特別セールで10%割り引かれた商品と、通常1%のポイントを10倍にした商品のどちらを選択するか。
実は 後者が圧倒的多数。
消費者は、等価の現金以上の価値を、企業ポイントに対して見出している。
うってかわって、ポイントを消費する場合、特にその時付与してもらった分に関しては、急遽降って湧いた、なくなってもいいもの、という印象を抱き、その場で消費してもあまり気にならない。(高額家電を買って、そのときついた5,000円分のポイントで5年間の無料アフターサービス付きを勧められたら加入することがあっても、追加で5,000円支払うとなれば相当躊躇する)
いわば、ポイントとは現金よりも価値が高く評価されているケースもあれば、「たかがポイント」という捉え方をされてしまうケースもあるという不思議なモノである。
前置きが長くなったが、そのような「ポイントサービス」について野村総研が様々な切り口で解説を行った本。
ポイント・マイレージは、元々は顧客囲い込み等を目的に、企業の販売促進や広告の代役を担い、販売促進費や広告費を消費者に直接還元する形で発行されてきた。
従って、年間の最大発行額は企業の販売促進費13兆円と広告費6兆円の合計9兆円が理論上は上限となる。 2006年度の実績値6,600億円程度をもとに考えるとまだ拡大の余地は大きい。
仮にポイント付与率を1%と考えると、66兆円の消費に対する付与となり、これは家計消費額約330兆円に対して20%程度に過ぎない。
日本ほど多様なポイントが発行されている国はない。 昨今の日本の電子マネーの拡大は、世界的に類をみない。
東アジアのソウルや上海、台北などでは独自のポイントの仕組みも展開され、ヨーロッパでは共通ポイントプログラムが日常化しているが、日本の消費者のように、20数枚もポイントカードを持っている国民はいない。
ポイントプログラムは「日本が誇る消費文化」である。 日本人は子供の頃から小学校でベルマークを集めて学校の備品に換え、家ではブルーチップやグリーンスタンプを集めて家財道具に換えていた。この貯める文化が今日の「日本が誇る文化」に通じているのかもしれない。
ポイントや電子マネーといった企業通貨の企業にとってのポイントは、販売促進と顧客管理を行うマーケティング手段として活用できること。
ポイントプログラムは「ポイントという価値で、消費者から行動情報を買い取っているプログラム」といえる。
企業通貨マーケティングを行う企業にとって、ポイントは情報取得の対価であり、顧客情報はマーケティングのための資産である。 しかし、企業通貨マーケティングを意識しない企業にとって、ポイントは負債であり、顧客情報は個人情報保護のコストと漏洩のリスク要因である。
ポイント連携企業のスタイルや電子マネーとポイントプログラムの違い、海外の事例から、税金や公共料金との連携などポイントプログラムの今後の可能性まで、非常に勉強になった。
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