2009年1月18日日曜日

『ザ・チョイス』


TOC(制約理論)・・・ボトルネックという一点に集中することが、全体最適へのマネジメントの扉を開き、最小の努力で、最大の効果を、最短の時間でもたらすという、ある意味考えてみれば当たり前すぎる「常識」に基づいた、コロンブスの卵のような理論・・・の提唱者であるエリヤフ・ゴールドラット博士の最新作である。


『自然は極めてシンプルで、自らと調和している』というニュートンの言葉を引用しつつ、
1.人はもともと善良である。
2.すべての対立は解消出来る。
3.ものごとは、そもそもシンプルである。
4.どんな状況でも飛躍的に改善することができる。
5.全ての人は充実した人生を過ごすことができる。
6.常にwin-winのソリューションがある。
という原則を物語風に述べていく形式がとられている。

上記の原則を遂行するにあたっての3つの障害として
1.現実は複雑だと思い込むこと
2.対立は当たり前だと思い込むこと
3.人は、問題を相手のせいにしたがる
が挙げられている。

『全ての科学理論は、実験によって証明できなくてはならない」というカール・ポパーの言葉を引用して
「確認できる結果が多ければ多い程、原因の有効性は高まるが、いつ存在し得ない結果が見つからないとも限らない。ものごとには何でも絶対ということはない。」という「99.9%は仮説」というようなことを述べつつ、どんな状況でも飛躍的に改善することが必ずできると説いている。


○対立とは「人が矛盾を求めている状態」で、対立に直面した場合、特に適切な妥協点を見つけることが出来ないときには、矛盾に直面した時と同じようにすればいい。
つまり、前提が違う、どこか根本的な前提が間違っていると考える。もし、間違っている前提をみつけることができれば、対立の原因を取り除くことができる。
○トートロジー(循環論法)に陥るな。
『何何だから」という理由を耳にするとき、特にその理由に抽象的なものが含まれる時は注意しないといけない。
そして、今度はもうひとつ同じ原因に起因する別の結果がないかどうかを考えてみる。
別の結果が思いついたら、今度はそれが実際に存在しているかどうか確認してみる。

といったTOC理論の復習の他、

○『感情・直感・ロジック』という話で、
ロジックというものは何もないところには存在しない。
ロジックを展開していくには、直感に基づいて原因と結果の関係を次から次へと供給していかなければならない。
仮説を立てるにも、結果を予想するにも直感なくしては無理である。
その直感は感情から生まれる。
私たち人間は、感情、直感、ロジックという三本脚の椅子の上に立っているようなものである。
と述べている。

すなわち純粋ロジック重視であったTOC理論においても「感情」というものの重要性に着目したのが斬新なのではなかろうか。
(その感情重視のひとつとして「コンフォートゾーン」という概念についても記述している)

ゴールドラット博士によると、経験豊富な楽観主義者のことを『実践的先見者』というらしい。
『実践的先見者』でありたいものだ。

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