2010年4月10日土曜日

『葬式は、要らない』

葬儀費用の全国平均は231万円(2007年)。その内訳は、
葬儀一式費用(葬儀社へ支払うもの)142.3万円。
飲食接待費用(料理屋、香典業者などへ支払うもの)40.1万円。
お布施・心付け(寺などへ支払うもの)54.9万円

国際比較でいうと、アメリカの葬儀費用は44.4万円。イギリスは12.3万円。ドイツは19.8万円。韓国は37.3万円程度(1990年代前半)とのことなので、日本人が葬儀にかける費用はダントツであり、更に近年においても増加傾向にある。

歴史的にひもとくと、飛鳥時代から奈良時代にかけての仏教は、高度な学問の体系として受容されており、死の世界と結びつきを持たなかったので、葬式仏教の側面はまったくもたなかった。(古墳に葬式仏教的な影響がないことを与えていないのを見てもわかる)
仏教式の葬式が開拓されたのは、鎌倉新仏教 道元による曹洞宗においてである。
さらに江戸時代に入って「寺請け制度」が導入されたことが現在も続く”檀家”の制度を確立した。各寺院は行政組織の末端に位置づけられ、いわば役所の戸籍係の役割を果たすようになる。これによって、村人は必ず仏教式の葬式をしなければならなくなり、戒名も授けられた。

歴史的にはどうであれ、葬式を贅沢にしているのは「世間体」であると著者は言う。
日本の場合、”個人の葬式”ではなく、”家の葬式”なのでついつい見栄をはってしまうものらしい。

面白いのは戒名料について。
戒名料の相場(○○院○○居士だといくら位)から、最近のインフレ傾向までが詳述されている。
経済的にはデフレ傾向と言われる近年、戒名料はどのように推移していくのだろうか。

墓参りの習慣は儒教に由来し、日本以外の東アジア共通の習慣だが、ヨーロッパには墓参りの慣習はほとんどないとか、社葬は日本の文化だとか、我々の常識が世界的には非常識なものも多いと知りびっくりもした。

核家族化が進んでから、その意識をもった人達(家族)の葬儀が行われるまでにはタイムラグがある。
これからは著者が「直葬」と呼ぶ簡易な葬儀、そして簡易な墓が主流になるのかも知れない。

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