今回のトヨタショックについても説明している。
自動車に関しては短期所得弾力性は5.5と高いが、長期所得弾力性については1.1と低い。
米GDP▲6%を受けて短期的には北米売り上げが3割近くダウンしたが、長期的には米GDPが回復するのと合わせ急激に回復する可能性が高いという説だ。
ゆえに北米の売り上げ激減を受けて急激に雇用調整に入ったりしたのは得策ではなく、急激回復したアメリカの自動車需要を受け止めきれない(機会損失)恐れがあるとしている。
価格弾力性の観点でみると、価格弾力性が1.0よりも小さい商材は価格を上げる方向に努力をすることで市場を広げることができる可能性がある。
それを実現したのがセブンイレブンのコンビニエンス定価販売手法である。
長時間(24時間)営業、そして他社もコンビニエンス業界に参入してくることで顧客の利便性をアップさせることで、スーパーよりも高い定価販売で売り上げを伸ばすことができた。
ポール・クルーグマン教授は「経済成長」「分配」「失業」の3つを管理すれば国の経済は大丈夫と言ったとか。
その「経済成長」を継続するためには日本は重サービス業(重工業と同じく、人件費以外の資本投下が必要で、ノウハウ的な部分での参入障壁が大きいサービス業のこと)をビジネスモデルとして確立し、海外へ輸出することが必要だ、というのが著者の鈴木貴博氏の主張だ。
鈴木貴博氏は『逆転戦略』という、ウィルコムの参入した次世代PHSの将来性を熱く語った本を以前出していて、勉強したことがある。結構説得力を持って感心した記憶がある。
しかしながら、ウィルコムは今年の9月に事業再生ADRの手続きに入ってしまった。
2〜3年早く投資をしすぎてしまった企業がお金をどぶに捨てるような結果になる一方で、出遅れたはずの企業が先行する企業の研究成果を横取りして成功してしまう現象を、鈴木氏は”狼はまだ来ない現象”と呼んでいる。
が、『デスノート』は”いつ”かが明確であるから意味があるので、”○○はいつか死ぬ”であったらそれは確実にあたる予言となってノートの意義は全くなくなる。
今回も短期と長期の違いは?という疑念に関しては自ら「根拠は述べないが1年未満か1年超か」ということで述べている。
仮に所得弾力性に基づく需要理論が正しいとしても、長期と短期の違いが1年なのか5年なのかによって、トヨタのとるべき戦略も変わってくる気がするが果たしてどうか。
ここについては、根拠を上げつつ説明して欲しかった。
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