりにくくする。遠距離通勤はもはや過去のものとなるだろう。
職業的にいえば、弁護士、公認会計士、調査会社、株式仲買人、企業金融関係者、不動産開発業者、建築、PR関係等々はファイナル・クラッシュ後は不人気な業種に変わるであろう。
大規模な全国展開をするコンビニエンスストアやディスカウントストアは姿を消し、地元の小売店が存続する。全国展開すると、ガソリン代の高騰により商品の配送コストがかさみ、消費者に安く商品を提供できなくなるからである。
外国との貿易における輸送コストも跳ね上がるため、中国から高い輸送費をかけて輸入するものは高額商品に限定されてくる。
必要な時に何度も高いガソリン代、人件費をかけて部品を運ばせるやり方は、エネルギー価格が高騰したら維持できなくなるので、トヨタのジャスト・イン・タイム方式は過去のものとなり、伝統的な生産方式が主流に復帰するだろう。
人々は大きな家から狭い家へ、都市から農村地帯へと居住を移していく。それに伴い、今までに買い集めた家財道具を一時的に保管しておく貸しスペース業もブームになるだろう。
消費者金融については、昔ながらの質屋が中心となっていくだろう。。
自分の職業が不人気業種として挙げられてるからという訳ではないが、本当か?という気が多々するのは自分だけか。
資産家がどのようにファイナル・クラッシュに備えるべきかは本書を読まれたいが、ありがたいことに資産のない人のファイナル・クラッシュ対策についても最後に書かれている。
資産のない人の場合のクラッシュ対策は伝統的なもの。一言でいうなら「手に職を」ということ。
頑張って「手に職」をつけるとしよう。
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