2009年3月26日木曜日

『凍』


親しくさせてもらっている某代理店の社長から勧められた沢木耕太郎のノンフィクション、登山家の山野井泰史・妙子夫妻のギャチュンカン登頂挑戦の物語である。
正直、クライマーの世界に興味がない自分には面白くないのではないかと思ったが、何のことは無い、一気に読み切ってしまった。
(さすがK社長のお勧め本!!)

クライミングのスタイルに「極地法」と「アルパイン・スタイル」と呼ばれるものがあり、各々相手のスタイルについては疑念をもっているだとか、ルートを開拓して登った者にはルートの命名権があたえられるといったクライミング界の専門知識もちりばめられながら物語はすすんでいく。
登頂、下降、そして奇跡の生還までのストーリーは思わず手に汗にぎりながら読んでしまった。
それにしても、指を凍傷で失ったり、骨折したりするリスク、更には命をかけてまで、何故山に登ろうとするのか。しかも夫婦で。
自分には理解できない世界である。
登りながら「あぁ、これは指を何本か失うな」といった風に、死と隣り合わせの状況で自分の状況を客観的に見るというのは、小説で読んだ”忍びの世界”に通じるものであったが、現実の世界においては知り得なかったものである。

零下の世界でブランコの上でビバークなんて、考えただけでもぞっとする。
のめり込んで感情移入して読んだ分、暖かい布団に入って眠れる自分の幸せを感じた。
ありがたや。

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