会議を開く側の心得、スキルをわかりやすく述べた本。
「ファシリテーター」スキルと重なる所が多々あるのだが、ファシリテーションよりも日常業務で多くつかう通常の会議のリーダーとしてのスキルがベースとなっているので、一般ビジネスマンに活用しやすい内容となっている。
会議の達人に共通している3つの原則
原則1.自ら、明確なゴール(意図)をもっている
原則2.課題達成だけでなく、参加者の満足を引き出している
原則3.会議のオーナーとしての責任をとっている
共鳴→発見→合意
のプロセスを企画し、その道の上を、参加者が自主的に歩いていくように促していく
のが達人の技術。
ということをベースに会議の準備段階から実行段階における留意点、ノウハウが展開されている。
「参加者の満足の源泉とは?」ということで
①課題への貢献感
②自分自身の成長実感
③それを、まわりが見てくれていること(承認)
というのが挙っている。
以前同志社女子大の上田信行教授が
「僕の授業では、学生に対して、学ぶだけではなくて何か授業に貢献してもらうことにしています。最初に学生に「あなたはこの授業で何に貢献してくれますか?」と聞くんです。ちょっと戸惑うのですが、すぐに参加して積極的に意見を出すことが「貢献することだ」と認識してくれて積極的に参加してくれるようになります」
と言っていたのを思い出した。
「学ぶか貢献するか」そしてその行為を承認(Acknowledgment)することが参加者のモチベーションにつながるというのは、非常に腑に落ちる内容だ。
ファシリテーターにおける質問もそうだが、会議では「良い質問」を如何に問うかに力量が問われる。
その際に参考になるのが<会議の達人の質問プロセス>。
・現状からスタートして行動に至る3つの基本プロセス(即行動型、原因分析型、理想追求型)
・参加者の脳みそを揺さぶりプロセスを活性化させる4つの質問パターン(時間軸、視点、チャンク、前提)
から構成される基本形式を縦横無尽に活用して質問を組み立てていく。
実際の会議でも、ベースとなる考え方があると、慌てずに済むのかもしれない。
議論を壊そうとする確信犯が真っ先に狙うのは「範囲」なので、その会議の議論対象範囲を時間的、空間的に定めておく必要がある等、自分の過去の経験に絡めても納得できる内容が満載の良書。
会議をデザインする立場になったら必読の書のひとつに挙げたい。
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