2010年2月4日木曜日

『クラッシュ・マーケティング』

『ハイパワー・マーケティング』を著したジェイ・エイブラハム氏の続編ということで、推薦されて読んでみた。
「マーケティングは支出ではなく、投資である」という考え方がベースになっている。


マーケティングは「一対多」であるのに対し、営業活動は「一対一」。
マーケティングの広範なアピールを個々の買い手に向けた特定のメッセージに変換するのが営業マンの仕事。”マーケティング”を”取引”に転換するためには、”コンサルティング営業”が不可欠である。
そしてコンサルティング営業は、誰もが持っている人間の基本的感情である「共感」に基づいている。

コンサルティング営業のプロセスとしては、まず取引の成立要件を「絞り込む」こと。
次に、絞り込みの段階で出た全ての要件を満たすことができたら、商品またはサービスを購入するという確約をクライアントからもらい、「仮クロージング」する。
最後に、解決策となる商品またはサービスを「提示」する。
すなわち「絞り込み」☞「仮クロージング」☞「提示」というプロセスが大切。(最後にクロージングしようとするとそこで落ちる)

・共感は、あらゆるビジネス戦略の基礎だ。一言で言えば、あなたはクライアントと恋に落ちなければならない。
・医者のように営業する。(自分の腕に自信があることを見せて信用を得て、問題を総合的に診断し、拒絶される不安や躊躇なしに解決策を呈示する。)
など、なるほどと思わせる内容が多い。(まとめると”恋人を診察する医者”?)


<景気のいいときも悪いときも毎年必ず実践すべき3つのこと>
①売っている商品やサービスそれぞれにつき、新しい市場に少なくとも一つ進出する。
②既存顧客向けに新しい商品またはサービスを最低一つ投入する。
③数限りない基盤や顧客の中から、最適なベネフィットを得られると思われる新しい事業を収益ベースで1件は獲得する。
ということで成長志向の教書かと思いきや、
「イノベーションを行う前には必ず”最適化”(optimization)を行い事業効率をあげなければならない」など現実的な教えも多い。

ビジネスを大きくする方法はたった三つしかない。
①クライアントの数を増やす。
②クライアントあたりの平均販売額を増やす。
③クライアントの購入する頻度を増やす。
などは至ってシンプルかつ現実的な指摘である。

マーケティングの本でありながら、
「21世紀の優れた起業家が持つべき最大の資質は、他者と創造的に協力する能力である。」
ということも述べられている。
そのコラボレーションを成功させるカギは、
①これまで彼らがやってきたことに対して、敬意、称賛、評価、共感を表しつつ、
②彼らがまだ提供されていない、達成していないものの中で何を一番求め必要としているか正確に把握し、あなたの見通し、計画、戦略が他のどの選択肢よりも優れた方法で早く簡単にかれらにそれらをもたらすことを示す。
とある。

マーケティングがベースであるが、すこし広範なものも含めたバイブルとして秀逸であった。

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