2012年4月29日日曜日

『上司は仕事を教えるな!』

この4月からグループ員の人数が倍増したので、正直昨年度のマネジメントでは回らないと言う危機感もあり、マネジメントについての本を読んでいる。
本の帯に「なでしこ佐々木監督のマネジメント手法」というコピーがあり、魅かれて購入した。

人間特性的な弱みは、実は強みと表裏一体。人物的特性をいまさら変える必要はない。これは個人の特徴の一つであり、多分にもって生まれた資質だから。
だが、スキルの弱みは別物。スキルは鍛錬によって磨かれる。
☞マネジメントに適した言動を「スキル」と整理する、ということであると思う。マネジメントに適した言動の部分についても「人物的特性」という風に整理すると間違いである。たとえばパワハラギリギリの言動というのを「人間的特性だから、持って生まれた資質なのでしょうがない」ということだとするとそれは大きな勘違い。

外資系では上司が平気で部下に泣き言を言う。
但し、ここで言う「泣き言」とは「泣きたくなるような気持ちの吐露」であり、愚痴や恨み、つらみではない。
そして、上司の泣き言は、事象や問題そのものに対してであり、他者に対してのものではないということ。
愚痴とは、言っても仕方が無いことを口にして嘆くこと。仏教の世界では、人間の諸悪、苦しみの根源と考えられている三毒のひとつであり、別名を無明(むみょう)という。
かたや泣き言は、泣きたくなるような胸の内。泣いた後には、取り組む術という光に向かって歩き出せる。
☞「泣き言」と「愚痴」の違いが分かりにくいが、「泣き言」は「”困った”を部下と共有すること」と整理すると腑に落ちる。

成果達成の期待こそが、上司の上司たる理由。
☞マネージャーは全員会社から「成果達成を期待されている」ということだ。

1500社のトップが語る「一番大切な力」とは何か。この問いも本の帯に載っていたコピーの一つだ。
かつて『フォーチュン』誌が世界のトップ1500社のCEOに対して、トップに一番大切な力を問いかけた所、78%のトップが「コミュニケーション能力」と答えた。
☞コミュニケーション能力が重要であることを認識する会社は多いが、社員のコミュニケーション能力をアップするために資源を投入している会社は少ない気がする。GEのジャック・ウェルチがクロトンビルで行ったリーダー研修にかけた情熱と同様に、企業はコミュニケーション能力のアップのための仕掛けを用いるべきなのではないか。

各々の部下に対して以下の6つについて答えられるか、というのが問われている。
①強み
②弱み
③やる気のもと
④プレッシャー
⑤上司であるあなたへの期待
⑥一年後、五年後、十年後の部下の目指す姿
☞①〜④は個人のSWOT分析ともいえる。 SWOTは現在の分析なので、それに加えて将来的に自分への期待とマネージャーへの期待を加えて6項目ということか。

プランド・ハプンスタンス理論
スタンフォード大学のジョン・D. クランボルツ教授が提唱したキャリア理論。(キャリアデザインの世界でいう「計画された偶然理論」)
偶然の出来事は人のキャリアに大きな影響を及ぼし、かつ望ましいものであるという考え方。
キャリアとは、意図したものではなく、偶然の出来事から影響を受け、結果として望ましいものになっているというもの。
しかし、偶然の出来事を望ましい結果に変えていく人々には共通項がある。
・好奇心:関心を持ち拡げる
・持続性:失敗に負けずに努力し続ける
・楽観性:ポジティブに考える
・冒険心:失敗を恐れず行動を起す
・柔軟性:変化に対応する という行動と思考のパターンをもっている。
☞「セレンディピティ」の考え方に近い。セレンディピティも、結果的に当初想定したのとは別の利益を得ると言うものだが、ただ「果報は寝て待て」ではなく、ある方向に向けて一歩踏み出すことが大切とされている。

さて、お待ちかねの女性のマネジメントについて。
女性には男性とは異なるコミニュケーション特性がある。
キーワードは三つ。
①同じ・・限定された範囲での「同じ」が大切。上司が自分自身を開放することが大切。隙をつくって歩み寄ってもらう。
②認める・・承認欲求はあるが、周囲にわかるような特別扱いをするのはアウト。”少しだけ”特別扱いをするのがポイント。
③感覚的・・男性は出来事に関心を寄せるのに対し、女性は感情に関心を寄せる。
なでしこジャパンの佐々木監督が「鼻毛に注意した」のは有名な話し。
奥様の上司が仕事はできるのに、鼻毛に気を遣っていなかったために、女性陣から信頼されなかったことから気をつけるようになったとのこと。
女性は感覚的なので、連鎖的に判断してしまう。鼻毛一つから連想により仕事においても信頼できないイメージを連鎖的にもつ。
女性に対しては一事が万事となる。
☞キーワードがわかっても運用では微妙なバランスが必要というのだと、分かっていても中々実践できる自信がない。
連鎖的なイメージについても、何がどうイメージの連鎖を呼ぶのかわからないと単にビクビクしながら接することになってしまう。
いずれにせよ鼻毛には気をつけよう。

最後に部下に見切りを付ける場合について。
人材育成は、こいつは「もう、いい(無理)」と思った瞬間に終わる。
見切りをつける判断基準はただ一つ。
「これ以上、目の前の部下に関わり続けると、組織の他のメンバーにマイナスになってしまう」かどうか。
☞逆にいうと、それまでは面倒くさくても育成をし続けるということだ。

当初の佐々木監督の件は、記載が少なくてちょっと残念だが、他にも色々あたらしことが分かって良かった。 これもセレンディピティならぬプランド・ハプンスタンスか。

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