某マーケティング会社の社長さんからお勧めの本として聞いた本。
進化心理学が非常に分かりやすくまとまっている素晴らしい本。
現在の「巣ごもり消費」は不安感によるもの、という整理で、その不安は恐怖の感情が形を変えたもの、というところから論は始まる。
”恐れ”の感情は、遠い祖先にあたる初期の哺乳類、多分1億5000万年前頃の地球に生息していたネズミのような小動物も持っていたはず。
我々が恐怖を感じると、脳の一部から化学物質のノルアドレナリンが放出され、それが神経系統を伝わり脳下垂体を促して、内臓を刺激するホルモンを血液中に放出させる。その刺激ホルモンに影響されて副腎からアドレナリンというホルモンが分泌される。そのアドレナリンの働きで血管が収縮される結果として血圧が上昇し、心拍数が増加する。
アドレナリンは、敵の動きがよく見えるように瞳孔を拡大し、大量の酸素が吸収できるように気管支も拡張する。逃げる時には、消化機能、免疫機能、生殖機能も働いている必要はないので、脳から放出されたノルアドレナリンが、こういった機能を管理している自律神経に働きかけ一切の機能を停止させる。
結果、恐怖が心に充満し、「逃げる」というたった1つの目的に集中することができる。
災害用ロボットが「逃げる」というタスクだけにすべての電気回路を集中するようプログラムするのは実は難しいらしい。
”恐れ”と同時に、”怒り”の感情も生まれた。
「fight」or「flight」。自分よりも強いかも知れない敵と遭った時に動物がとる行動はいずれか。
怒りは、恐れを感じても逃げることができなかったときに必要な感情。
脳の発達遍歴順にいくと、5億年前に登場した魚類に現れた脳で「爬虫類の脳」と呼ばれる脳幹が最初。
この脳は呼吸、脈拍、血圧など生きていくために必要な基本機能を遂行する。
次に発達したのが「哺乳類の脳」と呼ばれる大脳辺縁系。大脳辺縁系は、脳幹の上にある。
恐怖の感情を生成するのに関係する扁桃体(扁桃:アーモンドの和名。アーモンドの形をしているため命名された)や、腐った食べ物などを不快に感じる(嫌悪の感情を生む)島皮質も大脳辺縁系にある。
大脳辺縁系で恐怖や怒りの感情が生まれても、それ自体を我々は意識できない。無意識の感情を「情動(emotion)」という。大脳新皮質に情報が伝達されて初めて、我々は恐怖を意識的に感じることができるのだ。
大脳新皮質は200〜300万年前ころの霊長類において格段と発達した。
現在、脳の体積のうち大脳新皮質は、哺乳類で30〜40%、原始的なサルで50%、人間では80%を占めるまでになっている。この結果、人間の脳は、身体が同じサイズの哺乳類の9倍の大きさにまで成長している。
「恐怖」や「怒り」といったネガティブな情動をつくることで、危険を察知し、戦うことを可能にした脳は、次いで生殖して繁殖するために、セックスを快感と感じるように報酬系をつくりだした。
そして、脳は自分が属している個体が遺伝子を残すことができるよう、親が子供に感じる愛情を誕生させた。
ちなみに爬虫類は、ワニを除いて子供は誕生したその瞬間から親離れして独りで生きていくことができるので”愛情”という情動はもっていない。(正確には爬虫類に聞いてみないとわからないのだが。。)
子育てをする必要がないので、爬虫類の脳(脳幹)は子供を愛する情動をつくる必要がなかったということ。
「妬み」という感情は、先行人類が群れをつくり社会生活を営むようになってから、新しい環境に適応するために生まれたと考えられている。
妬みは、恐れとか嫌悪とかとは異なり、古い大脳辺縁系ではなく大脳新皮質による処理をはるかに多く必要とする。
行動経済学の基本概念のひとつに損失回避性がある。
人間は損失を同額の利得よりも2〜2.5倍も大きく感じるというものだ。
今食べなければ餓死してしまうかも知れない生活をしてきた生き物の脳は、「損失」を「利得」の倍以上に評価するということだ。
損失回避性は霊長類に共通する。
一方、恥や罪悪感といったような道徳的感情を、霊長類は持ち合わせていない。
今食べなければ餓死してしまうかも知れない生活をする生き物の脳は、生存率を高める行為に罪を感じるようにはプログラムされていないはず。
人間だけ、恥や罪悪感といった「自分の利益を損なうような」感情をもつようになったのは、集団(社会)を単位にして考える場合、協力関係の堅固な集団の方が、協力関係の低い集団に比べて、全体としての生存率や繁殖率が高くなるから。
さらに、脳は他人に感情移入できる(共感できる)ミラーニューロンという神経細胞までつくりだした。
人類が言語を持つようになったこと、他者の心を理解したり他者の観点を採用する能力を持てるようになったことは、もしかしたらミラーニューロンのお蔭かも知れないと言われている。
というわけで、脳は人間が集団生活(社会生活)に適応できるように3重の仕組みを作った。
罪悪感や恥といった道徳的感情に、他人と協力すると快感を感じる報酬系、そしてミラーニューロン。
個人が集団(社会)の暮らしに適応することは非常に難しかったため、脳は、人間が社会に適応する仕組みを念入りにつくっていたのではないか。
ちなみに、ネガティブ感情ばかりがクローズアップされているが、最近はポジティブ感情についても研究が進んでいる。
ギリシアの哲学者アリストテレスは「動物の中で笑うのは人間だけだ」といっているが、これは間違い。チンパンジーやボノボ、ゴリラといった霊長類も笑う。
霊長類の共通する祖先は、既に笑っていた。つまり、「笑い」は1000万年前から1600万年前には既に存在していたことになる。
そして、ネズミも笑う。
現生のネズミと人間との共通する祖先は7500万年前には地球上に生きていた。恐怖や怒りほどではないにせよ、喜びと言う感情も、動物にとっては根源的な情動の1つだということになる。
ポジティブ感情には、ネガティブ感情がもたらした生理的ダメージを減少させる効果がある。
また、ポジティブな感情を喚起されると、幅広い観点(マクロの観点)からものを見る傾向が高くなるということが分かってきている。
ポジティブつながりでいくと、「感動のサービス」といったものが昨今もてはやされているが、顧客に感動を与えることができるのは従業員(人間)だけらしい。
長く記憶に残るポジティブな感情体験を提供する成功物語は、ホテルや小売店のようなサービス業に限られるということだ。
人間を介さない非サービス企業は、顧客に長期にわたって記憶してもらえるような感動を与えることはできない。だから、商品というモノを販売するような会社であっても顧客とのコンタクトポイントは非常に重要だということだ。
fMRI技術の発達により、脳科学的に色々なことが分かるようになってきた。
買いたいという欲求を刺激する商品が登場すると、報酬系の一部で外部からの刺激を受ける側坐核が活性化し、値段が高すぎると考えると嫌悪や痛みといった不快感に関係する島皮質が活性化する。
購買決定は、何かを買うことからくる快感と、それに対してお金を支払う不快感とのバランスの上に成り立っている。
価格が高すぎると、痛みや不快を感じる島皮質が活性化するが、安い価格の場合に脳のどこかが快感を感じるという実験結果は出ていない。
また、快を感じる報酬系の刺激を受ける側坐核が含まれている線条体は、新しい刺激になれてくると活性度が落ちることが分かっている。
大脳辺縁系にある報酬系は、すぐにお金が手に入ると期待できるときだけ活性化する。
論理的思考をする前頭前野の神経細胞はお金を受け取るのが現在であろうと将来であろうと、関心度に違いはない。
両システムが同程度活性化しているときには、一般的に大脳辺縁系が大脳新皮質に勝つ。
つまり、今の誘惑が分別に勝利するということだ。
その他にも、
○個人が集団の意見に反対することが、本人が意識していなくても(扁桃体のある大脳辺縁系は無意識の領域)かなりのストレスになっていること。
○報酬系はお金以外にも、食べ物やセックスにも反応するが、お金ほど、人間の脳の報酬系に大きな刺激を与えるものはないということ。
○人間にとってはほめ言葉や社会的評判を得ることも報酬と感じられること。(だから、他人に善行を施す。)
○自己犠牲を払ってでも、互いに協力しているような場合には、報酬系の一部である側坐核のある腹側線状体が活性化した他、前頭葉眼窩皮質が活性化した。ここは、報酬系の一部であると同時に、衝動を抑制する機能もある。相手に協力するのは止めて、より多くお金を得よう、という自分の衝動を抑制していると考えられる。
といった様々なことが分かりかけてきているようだ。
進化心理学が面白いのは、以下のような一見関係のないような話しも全て関わってくる点だ。
○以前は道具を使うために手が必要になったので直立するようになったという説が一般的だったが、道具を使い始める少なくとも200万年前(300万年〜350万年前)には2足歩行をしていたことが明らかになっており、現在では、アフリカのサバンナの太陽光線から身を守るために立って歩き始めたという説が有力である。
○霊長類の睾丸の大きさや精子の放出量から、チンパンジーから分岐して600万年ほどの歴史において、かなりの間、人類にはチンパンジーのような乱婚社会があったはずだと推測できる。
現在の人間の女には発情期というものがない。
これは男が外で女を作らないように、自分の排卵期を隠すように進化したという説がある。
○女性がセックスから得る快感度はパートナーの男性の所得とともに増大するという説がある。
自分の遺伝子を後世に伝えるために最善の選択をする自然選択の結果であり、こういった選択をするように女性の脳はプログラムされている。
最後に著者の言葉。
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進化の歴史の過程で変わったことに注目するのではなく、変わらなかったことに焦点をおくと、新しい現象も納得いく形で説明がつく。そして、右往左往することなく、自信を持って決断を下すことができる。それは、企業経営者にとっても、マーケティングの意思決定者にとっても、不確実な時代においては特に必要とされる態度である。
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変化の激しい現代においては、変わるものを見るよりも(変わっていてもおかしくないのに)変わらないものに注目することが肝要であるというのは非常に共感を覚える。
久しぶりに長文となってしまったが、人にも自信をもってお勧めできる本だ。
進化心理学が非常に分かりやすくまとまっている素晴らしい本。
現在の「巣ごもり消費」は不安感によるもの、という整理で、その不安は恐怖の感情が形を変えたもの、というところから論は始まる。
”恐れ”の感情は、遠い祖先にあたる初期の哺乳類、多分1億5000万年前頃の地球に生息していたネズミのような小動物も持っていたはず。
我々が恐怖を感じると、脳の一部から化学物質のノルアドレナリンが放出され、それが神経系統を伝わり脳下垂体を促して、内臓を刺激するホルモンを血液中に放出させる。その刺激ホルモンに影響されて副腎からアドレナリンというホルモンが分泌される。そのアドレナリンの働きで血管が収縮される結果として血圧が上昇し、心拍数が増加する。
アドレナリンは、敵の動きがよく見えるように瞳孔を拡大し、大量の酸素が吸収できるように気管支も拡張する。逃げる時には、消化機能、免疫機能、生殖機能も働いている必要はないので、脳から放出されたノルアドレナリンが、こういった機能を管理している自律神経に働きかけ一切の機能を停止させる。
結果、恐怖が心に充満し、「逃げる」というたった1つの目的に集中することができる。
災害用ロボットが「逃げる」というタスクだけにすべての電気回路を集中するようプログラムするのは実は難しいらしい。
”恐れ”と同時に、”怒り”の感情も生まれた。
「fight」or「flight」。自分よりも強いかも知れない敵と遭った時に動物がとる行動はいずれか。
怒りは、恐れを感じても逃げることができなかったときに必要な感情。
脳の発達遍歴順にいくと、5億年前に登場した魚類に現れた脳で「爬虫類の脳」と呼ばれる脳幹が最初。
この脳は呼吸、脈拍、血圧など生きていくために必要な基本機能を遂行する。
次に発達したのが「哺乳類の脳」と呼ばれる大脳辺縁系。大脳辺縁系は、脳幹の上にある。
恐怖の感情を生成するのに関係する扁桃体(扁桃:アーモンドの和名。アーモンドの形をしているため命名された)や、腐った食べ物などを不快に感じる(嫌悪の感情を生む)島皮質も大脳辺縁系にある。
大脳辺縁系で恐怖や怒りの感情が生まれても、それ自体を我々は意識できない。無意識の感情を「情動(emotion)」という。大脳新皮質に情報が伝達されて初めて、我々は恐怖を意識的に感じることができるのだ。
大脳新皮質は200〜300万年前ころの霊長類において格段と発達した。
現在、脳の体積のうち大脳新皮質は、哺乳類で30〜40%、原始的なサルで50%、人間では80%を占めるまでになっている。この結果、人間の脳は、身体が同じサイズの哺乳類の9倍の大きさにまで成長している。
「恐怖」や「怒り」といったネガティブな情動をつくることで、危険を察知し、戦うことを可能にした脳は、次いで生殖して繁殖するために、セックスを快感と感じるように報酬系をつくりだした。
そして、脳は自分が属している個体が遺伝子を残すことができるよう、親が子供に感じる愛情を誕生させた。
ちなみに爬虫類は、ワニを除いて子供は誕生したその瞬間から親離れして独りで生きていくことができるので”愛情”という情動はもっていない。(正確には爬虫類に聞いてみないとわからないのだが。。)
子育てをする必要がないので、爬虫類の脳(脳幹)は子供を愛する情動をつくる必要がなかったということ。
「妬み」という感情は、先行人類が群れをつくり社会生活を営むようになってから、新しい環境に適応するために生まれたと考えられている。
妬みは、恐れとか嫌悪とかとは異なり、古い大脳辺縁系ではなく大脳新皮質による処理をはるかに多く必要とする。
行動経済学の基本概念のひとつに損失回避性がある。
人間は損失を同額の利得よりも2〜2.5倍も大きく感じるというものだ。
今食べなければ餓死してしまうかも知れない生活をしてきた生き物の脳は、「損失」を「利得」の倍以上に評価するということだ。
損失回避性は霊長類に共通する。
一方、恥や罪悪感といったような道徳的感情を、霊長類は持ち合わせていない。
今食べなければ餓死してしまうかも知れない生活をする生き物の脳は、生存率を高める行為に罪を感じるようにはプログラムされていないはず。
人間だけ、恥や罪悪感といった「自分の利益を損なうような」感情をもつようになったのは、集団(社会)を単位にして考える場合、協力関係の堅固な集団の方が、協力関係の低い集団に比べて、全体としての生存率や繁殖率が高くなるから。
さらに、脳は他人に感情移入できる(共感できる)ミラーニューロンという神経細胞までつくりだした。
人類が言語を持つようになったこと、他者の心を理解したり他者の観点を採用する能力を持てるようになったことは、もしかしたらミラーニューロンのお蔭かも知れないと言われている。
というわけで、脳は人間が集団生活(社会生活)に適応できるように3重の仕組みを作った。
罪悪感や恥といった道徳的感情に、他人と協力すると快感を感じる報酬系、そしてミラーニューロン。
個人が集団(社会)の暮らしに適応することは非常に難しかったため、脳は、人間が社会に適応する仕組みを念入りにつくっていたのではないか。
ちなみに、ネガティブ感情ばかりがクローズアップされているが、最近はポジティブ感情についても研究が進んでいる。
ギリシアの哲学者アリストテレスは「動物の中で笑うのは人間だけだ」といっているが、これは間違い。チンパンジーやボノボ、ゴリラといった霊長類も笑う。
霊長類の共通する祖先は、既に笑っていた。つまり、「笑い」は1000万年前から1600万年前には既に存在していたことになる。
そして、ネズミも笑う。
現生のネズミと人間との共通する祖先は7500万年前には地球上に生きていた。恐怖や怒りほどではないにせよ、喜びと言う感情も、動物にとっては根源的な情動の1つだということになる。
ポジティブ感情には、ネガティブ感情がもたらした生理的ダメージを減少させる効果がある。
また、ポジティブな感情を喚起されると、幅広い観点(マクロの観点)からものを見る傾向が高くなるということが分かってきている。
ポジティブつながりでいくと、「感動のサービス」といったものが昨今もてはやされているが、顧客に感動を与えることができるのは従業員(人間)だけらしい。
長く記憶に残るポジティブな感情体験を提供する成功物語は、ホテルや小売店のようなサービス業に限られるということだ。
人間を介さない非サービス企業は、顧客に長期にわたって記憶してもらえるような感動を与えることはできない。だから、商品というモノを販売するような会社であっても顧客とのコンタクトポイントは非常に重要だということだ。
fMRI技術の発達により、脳科学的に色々なことが分かるようになってきた。
買いたいという欲求を刺激する商品が登場すると、報酬系の一部で外部からの刺激を受ける側坐核が活性化し、値段が高すぎると考えると嫌悪や痛みといった不快感に関係する島皮質が活性化する。
購買決定は、何かを買うことからくる快感と、それに対してお金を支払う不快感とのバランスの上に成り立っている。
価格が高すぎると、痛みや不快を感じる島皮質が活性化するが、安い価格の場合に脳のどこかが快感を感じるという実験結果は出ていない。
また、快を感じる報酬系の刺激を受ける側坐核が含まれている線条体は、新しい刺激になれてくると活性度が落ちることが分かっている。
大脳辺縁系にある報酬系は、すぐにお金が手に入ると期待できるときだけ活性化する。
論理的思考をする前頭前野の神経細胞はお金を受け取るのが現在であろうと将来であろうと、関心度に違いはない。
両システムが同程度活性化しているときには、一般的に大脳辺縁系が大脳新皮質に勝つ。
つまり、今の誘惑が分別に勝利するということだ。
その他にも、
○個人が集団の意見に反対することが、本人が意識していなくても(扁桃体のある大脳辺縁系は無意識の領域)かなりのストレスになっていること。
○報酬系はお金以外にも、食べ物やセックスにも反応するが、お金ほど、人間の脳の報酬系に大きな刺激を与えるものはないということ。
○人間にとってはほめ言葉や社会的評判を得ることも報酬と感じられること。(だから、他人に善行を施す。)
○自己犠牲を払ってでも、互いに協力しているような場合には、報酬系の一部である側坐核のある腹側線状体が活性化した他、前頭葉眼窩皮質が活性化した。ここは、報酬系の一部であると同時に、衝動を抑制する機能もある。相手に協力するのは止めて、より多くお金を得よう、という自分の衝動を抑制していると考えられる。
といった様々なことが分かりかけてきているようだ。
進化心理学が面白いのは、以下のような一見関係のないような話しも全て関わってくる点だ。
○以前は道具を使うために手が必要になったので直立するようになったという説が一般的だったが、道具を使い始める少なくとも200万年前(300万年〜350万年前)には2足歩行をしていたことが明らかになっており、現在では、アフリカのサバンナの太陽光線から身を守るために立って歩き始めたという説が有力である。
○霊長類の睾丸の大きさや精子の放出量から、チンパンジーから分岐して600万年ほどの歴史において、かなりの間、人類にはチンパンジーのような乱婚社会があったはずだと推測できる。
現在の人間の女には発情期というものがない。
これは男が外で女を作らないように、自分の排卵期を隠すように進化したという説がある。
○女性がセックスから得る快感度はパートナーの男性の所得とともに増大するという説がある。
自分の遺伝子を後世に伝えるために最善の選択をする自然選択の結果であり、こういった選択をするように女性の脳はプログラムされている。
最後に著者の言葉。
>>>>>
進化の歴史の過程で変わったことに注目するのではなく、変わらなかったことに焦点をおくと、新しい現象も納得いく形で説明がつく。そして、右往左往することなく、自信を持って決断を下すことができる。それは、企業経営者にとっても、マーケティングの意思決定者にとっても、不確実な時代においては特に必要とされる態度である。
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変化の激しい現代においては、変わるものを見るよりも(変わっていてもおかしくないのに)変わらないものに注目することが肝要であるというのは非常に共感を覚える。
久しぶりに長文となってしまったが、人にも自信をもってお勧めできる本だ。
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