2012年1月8日日曜日

『脳は平気で嘘をつく』

臨床心理士、心理学者の植木理恵女史の著作。
仕種で嘘は見抜けるのか?というキャッチコピーなのだが、これについては、結論は見抜けません、とあっさり。
でも色んな小ネタが満載で雑学として面白いものもたくさん。
その一つが美人はモテて、不美人はモテないのかという研究結果の話し。
不美人から美人までを5段階に分け、どのレベルの人が一番早く結婚するかを調べた研究が行われた。(こんなことをよく真面目に研究したものだという気もするが)
結果、結婚が一番早かったのはやはり5の美人。
驚くべきは、ランキング最下位が予想された1の不美人も5の美人と同じ位結婚が早かった。
そして意外なことに、婚期が最も遅れるのが4の「やや美人」。
マッチングセオリー(心理的にも社会的にも自分と同じ位のレベルの人間と一緒にいることが精神状態を安定させるというもの)と、「すごい美人はすぐに断られてしまいそうな気がする」という男性陣の意見を合わせみると、女性の中で一番モテるのは4の「やや美人」。実はこの「相手が選ぶほどいる」という状況が「やや美人」の婚期を遅らせているのではないか、というのが定説らしい。


有名なロールシャッハ・テストなど、深層心理を知るために被験者の思ったことを自由に言わせる方法があるが、実は 科学的なアプローチを重視する近代の心理カウンセリングでは「自由連想法」において「発言したこと」にさほど大きな意味を求めない。
カウンセラーが重要視するのは確実に計量化できる「言葉を発するまでにかかった時間」である。
「何を連想するか」を重要視するのが深層心理学であるとするならば、「どれだか時間がかかったか」といったデータ化できるものに注目するのが表層心理学のアプローチ法といえる。


面白かったのが、成長を続ける企業のリーダーとそうでない企業のリーダーの比較。
メタ認知能力を磨くには「教訓帰納」が大切であるが、成長を続ける企業のリーダーは、「悪い時」「悪いところ」よりは「いい時」「いいところ」に注目し、「何故今、会社の調子がいいのか」を分析することに熱心であったという。
「調子のいい時を分析する」という思考は人間の本能にはない。メタ認知の中でも高度な部類に入る思考法といえる。


これからは「いいのは何故?」ということに注目して、会社を成長を続ける企業にしていこう。

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