2010年4月17日土曜日

『かもの法則』

2008年北京オリンピックで金メダルを獲得した女子ソフトボールチームの指導も行った西田文郎氏の著作。
人の頭の中には、思考の前段階の”予感”レベルとして「肯定的なかも」と「否定的なかも」が生まれては消えている。

『否定の「かも」が発生したら、肯定の「かも」に置き換えればいい。』

というのが西田氏の提唱する【かもの法則】である。

脳科学的に考えると、否定の「かも」が飛ぶことは、脳が努力することをやめてしまうことにつながる。
大脳辺縁系にある快不快の脳=扁桃核が「不快」になり、やる気の脳(期待の脳)である側坐核がトーンダウンし、未来を作り出す脳と言われる前頭前野の活動性が低下するのだ。

この「かも」の正体は、「未来のクオリア」であるという。
予感の「かも」はこの段階ではプラス思考でもマイナス思考でもない。(従って肯定の「かも」≠ポジティブ思考)
明確な思考ではなく、思考が形成され、概念化される前のファジーな「感じ」「質感」であり、脳科学的には「クオリア」と呼ばれるものである。(「クオリア」というと茂木健一郎さんって感じがするが)

人の脳は過去の記憶データに基づいて判断する。
だから過去に支配され、過去の延長で生きることになりやすい。
過去の延長からの脱却を図るキーワードが、不確定な未来をあらわす助詞である「かも」。
我々の脳は予感によって変わる。
予感を抱いた瞬間から、脳への問いかけが始まり、脳は「どうしたら実現できるか」を探し始める。
本人が眠っている間も、脳は懸命に探している。むしろ眠っている時の方が、常識的な理性の干渉を受けない分、いいアイデアや思いがけない発見がひらめく。

物事を実行できないのは、もともと行動力がないのではない。
「できないかも」「ダメかも」という予感が、実行力を奪っているだけ。
人を行動的にするのは、未来に対するワクワク感(喜び)。
そのためにキーワードが「かも」ということだ。
成功体験がなくても、「もしかしたら、おれにもできるかも」と思えばいい。

そういう意味で「モデル」「手本」になる人が存在する意義は大きい。
「モデル」「手本」」になる人は自分の未来のイメージだからだ。
「人生の師」は未来のクオリアであり、私たちの脳に埋め込まれた「肯定的なかも」の体現そのもの。
しかし、人生の師を見つけるには、他人に共感し、感動する素直さと、自分より優れた人の存在に気づく謙虚さがなければならない。

ちょっと動物の”かも”の話とリンクしようとしすぎているキライはあるものの、
『神様とは、愛を信じさせてくれる”錯覚”である。「愛」という翼をもった「かも」が一番高く飛べる。』
など、愛に満ちていてモチベーションを上げてくれる良書である。

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