2010年10月12日火曜日

『ハカる考動学』

「ハカる」力を、「これまでとは違ったものを対象に、これまでとは違った方法で、測定し組み合わせて、インサイトを絞り出すための力」と定義して、様々な「ハカり」方の事例を示している本。

昨今の先の見えない不景気。
今、向上させなくてはならないのは、売上「増大」のためのハカる力である。
3M、日東電工、ヒロセ電機、アイリスオーヤマ・・・いずれも経営目標に新商品比率を掲げている企業。これらは、業界他社に比べて高い新商品比率と同時に、高い収益性・成長率を誇っている。
そして、新しい商品やサービスを企画し、導入するにあたっては
①モノではなく、「ヒトをハカる」
②頭で考えるのではなく、「作ってハカる」
③旧来の仕組みでなく、「新しいハカり方を創る」
ことが効く。

ヒトをハカる場合、ココロではなく、行動をハカる。
(∵ヒトは悪意が無くても嘘をつくし、曖昧)

無印商品の「消費者巻き込み型商品開発」にはヒントがあるような気がする。
肝は、消費者の「なんとなくの意向」を聞かないこと。
ハカるべきは、その「行動」と「コンセプト案に対する評価」。


ヒトをハカる事例で面白いのは、人事面接の話。面接させてその評価と実際採った人間をみて、”面接官を評価”するというもの。
個々の面接官達の出す評価が、他の面接官のものとずれていないか、そして実際に採用後の評価はどうなのか、人事部は閻魔帳を密かにつけているというのは本当か!?


正解のわからない問いに対して妥当な答えを類推する手法として、「フェルミ推定」というものがあるが、もう1つ<デルファイ法>というものがある。
これは米国で軍事予測のために開発された手法で、
①そのテーマの専門家たちからアンケートを採る。
②その結果を集約して専門家達にフィードバックする。
③その上でまたアンケートを採る。
これを複数回繰り返すことで予想の範囲は収斂してくる。

このデルファイ法を有効に機能させるためには
①ちゃんとした専門家を幅広く選ぶ。素人では多数はに迎合するのでダメ。
②専門家は匿名で参加。師弟関係や名声に影響を受けないように。
③少数派の意見を重視する。その意見を全体にきちんとフィードバックする。
ことが重要。

雑学としては金田一晴彦博士の「濁音の秘密」は秀逸。
「濁音にはひとつだけ仲間はずれがある。どの行だか分かりますか?」
答えは「ば行」。
その理由については本書を読むべし。

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