2010年4月4日日曜日

『脳に悪い7つの習慣』


北京オリンピックの競泳日本代表メンバーに「勝負脳」の奥義を講義し結果を出したことで一躍有名になった林成之氏の著書。
脳医学の立場から、目からウロコの事実がわかりやすく述べられている良書。

脳神経細胞がもつ本能は3つ。「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」ということ。
脳が求めるのは「世の中に貢献しながら、安定的に生きる」こと、「違いを認めて、共に生きる」ことなので、他者に貢献してよろこんでもらうことは脳にとって本能的に報酬足りうるらしい。

また、脳はその機能を守るための第2段階の本能をもつ。「自己保存」と「統一・一貫性」である。
「自己保存」・・脳は自分を守ろうとする。
「統一・一貫性」・・脳は統一性、一貫性が保てなくなるような情報を避けようとする。
ということなのだが、この2つが過剰に働くと本来の目的と反する結果となるやっかいな本能である。

自己報酬神経群は、ご褒美への期待をモチベーションとする。
逆に言うと「出来た、終わった」と思った瞬間、脳はモチベーションを失う。脳にとって、途中で「完成した」「できた」「達成した」といった言葉は”否定語”と同義なのである。
自己報酬神経群の働きをうまく活用するには、物事をもう少しで達成できるというときにこそ「ここからが本番だ」と考えることが大切らしい。
「そろそろ終わりだ」という情報を脳に与えると、脳の血流が落ちてしまうことが実験からわかっている。

そうは言っても、競泳のようにゴールがわかって(しまって)いる場合にはどのように考えたらよいのか。
林氏は、北京オリンピックの競泳日本代表メンバーへの講義にて、
「ゴールまでの最後の10mを、自分の”マイゾーン”であると思ってください。仲間になりたいという脳の本能を活かし、水と一体化するのです。そして、マイゾーンに入ったらこっちのもの、そこからぶっちぎりで引き離すから絶対に負けない、と考えましょう」
とアドバイスしたという。
更に北京オリンピックの競泳チームに対し、「選考会に向けて伸ばしてきた力を落とすことなく、本番までさらに今までの限界を超えて、全力で泳ぐ極限の練習を続けるべきである」という通常とは異なった方法を脳医学的な考え方として話し、コーチ陣はそれを取り入れた。
北京オリンピックでの競泳陣の目覚ましい結果は記憶に新しい。


ちょっと常識とことなるのが「コツコツ行う」ということに対する考え方。
実は脳の自己報酬神経群をよく働かせるためには、決断・実行を早くし、達成に向かって一気に駆け上がることが必要で、脳の達成率を上げ、集中してことを成し遂げるためには、「コツコツ」は間違い。
「コツコツ」や「一歩一歩」には「失敗しないよう慎重に進めよう」という自己保存のクセが隠れている。
「失敗しないように」は「失敗するかもしれない。失敗したらどうしよう」という考えと表裏一体のものであり、「失敗するかもしれない」は脳にとっての否定語。
脳にとっては「コツコツ」よりも一気呵成の方が効果的らしい。

ある実験によると人間のポテンシャルは最大で130%まで引き上げることができる。
最初に100%以上、130%を目指すという心持ちでスタートすると集中力が増し、脳の達成率をアップさせることが出来る。


林氏は救命救急センターに勤務していたこともあり、その際にも
・否定的な言葉をいっさい、使わない。
・出勤前に必ず、鏡の前で最高の笑顔をつくってくる。
・今、何をすべきかを具体的に口にだして言わせる。
・目標を簡単に変えない。
ということでチームをつくり、「脳低温療法」を開発し成果を上げるなどチームビルディングの面でも優れた実績を残している。

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