2010年11月7日日曜日

大巻伸嗣氏 ホールド型取りワークショップ@UDCK

柏の葉の新UDCKでアーティスト大巻伸嗣氏による「ホールド型取りワークショップ」が開かれて子供と参加してきた。
この”ホールド”とは、現在建設中のマンション「パークシティ柏の葉キャンパス 二番街」の中に設置されるアート「トラバーシングウォール」と「タイムウォール」に設置されるホールド(つかみ手部分)である。
ワークショップ参加者が各自思い出の品を持ち寄り、それを型取ることで”ホールド”をつくり、過去と現在と未来を、また、居住者同士をアートで結ぼうという素敵な企画である。

そんな高尚なテーマとは関係なく、この”型取り”の活動は面白かった。
作業とすると、①外枠となる箱を用意し、②「コピック」と呼ばれる型取り材をボウルに水でといて、③取りたい型と共に箱の中に注ぎ込む。④固まったら型の部分を取り去って、⑤水で溶いた石膏を注入し、⑥石膏が固まったら、箱を取り外して、コピックから石膏をとり出す。
という順番である。

書くと身もふたもないが、色んな所にコツやらポイントがあって、結構大人もはまる。
○コピックは早く混ぜないと固まってしまう(特に大量の時には相当量を手分けしてでも一気に作る必要がある)。水だと固まるのが遅いので早めたい時にはお湯を使う。
○コピックを箱の中に注ぎ込む時にはトンカチ等で叩きながら入れて、空気を抜く。
○気を抜くと、中に入れたはずのものやら手やらが浮かんでくる(コピックは比重が重い?)
○石膏は水と1:1の比率で混ぜる。この時もお湯を使ったり、塩を入れると早く固まる。

芸大の学生さんも手伝いに来ていて話をしたのだが、この「型取り」は芸大では基本の基の字で入学すると最初にやるのだそうだ。
結構「型取り」というのは奥が深くて、色んな対象を色んなやり方で学ぶらしい。

一時期化石を掘り出すのが流行ったが、石膏が固まった後、トピックの中から作品を掘り出す作業は化石を掘るのと似た興奮がある。
また、出て来たものを整える作業も、昔やった型取り(難易度により金額が違うが、成功すると賞金がもらえるやつ)の面白さに似ており、これは主に大人が集中しながら行っていた。

一回できてしまうと、もっと色んなものにチャレンジしたくなり、もっと大きな対象であるとか、もっと難しい素材であるとかにチャレンジし始める。
最初は子供が喜んでやっていたが、子供が飽き始めた頃に見渡してみると、新しい作品をやっていたのは付き添いだった大人達だったりして面白かった。

大巻伸嗣さん、実は日本でも有数のアーティストだったりするのだが、ワークショップにおける仕切りにおいても非常に秀逸だった。
片付けの時に子供達をうまいこと”のせて”雑巾がけレースを行い、子供達は喜々として雑巾をかけていた。
最後はまるでトム・ソーヤの壁のペンキ塗りみたいな状態になっていて、競争で1等になり商品(ワークショップ始める時に参考に見せるための試作品など)をもらった子供は大喜びであった。
その他にも、「モップ隊」を編成し「モップ隊長、ここよろしく頼むね〜」という感じで誘導し、子供達が楽しみながら掃除を行っていた。

この型取り、夏休みの宿題なんかで常に上位にあがるのだが、家で後片付けなんかのことを考えるとついつい敬遠してしまったりする内容である。
この体験が無料でさせてもらえるワークショップなんて最高である。

参加者が、終了後皆「ありがとうございました」と言って帰っていくのが印象的であった。

最後に気づいた点をひとつ。
大巻さんが、次回の日程の件をスタッフと話をしている時に
「いついつまでは、全く動けない」
という話をしていたのが印象的であった。
我々サラリービジネスマンだと、色んなことを並行して進めるために「いついつまで全くダメ」という仕事の仕方はしない。
しかしながら、『FISH!哲学』にも「Be there」としてあったように、その場で全力投球をすることが集中力を高め、疲れない方法なのかもしれない。
全く異質の仕事をするアーティストの仕事っぷりからもまだまだ色々学ぶことができそうだ。

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