2011年6月26日日曜日

『一歩先のクラウド戦略』

IT戦略策定における「勘所」の解説と、ローランド・ベルガー社による中立的な視点で選ばれたシステム・ベンダー数社の解説が載っている。
システム部門やシステム子会社の陥りやすい罠などが模式的に書かれているのでイメージしやすい。

「競争力強化のためには、どんなITが必要か」
これが会社のIT部門の肝となる部分である。

IT関連であるにも関わらず、思想として、
「プレミアム」(=機能的価値×情緒的価値)の競争力、「体力」ではなく「体質」で競うための原点である”現場”を「コスト・センター」ではなく「バリュー・センター」と位置づけ、現場力の復権へと舵取りをする必要がある。
というのが挙げられているのが面白い。(これは「見える化」で有名な遠藤功氏が監修しているからだろうか)

<クラウド3つの種類>
SaaS(Software as a Service):アプリケーションの機能をインターネット経由で提供するサービス。電子メール、CRMなど。
PaaS(Platform as a Service):アプリケーションを稼働させるミドルウェアなどのプラットフォーム機能をインターネット経由で提供するサービス。データベース、ウェブアプリケーション実行環境、開発環境など
IaaS(Infrastructure as a Service):サーバーの計算機能やストレージの記憶機能など、仮想化したハードウェア機能をインターネット経由で提供するサービス。サーバー、ストレージ、ネットワークなど。

「パブリック・クラウド」・・・不特定多数の企業で利用する形のクラウドサービス。一般的に「クラウド」という場合には「パブリッククラウド」
「プライベート・クラウド」・・・企業内のみで利用する「クラウド型」のシステム。
「オンプレミス」・・・自社保有しているシステムで、特定部門以外では共有されていないシステム
という概念の解説などもIT音痴の自分にとってはありがたかった。

その他にもシステム開発のどこにお金がかかっているのか(システム部門の予算の7割は既存システムの維持管理に食われている。また、新規システム開発時には予算の半分位は既存システムとの接続のため費やされている。だからこそ短期的成果はでなくとも①システム間連携をシンプルにすること。②企業内に点在・偏在するデータを統合すること。は行う必要がある)、IT部門の改革は何故すすまないのか(受け身・丸投げ・空洞化、そして経験の機会劣位という宿命)、IT子会社の問題点といったことも模式的に書かれていて分かりやすい。

現在の部署で、システムも含めた組織制度設計を行う必要があり、付け焼き刃で購入したが、非常に分かりやすく参考になった。

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