2008年8月25日月曜日

『寝ながら仕事術』


吉田たかよしという医学博士の書いた本です。
アイデアを出すのに睡眠を利用しよう、ということで睡眠の大切さを医学の見地から述べています。

いくつかご紹介すると、
まず、「15分必ず昼寝をするとよい」(∵午前中で既に疲れている前頭前野をリフレッシュさせるため。ただし30分以上だと深い眠りに入ってしまうので駄目だとか。)
このためにコーヒーがぶ飲みしてから昼寝すると20分後にはカフェインの作用で目覚めパッチリだそうです。
眠りにはいらなくても瞼を閉じるだけで効果的な休息が得られる(大脳新皮質はその7割が視覚情報の処理にかかわっているから)ので外でなんか眠れないよ、という方にもおすすめとのこと。


人体がストレスをうけると「グルココルチコイド」というホルモンが増加しますが、質の高い睡眠をとるとこのストレスホルモンは減少します。(睡眠中の脳は嫌な記憶を整理してくれているのだそうです。)
ストレスとは「緊急事態に対応するための身体の機能変化」なのでそもそもは悪いものではないのですが、長期にわたり継続すると体に色々な影響を与えます。
特に環境が変わった時(異動、昇進なども含む)には睡眠時間を意識的に増やすことが必要です。
涙と一緒にグルココルチコイドは体外にでるので、映画みて涙するのはストレス解消にはよいそうです。

悩みがあって眠れない時の対処法は、悩みを紙に書き出すことだそうです。それを翌朝読み返して対策を考えるという「能動的先送り」をすると脳が忘れることを心配しなくて済むので眠りにつきやすくなるとのこと。

記憶が長期間にわたって脳に定着するには夢を見るREM睡眠が不可欠です。
REM睡眠の時間帯には海馬や側頭葉が特に活発に動いていて高度な情報処理をダイナミックにおこなっています。これぞ本質的な意味においてはアイデアを生み出すプロセスと根本的には一緒。
著者はアイデアを生み出す時に「3泊4日の原則」を活用していて、アイデアを生み出す下準備をしてから、脳の中で3泊4日、文字とおり情報を寝かせているそうです。(1週間以上とかだと緊張感が薄れていいアイデアは浮かばないらしい)

就寝前に、関係する分野の情報を復習しておくと◎。アイデアの素材となる情報をインプットするには就寝直前というのは脳にとって最高の時間帯だそうです。
就寝前に以前勉強したことなどを「斜め読みインプット」するのは効率的で、図や表などのビジュアル関係のもの(特に自分で書いた図や表だとベスト)を斜め読みして記憶を強化すると◎。

仕事の目的にあったアイデアを生み出すためにはもう一つ必要な作業があります。それは、どのようなアイデアが求められているのか目的を脳にはっきりとわからせること。そのためには企画書の形だけはつくっておくのがうってつけです。
項目だけ作って内容は3泊4日の原則で脳に寝ながら考えてもらいます。話だけ聞いているとなんだかラクチンですね。

質の高い睡眠のためには光の刺激コントロールが大切とのこと。
そもそも人間の体内時計は25時間だそうで、これを原始時代から太陽に光により24時間に合うように調整を行ってきたのだそうです。
「セロトニンNアセチルトランスフェラーゼ」という酵素(別名ドラキュラ酵素)が光を浴びないと「メラトニン」という睡眠ホルモンをつくるので夜は眠くなるとか。テレビやパソコンなどもドラキュラ酵素の働きを弱めるので寝る前にはやめた方がよいそうです。(睡眠ホルモンが分泌しはじめるのには暗くなってから2時間くらいかかるし睡眠ホルモンためるのにさらに2時間確保すると、寝る4時間前くらいから明るいものは見ない方がよいらしい)
逆もまた真なりで、朝目覚めるためには朝日を浴びるのが◎。著者は目覚まし時計の代わりに、顔にライトを当てることで目を覚ましてるそうです。

また、朝、目が覚めたけど起き上がれないとき、会議中眠くなったとき、などには手足のグーパー体操がいいそうです。

眠らないと調子が出ない私のような人間には寝る理屈がついてありがたい本です。


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