2009年7月22日水曜日

『プレイフル・シンキング』

同志社女子大の上田信行先生が本をだされたということで読ませていただきました。
「学習環境デザイン」の専門家上田先生がプレイフル・ラーニングの考え方をビジネスマン向けに仕事を楽しむために書いた本です。
キャロル・ドゥエックのfixed-mindsetとgrowth-mindsetに始まって「つくって、かたって、ふりかえる」という上田先生独自の理論まで非常にわかりやすく述べられています。

物事を頼まれた時に「Can I do it?」と考えるか「How can I do it?」と考えるかで物事への取り組み方が変わります。
「世界とはこういうものだ」と人が感じている世界は、見方を変えればいくらでも違った世界に見えてくる。人はその認識によって世界をつくり変えることができる。プレイフルに考えるためには「How can I do it?」すなわちgrowth-mindsetで考えよう、というのが上田先生の教えです。

『メタ認知』についても述べられています。
メタ認知で考えると、物事の全体像が把握できます。全体における位置づけや意味合いが明確になったときに、この活動を通して何を学べばいいのかが理解できます。
メタ認知の次なる効果として、物事の本質を探ることができるようになります。
物事を表面的にとらえるだけでは、学びにつながりません。その本質的で普遍的な意味を見つけてこそ、学んだといえるのです。

頭の中にある自分の考えを外に出すことを「アウトプット」といいます。
アウトプットのよいところは、可視化したり、言語化することで自分なりにメタ認知できるだけでなく、他者とも共有できるようになることです。
アウトプットは実は学びそのものの行為でもあります。
よく、知識や情報をインプットすることが学びだと誤解されがちですが、アウトプットする過程において、インプットした知識や情報を自分なりに咀嚼し、意味の組み替えや再構築を行うことで自分のものにしていくことができます。(これを「創造的借用(appropriation)」といいます。)
自分が時間をかけてブログを書くのもこの「アウトプット」の教えに他なりません。


人生を楽しく豊かにしてくれる一番の経験は「学び」である。
そして楽しさのなかにこそ学びがある。

「Everything is situated.(全ては状況のなかにある)」


素敵な言葉も満載。
たくさんの人に読んでもらいたい本です。

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