青山学院大学陸上部監督として、箱根駅伝連覇を果たした原晋監督の著作。
実は今年の箱根駅伝で1区から完全勝利で連覇を果たす前に書かれた本というのがまた面白い。
元々原監督、世羅高校→中京大学→中国電力と進むのだが、一番成果を残したのが世羅高校の高校3年生の時の全国高校駅伝大会準優勝。後は大きな成績を残すこともなく、中国電力陸上部を辞めて、普通の会社人として勤める。
その後、母校ではない青山学院大学陸上部監督の話しが来てということなのだが、日本一のチームをつくったチームビルディングの手法は社会人時代の経験も相当活きていると思われ、非常に共感できるものとなっている。
青学の監督も3年契約で、「3年目にはどうしても結果が欲しくて」チームカラーに合わない生徒をスカウトしてしまった苦い経験もありながらの10年目の大成果は本当にスゴい経験だと思う。
個々のタイムが問われる陸上において、「10年前の組織力では、もし、2015年の優勝メンバーが揃っていても、箱根駅伝優勝は難しかっただろう」と語る原監督のチームビルディングは、スーパーエースの出現を待望するのではなく、時間をかけてチーム力を底上げして優勝を狙うものであった。
◯良質の土壌をつくるには時間がかかる
素材が良くても、その潜在能力を引き出し伸ばす環境がなければ育たない。 耕していない土壌に、いくらいい種を撒いても芽は出てこない。土壌を耕すには時間がかかる。
◯強い組織をつくるには、「コーチング」の前に「ティーチング」
組織の進化には4つのステージがある。ティーチングの段階が、強い組織の土台をつくる最初のステージ。部員に知識や技術を細かく教えていく段階(命令型)。
次がステージ2。スタッフを養成してすこしずつ権限を与える(指示型)。
さらに選手の自主性を重んじるステージ3に進む(投げかけ型)。
そして最終的なステージ4に入った段階で、コーチングという指導法が大きな効果を発揮するようになる。(サポーター型)
ステージ1 命令型
監督の命令で全員が動くチーム。規則や方向性を徹底させ、チームや組織の土台をつくるには適しているが、部員が監督の指示通りにしか動かないので、自ら考えないようになってしまう。
ステージ2 指示型
監督が学年長(代表者)に指示を出し、学年長が部員に伝えて動くチーム。権限を与えられた学年長は自覚が生まれ成長するが、他の部員はまだ自ら積極的に考えようとはしない。
ステージ3 投げかけ型
監督が方向性だけを学年長(代表者)に伝え、学年長と部員が一緒に考えながら動くチーム。ステージ1、2を飛ばしていきなりステージ3から組織作りをしてしまうと、部員が自主性と自由をはき違えたチームになるため注意が必用。
ステージ4 サポーター型
チームづくりの最終段階は、監督が外部指導者を巻き込みながら、部員に対してサポーター役になる。部員の自主性とチームの自立を求めていくことになる。
ステージ3以上のチームは陸上界ではほとんどない。チーム1,2でも監督があらゆる必要分野に精通していればそれも可能だが、はっきり言えることは「そのチームは監督の器以上のチームにはならない」ということ。
チームビルディングについて、そのチームのフェーズによってやるべきことが異なるということを意識しながらマネジメントしている指導者がどこまでいるだろうか。
同じことは企業にも言える。
◯リーダー
組織を強くしていくときに不可欠なのがリーダーの存在。キャプテンは部員が「この人と一緒に戦いたい」と思える人。
キャプテンに求めるのは「チームの空気を変えられるかどうか」。陸上競技でもタイムの速い選手が必ずキャプテンになるとは限らない。最後は、やはり人間性。
キャプテンに必要な資質は、「できる理屈」を考えられるかどうか。物事を前向きにとらえて、それを周りの人に伝える言葉を持っているか、ということに尽きる。
◯エース
チームを強くするには、エースという存在が必要。
では、エースを育てるにはどうすればいいか。
私はエースをつくるには、「平等感」が不可欠だと考えている。選手が同じスタートラインから切瑳琢磨できる環境を整えるということ。
指導者がもっともやってはいけないのは、選手同士が切磋琢磨する前に、その時点で高い能力を持つ一人を「お前がエースだ。お前を中心にチームをつくっていく」と決めてしまうこと。
組織の中では常に平等感を前面に出すべき。誰にでもチャンスがある環境こそが、チーム全体、組織全体を底上げするパワーになる。
◯スカウト(リクルーティング)
勝てる組織をつくるには、優秀な人材の採用が不可欠。
私が人材を見極める際のポイントにしている一つが「強さ」。強さとは、どんな環境にも対応できる能力。
タイムも重要だが、それ以上に着目しているのが「着順」。多少タイムは悪くても、出場した大会で常に優勝、あるいは上位に入っている選手の方が魅力的に映る。そういう選手の方が、勝負どころで勝負できる選手であり、競り合った展開でも最後まで粘り勝ちできる選手だからだ。この強さは、勝負においては大きな資質。ビジネスの世界でより求めらる資質かもしれない。
将来活躍が期待できる素材は、その段階から他の選手とは異なる雰囲気を持っている。
オーラを放つ選手はとにかく歩く姿勢がいいし、胸を張り堂々としている。
オーラを放つ子は、自分の言葉を持っている。目の前にある課題を的確に分析して、自分には何が出来るかをシンプルに言葉にする。誰にでもできることではない。
私がよく高校生にする質問の一つが「自分を自慢してもらえますか?」というもの。ただしこの質問は会社の採用面接では何度もシュミレーションしているので役に立たない。むしろ使い古されたマニュアル通りの言葉ではなく、自分の頭で考えた自分の言葉で話しているかどうか、そこにオリジナリティが感じれられるものがあれば期待できる人材。
今は、人の指示を待たずに動ける、考えられる人材が伸びる時代。
伸びる子は真面目でチャラいこともできる。
どんなに超一流の素質をもっていても、チームカラーに合わなけばとらない覚悟が必要。 その人材を環境に適合させるには時間がかかる。せっかくの優秀な人材が環境に合わないだけで能力を発揮できないのは不幸である。
Googleもそうだが「組織の文化にそぐわない人間は、どんなに優秀であっても採用しない」というのは採用するサイドの視点でよく言われること。
原監督はそれを「そういう採用は、採用される側から見ても不幸である」という観点で見ている。
◯柿の木作戦
目標は半歩先を設定する。名付けて「柿の木作戦」。
柿の実を取るときは、いきなり一番上の柿を取ろうとはしない。まず少し手を伸ばせば届く実からとるはず。そして、取った実がうまいと分かれば、さらにその上の実に手を伸ばす。手が届かなければ工夫するであろう。気がつけば、一番上の実を取るためにどうしようかとあれこれ考えることになる。頂点を目指すなら、まずは半歩先の目標からということ。
簡単には届かないけれど、つま先立ちになって必死に手を伸ばせば届きそうな半歩先の目標にこそ、人を動かすエネルギーが秘められている。
人の心に響かせるには、理屈と情熱がリアリティをもってバランスよく存在することが大切。
この「柿の木作戦」はメンタルも強くしてくれる。 最近は、メンタルを強くすることが、パフォーマンスを高める大切な要素と言われている。メンタル強化には自信を積み重ねることが近道。
「自分はできた」と思う機会が増えれば増えるほど、緊張することは少なくなる。
◯監督の仕事
組織が成熟してくると、日々の変化を感じ取るのが監督の主な仕事になる。
チームに緊張感が足りないと感じたときだけ、部員との距離を詰める。それでも緊張感が足りないなら、さらに近づいていってつぶやく。それで十分。
管理者は、管理するのではなく「感じる」のが仕事。感じることは、管理職の危機管理能力。異変を早めに察知して、事故やトラブルを未然に防ぐ。
そのためには「本気で観察する」こと。
相談することは、「考える」癖をつけるいい訓練。相談できる空気をつくるのは指導者の務め。
できるだけ答えを出さずに、彼らが考えるのを待つこと。
チーム全体の力を底上げしていくには、試合に出れない人たちのモチベーションをいかに維持するかが重要で、指導者として意識して気を配らなければならないところ。
私がそうした部員に対して意識してきたことは、面と向かって直接話しをすること。そして、彼らに自覚を持たせること。
自覚とは、試合に出ることを諦めずに練習に前向きになる姿勢を保つこと。
今のポジションを理解させ、どうするべきか道筋をつけてあげることも、指導者の大きな役割。
◯監督就任3年目の失敗
「3年契約で監督に就任した私は、3年目はどうしても結果が欲しいと焦っていました。そこで、記録優先で選手をスカウトすることに決めたのです。入部が決まったのは持ちタイムで全国ランキングでも上位の即戦力といえる選手たちでした。これで最初の目標である箱根駅伝出場を達成できると思ったのです。
しかし、その目論見はもろくも崩れました。
お願いして来てもらった選手達は寮則、門限を守らず、まともに練習もしなかったのです。
しかし、ずば抜けた資質を持っていたことで、他の部員は腫れ物に触るように遠巻きに見ているしかありません。
彼らには「来てやったんだ」という思いが強かったのだろうと思います。
逆に、監督の方が「とってやった」と思ったら選手が萎縮します。どちらの場合もうまくいきません。
採用する側もされる側もメリットがなければなりません。win-winの関係には伸びしろがあります。 お互いにメリットがある関係でなければ、組織も人も伸びません。」
3年目に原監督を解任していたら、今年の青学の箱根駅伝連覇はおろか優勝することもなかっただろう。
結果のでない「土壌をつくる期間」に信じて耐えるということはボード側にも必要だということだ。
◯グループ
ランダムなグループが、上下の関係なく刺激を与える ランダムなグループというのが目標管理ミーティングの肝。それぞれの置かれた立場や状態が違う部員が集まることで、まず目標を客観的に見直すことができる。 仕上げた目標管理シートを寮の廊下に貼り出す。自分の目標を表示することで、達成へのモチベーションを高める。
多様性のいい面をちゃんと理解しているあたり、自分でも言っているが陸上界では相当異色な監督だろう。でも自分のやり方を貫いて10年の歳月を経て最強チームを作り上げたという実績はスゴい。
更に監督業が遠巻きでよくなって、講演をされるようであれば一度聞いてみたい人だ。
実は今年の箱根駅伝で1区から完全勝利で連覇を果たす前に書かれた本というのがまた面白い。
元々原監督、世羅高校→中京大学→中国電力と進むのだが、一番成果を残したのが世羅高校の高校3年生の時の全国高校駅伝大会準優勝。後は大きな成績を残すこともなく、中国電力陸上部を辞めて、普通の会社人として勤める。
その後、母校ではない青山学院大学陸上部監督の話しが来てということなのだが、日本一のチームをつくったチームビルディングの手法は社会人時代の経験も相当活きていると思われ、非常に共感できるものとなっている。
青学の監督も3年契約で、「3年目にはどうしても結果が欲しくて」チームカラーに合わない生徒をスカウトしてしまった苦い経験もありながらの10年目の大成果は本当にスゴい経験だと思う。
個々のタイムが問われる陸上において、「10年前の組織力では、もし、2015年の優勝メンバーが揃っていても、箱根駅伝優勝は難しかっただろう」と語る原監督のチームビルディングは、スーパーエースの出現を待望するのではなく、時間をかけてチーム力を底上げして優勝を狙うものであった。
◯良質の土壌をつくるには時間がかかる
素材が良くても、その潜在能力を引き出し伸ばす環境がなければ育たない。 耕していない土壌に、いくらいい種を撒いても芽は出てこない。土壌を耕すには時間がかかる。
◯強い組織をつくるには、「コーチング」の前に「ティーチング」
組織の進化には4つのステージがある。ティーチングの段階が、強い組織の土台をつくる最初のステージ。部員に知識や技術を細かく教えていく段階(命令型)。
次がステージ2。スタッフを養成してすこしずつ権限を与える(指示型)。
さらに選手の自主性を重んじるステージ3に進む(投げかけ型)。
そして最終的なステージ4に入った段階で、コーチングという指導法が大きな効果を発揮するようになる。(サポーター型)
ステージ1 命令型
監督の命令で全員が動くチーム。規則や方向性を徹底させ、チームや組織の土台をつくるには適しているが、部員が監督の指示通りにしか動かないので、自ら考えないようになってしまう。
ステージ2 指示型
監督が学年長(代表者)に指示を出し、学年長が部員に伝えて動くチーム。権限を与えられた学年長は自覚が生まれ成長するが、他の部員はまだ自ら積極的に考えようとはしない。
ステージ3 投げかけ型
監督が方向性だけを学年長(代表者)に伝え、学年長と部員が一緒に考えながら動くチーム。ステージ1、2を飛ばしていきなりステージ3から組織作りをしてしまうと、部員が自主性と自由をはき違えたチームになるため注意が必用。
ステージ4 サポーター型
チームづくりの最終段階は、監督が外部指導者を巻き込みながら、部員に対してサポーター役になる。部員の自主性とチームの自立を求めていくことになる。
ステージ3以上のチームは陸上界ではほとんどない。チーム1,2でも監督があらゆる必要分野に精通していればそれも可能だが、はっきり言えることは「そのチームは監督の器以上のチームにはならない」ということ。
チームビルディングについて、そのチームのフェーズによってやるべきことが異なるということを意識しながらマネジメントしている指導者がどこまでいるだろうか。
同じことは企業にも言える。
◯リーダー
組織を強くしていくときに不可欠なのがリーダーの存在。キャプテンは部員が「この人と一緒に戦いたい」と思える人。
キャプテンに求めるのは「チームの空気を変えられるかどうか」。陸上競技でもタイムの速い選手が必ずキャプテンになるとは限らない。最後は、やはり人間性。
キャプテンに必要な資質は、「できる理屈」を考えられるかどうか。物事を前向きにとらえて、それを周りの人に伝える言葉を持っているか、ということに尽きる。
◯エース
チームを強くするには、エースという存在が必要。
では、エースを育てるにはどうすればいいか。
私はエースをつくるには、「平等感」が不可欠だと考えている。選手が同じスタートラインから切瑳琢磨できる環境を整えるということ。
指導者がもっともやってはいけないのは、選手同士が切磋琢磨する前に、その時点で高い能力を持つ一人を「お前がエースだ。お前を中心にチームをつくっていく」と決めてしまうこと。
組織の中では常に平等感を前面に出すべき。誰にでもチャンスがある環境こそが、チーム全体、組織全体を底上げするパワーになる。
◯スカウト(リクルーティング)
勝てる組織をつくるには、優秀な人材の採用が不可欠。
私が人材を見極める際のポイントにしている一つが「強さ」。強さとは、どんな環境にも対応できる能力。
タイムも重要だが、それ以上に着目しているのが「着順」。多少タイムは悪くても、出場した大会で常に優勝、あるいは上位に入っている選手の方が魅力的に映る。そういう選手の方が、勝負どころで勝負できる選手であり、競り合った展開でも最後まで粘り勝ちできる選手だからだ。この強さは、勝負においては大きな資質。ビジネスの世界でより求めらる資質かもしれない。
将来活躍が期待できる素材は、その段階から他の選手とは異なる雰囲気を持っている。
オーラを放つ選手はとにかく歩く姿勢がいいし、胸を張り堂々としている。
オーラを放つ子は、自分の言葉を持っている。目の前にある課題を的確に分析して、自分には何が出来るかをシンプルに言葉にする。誰にでもできることではない。
私がよく高校生にする質問の一つが「自分を自慢してもらえますか?」というもの。ただしこの質問は会社の採用面接では何度もシュミレーションしているので役に立たない。むしろ使い古されたマニュアル通りの言葉ではなく、自分の頭で考えた自分の言葉で話しているかどうか、そこにオリジナリティが感じれられるものがあれば期待できる人材。
今は、人の指示を待たずに動ける、考えられる人材が伸びる時代。
伸びる子は真面目でチャラいこともできる。
どんなに超一流の素質をもっていても、チームカラーに合わなけばとらない覚悟が必要。 その人材を環境に適合させるには時間がかかる。せっかくの優秀な人材が環境に合わないだけで能力を発揮できないのは不幸である。
Googleもそうだが「組織の文化にそぐわない人間は、どんなに優秀であっても採用しない」というのは採用するサイドの視点でよく言われること。
原監督はそれを「そういう採用は、採用される側から見ても不幸である」という観点で見ている。
◯柿の木作戦
目標は半歩先を設定する。名付けて「柿の木作戦」。
柿の実を取るときは、いきなり一番上の柿を取ろうとはしない。まず少し手を伸ばせば届く実からとるはず。そして、取った実がうまいと分かれば、さらにその上の実に手を伸ばす。手が届かなければ工夫するであろう。気がつけば、一番上の実を取るためにどうしようかとあれこれ考えることになる。頂点を目指すなら、まずは半歩先の目標からということ。
簡単には届かないけれど、つま先立ちになって必死に手を伸ばせば届きそうな半歩先の目標にこそ、人を動かすエネルギーが秘められている。
人の心に響かせるには、理屈と情熱がリアリティをもってバランスよく存在することが大切。
この「柿の木作戦」はメンタルも強くしてくれる。 最近は、メンタルを強くすることが、パフォーマンスを高める大切な要素と言われている。メンタル強化には自信を積み重ねることが近道。
「自分はできた」と思う機会が増えれば増えるほど、緊張することは少なくなる。
◯監督の仕事
組織が成熟してくると、日々の変化を感じ取るのが監督の主な仕事になる。
チームに緊張感が足りないと感じたときだけ、部員との距離を詰める。それでも緊張感が足りないなら、さらに近づいていってつぶやく。それで十分。
管理者は、管理するのではなく「感じる」のが仕事。感じることは、管理職の危機管理能力。異変を早めに察知して、事故やトラブルを未然に防ぐ。
そのためには「本気で観察する」こと。
相談することは、「考える」癖をつけるいい訓練。相談できる空気をつくるのは指導者の務め。
できるだけ答えを出さずに、彼らが考えるのを待つこと。
チーム全体の力を底上げしていくには、試合に出れない人たちのモチベーションをいかに維持するかが重要で、指導者として意識して気を配らなければならないところ。
私がそうした部員に対して意識してきたことは、面と向かって直接話しをすること。そして、彼らに自覚を持たせること。
自覚とは、試合に出ることを諦めずに練習に前向きになる姿勢を保つこと。
今のポジションを理解させ、どうするべきか道筋をつけてあげることも、指導者の大きな役割。
◯監督就任3年目の失敗
「3年契約で監督に就任した私は、3年目はどうしても結果が欲しいと焦っていました。そこで、記録優先で選手をスカウトすることに決めたのです。入部が決まったのは持ちタイムで全国ランキングでも上位の即戦力といえる選手たちでした。これで最初の目標である箱根駅伝出場を達成できると思ったのです。
しかし、その目論見はもろくも崩れました。
お願いして来てもらった選手達は寮則、門限を守らず、まともに練習もしなかったのです。
しかし、ずば抜けた資質を持っていたことで、他の部員は腫れ物に触るように遠巻きに見ているしかありません。
彼らには「来てやったんだ」という思いが強かったのだろうと思います。
逆に、監督の方が「とってやった」と思ったら選手が萎縮します。どちらの場合もうまくいきません。
採用する側もされる側もメリットがなければなりません。win-winの関係には伸びしろがあります。 お互いにメリットがある関係でなければ、組織も人も伸びません。」
3年目に原監督を解任していたら、今年の青学の箱根駅伝連覇はおろか優勝することもなかっただろう。
結果のでない「土壌をつくる期間」に信じて耐えるということはボード側にも必要だということだ。
◯グループ
ランダムなグループが、上下の関係なく刺激を与える ランダムなグループというのが目標管理ミーティングの肝。それぞれの置かれた立場や状態が違う部員が集まることで、まず目標を客観的に見直すことができる。 仕上げた目標管理シートを寮の廊下に貼り出す。自分の目標を表示することで、達成へのモチベーションを高める。
多様性のいい面をちゃんと理解しているあたり、自分でも言っているが陸上界では相当異色な監督だろう。でも自分のやり方を貫いて10年の歳月を経て最強チームを作り上げたという実績はスゴい。
更に監督業が遠巻きでよくなって、講演をされるようであれば一度聞いてみたい人だ。
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