統計学の基本が分かりやすく紹介されている良書。
初心者がとっつきやすいように、これでもか!と分かりやすくしてくれているのだが、恥ずかしながら理系出身にもかかわらず、知らないことも多かった。
独立した事象が起こる一定期間における”回数”を分布化すると「ポアソン分布」が、回数ではなく”間隔”を分布化すると「指数分布」が現れる。
指数分布は、事象と事象の間隔が狭ければ狭いほど起きる確率が高くなることを示している。
これは事故(事件)が起きてから、次の事故(事件)が起きるまでの間隔は短ければ短いほど高確率になるということで、次の事故は事故の直後に起きる可能性がもっとも高いということ。
東日本大震災後で、ちょっとストップしている感のある東海大震災が起きる可能性が高いというのも確率的にはうなずける話のようだ。
極値分布という分布があり、異常気象の予測など災害防止にも役立っているらしいが、これを応用すると陸上競技における人間の限界値が想定できるのだそうだ。
それによると
男子100mは9秒29(世界記録9秒74)までしか記録がのびず、
一方女子マラソンは2時間6分35秒(世界記録2時間15分25秒)まで記録が伸びるとされている。
こんなことが統計学を応用して算出できるというのはビックリである。
専門家がその知見をベースに、一般社会について意見を述べるのを聞くのは非常に楽しい。
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山火事のサイエンス誌掲載の研究によると
「一定時間の間に山火事の起こる頻度は、焼失面積にほぼ反比例する」
つまり、どのように山火事が起きたとしても、燃えてしまう土地面積の合計は結局のところあまり変わらないということを意味する。
つまり山火事は、小規模なものが繰り返し起きている方が、自然にとって好都合。
これは山火事を防ごうと努力することで、却って問題を深刻化してしまうことも意味している。
このことに気づいて、アメリカでは山火事を無理に防ぐのをやめた。
競争力の無くなった企業に税金を投入するなどして無理に延命するのは、必ずしもいいことではない。
山火事が周期的に起きるのは、新しい芽が育つために、古木が山火事で焼け落ちる必要があることを示している。
時代が変わるとともに、新たな状況に適応できない企業が退場していかないと、時代に適応した企業は育たない。
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やはり強い生物(企業)が生き残るのではなく、変化に対応できた生物(企業)が生き残るということか。
統計学というと難しい数式のオンパレードという気もしていたが、見方を変えると生活の中で様々利用されていることが分かって非常に面白かった。
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