2011年8月9日火曜日

『CRM』

10年以上前にアクセンチュアから出された本。
CRMを概括してみるのにお勧めとのことで購入し読んでみた。

10年前に書かれた本であるので、正直、若干の古さは否めない。(アマゾンの事例で、「今後トイザラスとの提携により書籍以外の分野で業容を拡大」とあるのだが、この10年間でトイザらスとは喧嘩別れになってしまっているのは周知の通りである。)

とはいえ、基本的な柱については10年程度で変わることはなく、分かり易く学ぶことができた。

CS活動からの教訓
その1 顧客は一律ではない。
その2 顧客には儲かる顧客と儲からない顧客がいる。
その3 顧客ごとの異なる扱いの実現には高い企業能力が必要とされる。

アクセンチュアの提唱するCRMモデルがあって、ピラミッド型で4層に分かれているのだが、特徴的なのは
「顧客インサイト(顧客理解・識別)」
という層を設けていること。
これは「顧客戦略(Customer Strategy)」と「業務プロセスおよび人・組織層(Process and People)」の間にあって、CRMにおいてはこの「顧客インサイト」における仮説とその検証こそが肝とされている。

また、「顧客インサイト」につながるが、「顧客ゼグメンテーション」についても重要視されている。
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セグメンテーション手法と言った時に、実はその内容には二種類の話しが混ざっている。
一つはどのような情報を基にするかであり、大きく分けて属性情報(Attribute)、意向情報(Attitude)、行動情報(Behavior)の3タイプがある。
また一つはどのような数学的方法で顧客を区分していくかで、主成分分析、数量化Ⅲ類、クラスター分析、多次元尺度構成法などさまざまなものがある。

顧客第一主義を標榜する企業において、顧客セグメンテーションは単なるマーケティング上の部品ではなく、全社員にとっての行動基準であり攻略すべき敵陣の地図のような存在だ。
顧客セグメンテーションをどう取るかは「こういうお客様は大切。こういうのは切り捨てろ」という経営トップからの全社員へのメッセージであり、その後の商品開発・営業活動・ロジスティクス等々すべての企業活動に重大な影響を及ぼす。
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顧客を理解し、識別するには、人のスキルの面・組織の位置づけの面が非常に重要になってくる。
組織面では、インサイト担当(販促企画)が、現場任せでなく、本社にかなり集中化・集権化されていること。この業務の担当者には非常に幅広い経験と洞察力・情報処理能力が求められる。そのような人材は希少であり、現場に分散配置させられないので、どこかに集めて集中的にやってもらうしかない。
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顧客インサイトを行うためには、集権化して行うべしというのがアクセンチュアの見立てだ。

なかなかのボリュームであるが、一通りCRMについての基礎を知ることができた(ような気がする)本である。

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