さまざまな身体の仕組みを”自律神経”という切り口から解き明かそうという医学&健康マニュアル本。
自律神経系は、「交感神経系」と「副交感神経系」の二種類に大別される。
体がもっともよい状態で機能するのは、実は、交感神経も副交感神経も両方高いレベルで活動しているとき。
なにもしなければ、我々の自律神経の力は、10年でおよそ15%ずつ低下していく。これは自律神経を意識的にコントロールしなければ、人生の質は10年でおよそ15%ずつ低下していくということ。
どうやって自律神経をコントロールするのかというと、ポイントは「ゆっくり」。
成人の血管を全てつなぐとなんと約10万kmにも及ぶと言われている。(赤道2周半)
自律神経は、その膨大な長さの血管全てに沿って走っている。
自律神経とは、体のライフラインである「血流」を支配することで、我々の体を構成する60兆個の細胞全てを無意識のうちにコントロールしている、ある意味脳以上に重要な組織。
健康な人が病気になる原因は、大きく分けて二つしかない。
一つは「免疫系」のトラブル。もう一つは「血管系」のトラブル。
免疫の中心を担っているのは白血球。白血球には、細菌など比較的大きめな異物を処理する「顆粒球」と、ウィルスなどそれよりも小さな異物を処理する「リンパ球」の二つがある。
交感神経が優位になると顆粒球が増え、副交感神経が優位になるとリンパ球が増える。
秋から冬にかけては顆粒球は増えるが、リンパ球が減少する。このリンパ球の減少がウィルスや細菌への抵抗力を下げてしまい、風やインフルエンザなどの感染症を発症しやすくなる。決して寒いからということではない(別に寒い北国の方が風邪が多いわけではない。)
逆に春になって暖かくなってくると、リンパ球が増えるので感染症は減るが、うつ病などのメンタルな病気が増える。
自律神経のバランスが、交感神経に大きく傾くかたちで体調を崩すと感染症になりやすく、副交感神経に大きく傾く形で体調を崩すとうつ病などメンタルな病気になりやすくなるということ。
自律神経のバランスが崩れると、白血球のバランスも崩れるので、免疫力が下がる。
顆粒球は異物を取り込み、自らが持つ分解酵素と活性酸素によって処理する。顆粒球の数と体内に侵入してくる細菌のバランスがいいときは問題ないが、あまり細菌がないのに、交感神経が過剰に優位になることで顆粒球が増え過ぎてしまうと、健康維持に必要な常在菌まで殺してしまい、却って免疫力を下げることになってしまう。
また、使われない顆粒球が残ってしまうことも問題。顆粒球の寿命は2〜3日と短い上、顆粒球は死ぬときに持っていた「活性酸素」をばらまいて細胞を傷つけてしまう。
副交感神経が優位になると、リンパ球が増えるので基本的には抗原に対する反応が早くなり、ウィルスに感染しにくくなるが、やはりリンパ球も増え過ぎは良くない。
リンパ球が増えすぎると、抗原に敏感になりすぎて、ほんのわずかな抗原にも反応してしまう疾患「アレルギー」を起しやすくなる。
もう一つの病気の原因である「血管系」のトラブルで深刻なのは脳梗塞や心筋梗塞だが、これらはいずれも「血栓」という塊が血管の中にできることが原因で起きる病気。
血栓ができる原因はいくつかあるが、最大の理由は、実は「血流」が悪くなること。
ところが自律神経のバランスが崩れ、優位性が「過剰」になるとどちらも血流は悪くなる。
自律神経のバランスが崩れた状態でいるということは、血栓ができやすい体の状態をつくり出してしまうことになる。
交感神経と副交感神経の理想のバランスは1対1。どんなに差がついても1対1.5まで。それ以上の差がつくと、体には様々な弊害が現れる。
以上が医学的解説。
以下が知見を健康維持に活用するための方策。
○現段階で自律神経を確実にコントロールできるのは「呼吸」。吸う時間と吐く時間を1:2でゆっくり行う「1対2の呼吸」が自律神経をコントロールする。
○朝の貴重な能力を活用するコツはたった二つ。
①良質の睡眠を十分にとること。
②前日の夜のうちに、翌朝すべきことを決めておくこと。
万一朝寝坊してしまった時には「歯磨きをゆっくりすること」
○飲酒時の危険な脱水を防ぐためには、お酒を飲むとき一緒に同量のお水をのむこと。
○深酒してしまった翌朝は、朝起きた時にコップ一杯の水を飲むこと。
○腸に刺激を与えるという意味で、一日三回の食事がベスト。
○「食後に眠くならない食べ方」
食後、睡魔に襲われるのは副交感神経が上がるから。眠くならないようにするポイントは二つ。
「食前に300〜500cc程度の水を飲むこと」
「腹八分目の量を、できるだけゆっくり時間をかけて食べること。」
自律神経をコントロールする重要なポイントの一つが、腸内環境をよくし、その働きを安定させることにある。そのために有効なのが、「朝一番のコップ一杯の水」と「食前のコップ一杯の水」、そして乳酸菌をとることなのだそうだ。
ストレッチの方法についても著者は現在の常識と異なる見解を述べている。
多くの人は、運動前に筋肉を伸ばしておくことで筋肉の動きが良くなると思い込んでいるがそれは間違い。筋肉には一度伸びてしまうとなかなか元に戻らないという性質がある。伸びてしまった筋肉は、柔軟性が損なわれるとともに可動域が狭まるので動きが悪くなる。
ということで、以下の4つのストレッチだけで十分なのだそうだ。
①手の先を持って体側を伸ばす
②手の先を持って横に伸ばす
③肘を固定して手首を回す(肩甲骨の運動)
④反対側の膝の上で足首を回す(股関節の運動)
面白く感じたのは、「自律神経のバランスはなぜか周りに伝染する」というもの。
医療スタッフの中にもたった一人で雰囲気を改善してしまう人がいるらしいのだが、負の連鎖を止めてしまう彼女達の秘密は「口調」。
どのような言葉を使うか、言葉選びも大切だが、それ以上にその言葉をどのような口調で伝えるかが重要とのこと。
何を言うかよりも、どう言うかが大切というメラビアンの法則と結論は似ているが、更に進化させて、それにより「自律神経のバランスも伝染する」としたものだ。
今後、研究が進むにつれ、自律神経とコミュニケーションの関係も解き明かされていくのかも知れない。
自律神経系は、「交感神経系」と「副交感神経系」の二種類に大別される。
体がもっともよい状態で機能するのは、実は、交感神経も副交感神経も両方高いレベルで活動しているとき。
なにもしなければ、我々の自律神経の力は、10年でおよそ15%ずつ低下していく。これは自律神経を意識的にコントロールしなければ、人生の質は10年でおよそ15%ずつ低下していくということ。
どうやって自律神経をコントロールするのかというと、ポイントは「ゆっくり」。
成人の血管を全てつなぐとなんと約10万kmにも及ぶと言われている。(赤道2周半)
自律神経は、その膨大な長さの血管全てに沿って走っている。
自律神経とは、体のライフラインである「血流」を支配することで、我々の体を構成する60兆個の細胞全てを無意識のうちにコントロールしている、ある意味脳以上に重要な組織。
健康な人が病気になる原因は、大きく分けて二つしかない。
一つは「免疫系」のトラブル。もう一つは「血管系」のトラブル。
免疫の中心を担っているのは白血球。白血球には、細菌など比較的大きめな異物を処理する「顆粒球」と、ウィルスなどそれよりも小さな異物を処理する「リンパ球」の二つがある。
交感神経が優位になると顆粒球が増え、副交感神経が優位になるとリンパ球が増える。
秋から冬にかけては顆粒球は増えるが、リンパ球が減少する。このリンパ球の減少がウィルスや細菌への抵抗力を下げてしまい、風やインフルエンザなどの感染症を発症しやすくなる。決して寒いからということではない(別に寒い北国の方が風邪が多いわけではない。)
逆に春になって暖かくなってくると、リンパ球が増えるので感染症は減るが、うつ病などのメンタルな病気が増える。
自律神経のバランスが、交感神経に大きく傾くかたちで体調を崩すと感染症になりやすく、副交感神経に大きく傾く形で体調を崩すとうつ病などメンタルな病気になりやすくなるということ。
自律神経のバランスが崩れると、白血球のバランスも崩れるので、免疫力が下がる。
顆粒球は異物を取り込み、自らが持つ分解酵素と活性酸素によって処理する。顆粒球の数と体内に侵入してくる細菌のバランスがいいときは問題ないが、あまり細菌がないのに、交感神経が過剰に優位になることで顆粒球が増え過ぎてしまうと、健康維持に必要な常在菌まで殺してしまい、却って免疫力を下げることになってしまう。
また、使われない顆粒球が残ってしまうことも問題。顆粒球の寿命は2〜3日と短い上、顆粒球は死ぬときに持っていた「活性酸素」をばらまいて細胞を傷つけてしまう。
副交感神経が優位になると、リンパ球が増えるので基本的には抗原に対する反応が早くなり、ウィルスに感染しにくくなるが、やはりリンパ球も増え過ぎは良くない。
リンパ球が増えすぎると、抗原に敏感になりすぎて、ほんのわずかな抗原にも反応してしまう疾患「アレルギー」を起しやすくなる。
もう一つの病気の原因である「血管系」のトラブルで深刻なのは脳梗塞や心筋梗塞だが、これらはいずれも「血栓」という塊が血管の中にできることが原因で起きる病気。
血栓ができる原因はいくつかあるが、最大の理由は、実は「血流」が悪くなること。
ところが自律神経のバランスが崩れ、優位性が「過剰」になるとどちらも血流は悪くなる。
自律神経のバランスが崩れた状態でいるということは、血栓ができやすい体の状態をつくり出してしまうことになる。
交感神経と副交感神経の理想のバランスは1対1。どんなに差がついても1対1.5まで。それ以上の差がつくと、体には様々な弊害が現れる。
以上が医学的解説。
以下が知見を健康維持に活用するための方策。
○現段階で自律神経を確実にコントロールできるのは「呼吸」。吸う時間と吐く時間を1:2でゆっくり行う「1対2の呼吸」が自律神経をコントロールする。
○朝の貴重な能力を活用するコツはたった二つ。
①良質の睡眠を十分にとること。
②前日の夜のうちに、翌朝すべきことを決めておくこと。
万一朝寝坊してしまった時には「歯磨きをゆっくりすること」
○飲酒時の危険な脱水を防ぐためには、お酒を飲むとき一緒に同量のお水をのむこと。
○深酒してしまった翌朝は、朝起きた時にコップ一杯の水を飲むこと。
○腸に刺激を与えるという意味で、一日三回の食事がベスト。
○「食後に眠くならない食べ方」
食後、睡魔に襲われるのは副交感神経が上がるから。眠くならないようにするポイントは二つ。
「食前に300〜500cc程度の水を飲むこと」
「腹八分目の量を、できるだけゆっくり時間をかけて食べること。」
自律神経をコントロールする重要なポイントの一つが、腸内環境をよくし、その働きを安定させることにある。そのために有効なのが、「朝一番のコップ一杯の水」と「食前のコップ一杯の水」、そして乳酸菌をとることなのだそうだ。
ストレッチの方法についても著者は現在の常識と異なる見解を述べている。
多くの人は、運動前に筋肉を伸ばしておくことで筋肉の動きが良くなると思い込んでいるがそれは間違い。筋肉には一度伸びてしまうとなかなか元に戻らないという性質がある。伸びてしまった筋肉は、柔軟性が損なわれるとともに可動域が狭まるので動きが悪くなる。
ということで、以下の4つのストレッチだけで十分なのだそうだ。
①手の先を持って体側を伸ばす
②手の先を持って横に伸ばす
③肘を固定して手首を回す(肩甲骨の運動)
④反対側の膝の上で足首を回す(股関節の運動)
面白く感じたのは、「自律神経のバランスはなぜか周りに伝染する」というもの。
医療スタッフの中にもたった一人で雰囲気を改善してしまう人がいるらしいのだが、負の連鎖を止めてしまう彼女達の秘密は「口調」。
どのような言葉を使うか、言葉選びも大切だが、それ以上にその言葉をどのような口調で伝えるかが重要とのこと。
何を言うかよりも、どう言うかが大切というメラビアンの法則と結論は似ているが、更に進化させて、それにより「自律神経のバランスも伝染する」としたものだ。
今後、研究が進むにつれ、自律神経とコミュニケーションの関係も解き明かされていくのかも知れない。