2012年4月15日日曜日

『ポーツマスの旗』

叔父に勧められた本。日露戦争終結時のポーツマス条約を締結した外相、小村寿太郎の話しである。
日露戦争については,昨今『坂の上の雲』が流行ったこともあり有名になっているが、その後のポーツマス条約の件については詳細については知らなかった。
日露戦争は、日本とすると短期決戦で決めるべき戦争であり、各部隊が前線で勝っているうちに講和へもちこむことが最大の戦略であった。
そのような厳しい状況については上層部しか認識しておらず、国民は前線での勝利宣言に湧いている(特に史上まれに見る完勝となった「日本海海戦」)ような状況であった。
そんな中で、小村寿太郎は全権委任を受け、日本国代表としてロシアとの契約締結に望むのであるが、そもそも上層部が勝ち取れれば100点満点という条件は、日本常勝という情報しか入っていない国民からすると納得しかねる内容であった。
そんな中で、悲壮感漂う覚悟のもと、全権委任団は海を渡っていく。
ギリギリの交渉を重ねてロシアのウィッテと条約締結にこぎ着けるのであるが、帰国する全権委任団を待っていたのは国民の厳しい怒りの評価であった。

小村寿太郎は飫肥藩の出身であり、薩長土肥の主要藩ではなかった身でありながら外相まで上り詰める。結婚生活はボロボロ,家庭は借金だらけであり、最後、小村の妻はほとんど半狂乱となって亡くなる。
叔父からは、交渉するにあたっての用意周到な準備の必要性が認識できる、といういわれ方で勧められたのだが、その点以上に、歴史上の人物の歴史には出てこない人物像を描いているのが新鮮で面白かった。


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