2010年9月26日日曜日

『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』

フリービット株式会社という「日本で最も人材育成をする会社」を目指している会社で、実際に導入している人材育成プログラムの論理的背景と、プログラム導入のポイントをまとめた本。
現在行っている人材育成の取り組みと重なる部分が多々あり、非常に参考になった。

「人材育成」というと≒研修と思われ勝ちだが、そこには大きな違いがあることが明確に述べられている。
いわゆる「勝ち組」のビジネスパーソンを集めて「あなたを成功に導いた要因は何か?」と聞くとそれぞれに異なる回答が出されるはず。
しかしながらこうした個々の回答に何らかの共通点を挙げるとすれば、それは彼らを成功へと導いた要因は「決して研修ではない」という事実である。
「研修」とは「人材育成」という大きな文脈においては、もはや枝葉の話であって、人材育成の実務における根幹ではない。
これからの人材育成の実務は、「研修のデザイン」ではなくて、「経験のデザイン」という方向に向かう。

また、
○企業における人材育成の目的は企業理念の浸透にこそある
○人材育成のデザインは「教えずに学ばせる」ことを目指さなくてはならない
など、納得感の高い記述が多い。

<バックワードチェイニング>という、業務の一連の連鎖のうち、最後のゴールの成功体験から始めさせて、少しずつ前倒しで始めさせる手法が紹介されていて非常に面白い。
「勝ち癖」をつけながら一連の仕事を学ぶことができ、常に「最後までやり抜いた」という充実感を伴って経験をクローズすることができる。
「常にゴールのテープを切る」という成功体験を積ませつつ、徐々に難易度を高めていく経験のデザイン手法は、うまく組み立てると非常に効果的に人材育成につながるのではないかと思った。

人材育成を売りにしている会社なので、一方では、人材育成を継続することの難しさについても記述がある。
人材育成の仕事は常に組織横断的であり、現場の仕事よりも重要性が低いために、現場からすればどうしても後回しにしたくなる話。
そして悪いことに人材育成プログラムというのは、その導入コストは測定できても、導入の効果になるととたんに声が小さくなる。
責任は取らず、現場では二の次になり勝ちで、お金がかかり、かつその効果が見えにくいという人材育成は、経営者の信念と継続的で強いコミットメントがなければ立ち行かない運命にある。
しかし、実は、多くの企業には「本気の人材育成」というものがなかなか存在し得ないからこそ、そこに差別化による競争優位構築の可能性がある。

人材育成において世界で最も尊敬されている企業の1つがGE。
ジャック・ウェルチ時代から始まったクロトンビルにおける研修については有名だが、GEのCEOは業務の1/3を人材育成に費やすことが決められているのだそうだ。
基本理念として「人材は育つのではなく、育てるものだ」ということを明確に打ち出している。

「どういう人とチームを組むのかが、ある人の成長の重要な部分を決めてしまう」という、著者曰く「怖い仮説」があるらしい。
特定の部署から多くの人材を輩出することがある。人だけではなく、人と人とのつながり方、実践する内容も含めた「場」の力ということなのであろうと思っている。
だからこそ、組織全体として人材育成に適した活性化した雰囲気をまとうことが必要なのではないだろうか。

ニーチェ曰く「脱皮できない蛇は滅びる」とのこと。
今後も希望を持って脱皮できるよう精進していきたい。

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